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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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選ばれたのは……

「……これだと?」

「爆発系の事故に巻き込まれる確率が下がります」

「なんでそんな限定的なんですか……」


 無許可で思考を読むなよ? と注意をし、気を取り直してアクセサリーを色々作り替えたりしてるんだけど。

 どうにも関連性というか、法則性、規則性が見えてこないんだよな。

 だから、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる作戦で色々と試してはいるものの、結果は今のところお察しって感じ。

 なお、こうして何度も挑戦出来るのは、アクセサリー作りの参加者が俺だけだからという悲しい理由で、本来は二回から三回くらいが限度だそう。

 てことは幸運なんだな、と思うと同時に、そんな回数制限が付く位に参加する人が居た時があったのか? とボブは訝しんだ。

 まぁ、俺としちゃあありがたいけどね。


「これは?」

「隕石が接近してきた時にお住いの星が直撃を防ぎます」

「規模がデカすぎる」


 託すな。

 んな地球規模の命運を俺一人に。


「そんな!? それが無いと隕石が直撃するかもしれないんですよ!?」

「こんなアクセサリーで回避出来る様な隕石なら科学でもどうにかなるだろ」


 俺は信じてる。

 自分が使えない魔法とかの類より、日々生活が楽になったと実感出来る科学の方を。

 というわけで次、


「これだと?」

「旅行先の宿泊する部屋が綺麗な確率が上がります」

「今までのよりはマシかなぁ……」

「どう考えても隕石回避の方が希少ですけどね」


 いうて隕石回避は、それにすればよかったと後悔する頃には覚悟決めてそう。

 もう逃げられないしなぁ、で散財して過ごしてそうなんだもん。

 だったら、今後も旅行は趣味でやるわけで、その旅行先の部屋が綺麗な事に越したことはないじゃん?

 俺にとってはこっちの方が有用かな。


「じゃあこれにします」

「本当に!?」

「はい」

「考え直す気は!?」

「もういいかなって」


 ぶっちゃけ疲れた。

 疲れたというか、飽きた、だな。

 最初の方こそどんな効果になるんだろうってワクワクしながら配置を変えていたけど、それが回数もかさめばもういいよってなる。

 というわけで、俺のアクセサリーは、アースカラーの三つ編みにした紐に、貝殻三つと三日月を象ったシルバーアクセサリー、謎の木の枝が付いたものに決定!

 ……これ、どこに付けるようなんだろう……。


「折角の災害回避級のアクセサリーが……」

「自分で作ればいいじゃないですか」

「ミリ単位の狂いなく配置を覚えてませんよぅ……」


 知らんがな。

 エルフなんでしょ? 時間はたっぷりあるじゃないの。

 出来るまでやればいいじゃん。

 出来ないって言葉は嘘吐きの言葉だぞ☆


「ちなみにこのアクセサリーってどこに付けてても効果はあるんですか?」

「一応、普段使いする物に付けた方が効果はありますけど……さっきのアクセサリーの効果なら、旅行用カバンとかにぶら下げておくといいかもです」

「なるほど、そうします」


 確かに、キャリーケースの内側にでもぶら下げておくか。

 外側だと、装飾品が取れそうで怖いし。


「とりあえずは、私のアクセサリー作りにご参加いただきありがとうございました」

「何だかんだ楽しみはしましたよ」


 それ以外にも色々と感情はあるけれど。

 楽しさだけを抽出すれば割と面白かった。


「もし縁がありましたら、またのご参加をよろしくお願いしますね~」

「考えておきます」


 効果がもう少し選べたらいいんだけれどね。

 自分で狙った効果が出せないから、結構不便というか、あまり人にお勧めは出来ないかなぁ。

 せめて、ある程度需要がありそうな効果になったアクセサリーをいくつか作って、それを目指して作りましょう、とかだったらもう少し良かったかもしれん。

 あまりにも手探り過ぎたんだよな。

 さて……どうしようか。

 夕ご飯にはまだ早いし、かといっておやつとか言い出すとご飯が入らなくなるし……。

 また適当にぶらつくかな。

 まずは部屋に戻ってこのアクセサリーをキャリーケースの中に付けるか。


「貴様貴様貴様貴様貴様ぁっ!!」

「へぶっ!?」


 なんて思いながら俺の部屋に向けて歩いていたら、後ろからとんでもない勢いが体を直撃。

 そのまま前方に吹っ飛び、床に転がる寸前で首根っこを掴まれて宙ぶらりんに。

 ……スイさんか。


「いってぇ……」


 なお、衝撃を受けた背中と腰がしっかり痛いもよう。

 俺が何したって言うんだ……。


「カジノから連絡があって何事かと向かえば、貴様からとんでもないチップが寄付されたとか言われたぞ!?」

「あ、はい」

「はいじゃないが?」

「いや、時間潰しにスロット打ったら、なんか当たりまくっちゃって。元本だけ回収して、ガーディアンの二人に分配して貰ったんですよ」

「……は?」

「いや、二人とも結構魔物と戦ってるみたいですし、船旅の安全を確保して貰ってるからそれに対する感謝の気持ちを――」


 そこまで言って、言葉が止まる。

 何故なら、俺の首根っこを掴んだまま顔を覗き込んでいたスイさんの顔が――あきれ果てた表情になっていたから。


「あのなぁ、ガーディアンはしっかり給料が出る仕事なんだぞ? なぜにわざわざ貴様からそのような施しを受けねばならん?」

「だから感謝の気持ちですって。チップですよ、チップ」


 カジノの、ではない。

 サービスに対する感謝の表れの方のチップ。

 まぁ、チップにしては気前が良すぎるかもだけれど。


「むぅ。……よし、分かった」

「何がです?」

「買う」

「……何を?」


 ドサッと落とされ、目の前に差し出される五万円。

 ……何を買うと?


「今後この世界に来る時には、貴様の持つ一番大きなバッグ一杯にお菓子を詰めてこい」

「はぁ……」

「その菓子を、我が買う」

「……なるほど?」


 絶対に五万もは入らないとは思うけど、多分複数回分なんだな。

 ……これ、もしかしなくても今後ミステリーツアーに参加するたびに通常の荷物とは別に、お菓子一杯のキャリーケースを追加で持って行かなきゃいけないのでは?

 しかも、異世界に行けなかった場合……スイさんに渡せなかった場合は俺がお菓子を消化する羽目になるのでは……?


「良いな?」

「はぁ……」

「いいな!!」

「はいはい」


 ……まぁいいか。

 どうにかなるやろ。

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