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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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人生の目標が出来た

 ……さて。

 楽しかったクルーズ旅も終わりが近い。

 マジで堪能したな。


「家に戻ったら、また次行けることを夢見ながらワインでも飲むんかな」


 前回のエルフのツアーの後もね、旅行中に買ったお酒や紅茶をチビチビ飲みながら、いつまた異世界に行けるかとミステリーツアーにポチポチ参加してたからね。

 また同じことの繰り返しでしょう。

 きっと、恐らく、メイビー。


「荷物の片付けよし、降りる前に最後に何かドリンクでも飲んでいくか」


 船が最終目的地に到着するのは夕方、日の入り頃。

 今現在はお昼過ぎておやつタイムくらい。

 であるならば、最後の思い出に何かお腹に詰めていこう。

 あ、二日酔いの影響はもうほぼほぼないです。

 薬膳料理最高。


「……グリムダさん?」

「ん? おお、生きてたか」


 デッキに出ると、昨日ぶりの姿を発見。

 思わず声をかけてしまった。

 ……というか、


「第一声が生きてたか、は酷いでしょ」

「いやぁ、スマン。君が倒れた後、マスターと死んではないよな? と話しててな」

「見ての通り生きていますね」


 二日酔いはあったけどね。

 それもまぁ、薬膳料理のおかげで回復したわけですが。


「二日酔いは?」

「後の祭りのおかげか頭痛だけありましたね」

「ほう」

「その頭痛も、薬膳料理を食べたら治りました」


 スイさんの奢りで。

 ……は言わない方がいいんだよね? 


「薬膳料理……。エルフが提供する所か?」

「ですです。……そういえば、メニューを見てないな……」


 席に着くなり飲み物が運ばれて、あれよあれよとお粥三杯とデザート、コーヒーが運ばれて来たもんな。

 他にどんなメニューがあったのか気になる。

 スイさんとかステーキ食べてたし。


「私が知っている店ならば、メニューは無いな」

「……?」

「入店した客に対し、その客が欲する物、あるいは、その客の症状に合う料理を勝手に出す店だ」

「……へー」

「入店した瞬間に、いわゆる『鑑定』をされる。その『鑑定』結果に基づいて料理を提供するわけだ」

「てことは、俺が二日酔いなのを分かってて、それを治すために俺が食べたメニューが出てきた?」

「その通りだ」


 言われてみたら、スイさんもメニューをオーダーしてなかったもんな。

 てっきり、テレパシーとかの俺では感知出来ない方法で注文してると思ってたんだけど、普通に店が勝手に出してたのか……。


「一緒に行ってた人にはステーキとか出てきましたけど?」

「健康体であれば食べたい物が出てくる」

「なるほど」


 スイさん……というか、龍人族って病気とかするのかな?

 なんか、常にピンピンしてそうなイメージがあるけれども。


「ともあれ、無事で何より。……何か奢ろうか?」

「酒以外でお願いします」

「はっはっは。警戒されてるな」

「当然でしょう?」


 エイプリルフール、頼んだのは俺とは言え止めなかったし説明も無かったからな。

 

「チョコレートドリンクはどうだ?」

「飲みます。美味しいですよね」

「美味い」


 ……あれ? チョコレートドリンクって無料で飲めなかったっけ?

 ――おい! 有料版はアルコール入ってるじゃねぇか!!

 キャンセルだキャンセル。


「フリーのチョコレートドリンクを一つ」

「……チッ」


 今舌打ちしなかった?

 聞き間違いかな?

 ドワーフじゃないんだから二日酔いに迎え酒なんてさすな。


「はぁ……糖分が沁みる」

「警戒心が強いのはいい事だぞ、うんうん」


 誤魔化されねぇからな?

 もうドワーフに対する信頼は……あー、でも、カジノでポーカーして遊んでくれたドワーフは居たな。

 あの人らくらいだな、ドワーフで信用出来るの。

 それ以外のドワーフ株は暴落の一途を辿ってるよ。


「君は船が到着して、その後の予定はあるのかい?」

「家に帰りますよ。仕事なんで」

「そう。観光とかはしないのね」

「到着は夕方ですよね? そこから観光出来るんです?」

「夜の繁華街として有名な都市だもの。むしろ夜の方が活発になるわよ?」

「うっ」


 どうしよう……。

 明日が仕事じゃなければ絶対に観光したい……。

 でも、観光してたら今日中に家に帰れないし……。

 断腸の思いで涙を呑んで唇噛み締めて我慢するか……。


「帰ります。仕事が……あるので……」

「そう。まぁ、今回限りしか行けない場所ではないんだし、後日改めて行ってみるのもいいかもしれないわね」

「ソウデスネ」


 恐らく今回限りなんですよ……。

 後日改められないんです。

 異世界に来るのもランダムなので、果たして次はいつ異世界に来られて、どのツアーに参加できるか……。


「ちなみにその都市の名前は?」

「ヴェスパポリスだけど?」


 ヴェスパポリス……魂に刻んだ。

 その名前、決して忘れることは無い。

 絶対に行って見せる。いつか、きっと、必ずや。


「ちなみに成人してないと保護者の同伴が必須よ?」

「普通に成人済みですが?」


 お? 見た目が幼いとでも言いたいのか?

 髭剃ったら学生にしか見えないとか言いたいのか?

 こちとら今日日珍しく先輩に連れられてパチンコ行ったら年齢確認されたぞ?

 というか、ドワーフから見た目弄られるのお前が言うな感が凄い。

 どっちかと言うと年齢確認が必要なのはこっちだろ。


「冗談よ」


 ……本当か?

 おい、こっちを見ろ。

 俺の目を見てもう一回冗談か言ってみろ。

 顔を逸らすな! おい!!

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