ちょいちょい腹立つ
……魔法を使ってフルオートで三つ編みにするのズルない?
こちとら小学校以来の……いや、もっとか?
小さい時に何かで三つ編みにしたのは覚えてるんだけど、それが小学生だったかそれ以前だったか記憶が……。
とにかく、遥か昔過ぎて全然覚えてないぞ……。
つまり何が言いたいかというと……。
手伝って欲しい。
「あ、そ、それはこっちです」
「あ、すいません」
まぁ、手伝ってくれないんですけどね。
編んでる途中で間違えたら指摘してくれるくらい。
仕事みたく、間違ったら怒られるとかじゃないからいいか。
これで怒られたらマジで部屋から出ていくけどな。
「よし、出来た」
「ところどころ甘いですけどしっかりできましたね!」
コイツ……一回どついたろかな……。
いやまぁ、確かに俺の編んだ三つ編みは歪んでたり、見た感じお世辞にも綺麗とは言えないよ?
でもそれって、作った本人が自虐的に言う事であって、仮にもアクセサリー作りの主催者が言う事ではなくね?
これだからハイエルフ様はよぉ。
「じゃあ、ここから色々とパーツをくっつけていきましょう」
で、俺が三つ編みを完了した後、いよいよ本題というか、アクセサリーに意味を持たせるパーツを付けていく作業。
……どのパーツがどんな効果か説明されてないけど大丈夫そ?
「パーツ自体が持つ意味とかってのは?」
「あー……」
あー……ってなんだよ、あー……って。
あれだろ? 説明忘れてたパターンだろ?
これだからハイエルフは。
「パーツ自体にあまり意味は無く、言うなれば呪文みたいなもんなんですよ」
「呪文?」
「はい。なので、パーツを付けて完成したアクセサリー全体を見て、このアクセサリーにはこういった効果がある、と分かるもので」
「つまり、同じパーツ二つで作っても順番が前後すると効果が違う?」
「ご理解が早くて助かります。あと、順番だけじゃなく左右の位置とかでも意味合いが変わってくるので……」
「説明してたら説明だけで日を跨ぎそう……」
なんというか、相手にバレない為に、座る位置や食べる物、咀嚼する回数に魔法的意味を持たせて詠唱の代わりにする、みたいな内容の漫画を思い出した。
あとは折り紙の色の組み合わせで詠唱する、みたいなのとかも。
「まぁ、日は跨ぎますね。私は覚えるのに十年かかりましたし」
「――十年……」
「私は優秀だったのでその期間でしたけど、同期で同じく占星学を専攻した友だちは下手するとまだ覚えられてないかも……」
このアクセサリーって占星学の範囲なの?
あと、あなたが配置の組み合わせ覚え終えたのって何年前?
その同期の友達は何年勉強し続けてるの?
「大変なんですねぇ」
「大変でしたよぉ……」
あ、いえ。
今の俺の大変でしたね、は、特に興味もない話題だからスルーしますねって意味で。
別にハイエルフさんに共感してるわけではなくて……。
まぁいいや、めんどくさい。
「じゃあ、とりあえず思うままに散りばめちゃいますね?」
「どうぞどうぞ」
ちなみに各パーツは後ろには何もついてないマジでただのパーツなのに、三つ編みにした紐に乗せると途端に動かなくなるし持ち上げても落ちたりしない。
でも手で取ると簡単に外れる。
エルフの技術ってスゲー。
「とりあえずこの辺とかから……」
まずは貝殻から。
あとはよく分かんない宝石をちりばめて、なんか月を象った奴もあるからそれも置いて……。
あまり乗せ過ぎてもゴテゴテしててなんか嫌だから、最後に……。
よく分からん木の枝を中央に配置するか。
「ほー……へー……」
……ハイエルフさんが俺の配置を見て感心やらよく分からん声を出してる。
せめて評価とか、これで発揮される効果とかを教えてもらいたいところだけれども。
「……安産祈願?」
「作り直しますね」
誰の子を産むと?
こちとら子供を産む予定はおろか結婚もする予定無いし付き合ってる相手もいねぇんだよ。
言わせんな恥ずかしい。
何をどうしたら安産祈願になったのか分からんから、どう変更すればいいのか分からんけど……。
木の枝を外してその位置に月のミニチュアを置いて……。
木の枝は一番上に配置しなおして……。
貝殻を一つ減らしてみよう。
「これだとどんな効果になります?」
「んー……っと」
あらゆるパターンの結果を記憶しているとは言っても、パッと見てその結果を出力は出来ないらしい。
まぁ、そりゃあそうだよな。
脳内で参照するにしても時間が掛かるよな。
「体臭と口臭の軽減ですかね」
「何それ」
いや、ちょっと欲しいんだけれども。
そもそもこのアクセサリー教室、開運間違い無しとか謳ってなかった?
それなのに体臭や口臭を軽減する効果が出てくるのはどういうことぞ?
「でも、匂いって第一印象に結構関わってきますよ?」
「確かに……うん?」
あれ? 俺、考えてた事声に出してた?
…………いや、出して無いな?
…………てことは、このハイエルフさん、俺の思考を読んでた?
気のせいかな?
「気のせいですよ」
「絶対に読んでますよね?」
「気のせいです」
明らかに読んでますよね?
言い逃れ出来ないぞ?
…………ファミチキください。
「ファミ……はい?」
「読んでますね」
尻尾を……いや、耳を掴んだぜエルフが。
勝手に思考を読むんじゃないよ!
どんな教育されてるんだ! 教えはどうなってるんだ教えは!!




