表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/143

飲み方注意

 まだ舌先がビリビリする……。

 でも、確かに異世界マタタビの実を食べて、酔いは冷めたな。

 中々の荒療治な気がしないでもないけど。


「次がラストのワイナリーになります」


 という事で、川を上り、森の深部へと入っていく。

 なんか、森の中にワイナリーってあるイメージ無いな。

 ワイナリーと言えば丘の上ってイメージなんだけど、分かる人居る?


「少々お待ちください」


 ボートが止まり、全員が森に降り立って。

 ガイドさんから一旦待機するように指示が出て。

 その指示に従って待機していると、羽音が頭上から響く。


「お待たせしましたー!」


 見上げれば、俺たちに向かってゆっくりと下降してくるハーピー種が数人。

 ? なぜにハーピー?


「ワイナリーへとご案内しますー!」


 で、おもむろに足で肩を掴まれて。


「ふぁっ!? ちょっ!? まっ!?」


 俺の足が地面と離れ。


「危ないので暴れないでくださいー!」

「そんな事急に言われても!!」


 ゲームとかでよくある、ハーピーや鳥獣系の魔物の足に掴まれて空を飛ぶ、という初体験を終えるのだった。

 ……体験してみた感想なんですけど、ぶっちゃけ二度と味わいたくないレベルで怖かった。

 肩でしか支えられてないんだもん。

 掴む物も無ければ踏ん張るものもない。

 マジで宙ぶらりんで数分と言えど移動させられたの、恐怖しか感じなかったよ……。



 ……死ぬかと思った。

 というか、何度も落ちる、と思った。

 結果として俺は木の上にあるワイナリーに何とか到着したし、掴まれてた肩はちょっと傷むけど服とかは傷付いてない感じ。

 どんな力加減で掴んだらそうなるかは分からないけど、服が破れたりしてなくて本当に良かったよ……。


「というか、木の上にあるのかよ……」


 で、当たり前に受け入れたけど、木の上にあるワイナリーってなんだよ。

 いや、何なら木の上に町があったエルフの所の世界樹って例を知ってるからそこまで変じゃないな? と思いはしたけれども……。


「こちら、ハーピーが運営するワイナリーになりまして、各種美味しいワインが提供されます」


 ご説明ありがとうございますガイドさん。

 ……髪、乱れてますよ?


「本日は私めのワイナリーに羽を運びいただきありがとうございまちゅ」


 ……で、奥からエプロンを着たハーピーさんが登場しましたけれども。

 えぇっと、まずは……足を運ぶ、じゃなく、羽を運ぶ、って言うのね? ハーピー種だと。

 あと、猫獣人の時もそうだったけど、語尾が安直過ぎない?

 羽の色から見るに、あなた、スズメじゃないでしょ?

 スズメだけだよ? ちゅんちゅん言うの。


「本日はたっけぇワインよりも、リーズナブルに楽ちめるワインをご用意ちゃちぇていただきまちた」


 微妙に口調が荒いのが気になるな。


「おつまみにはドライフルーツをご用意ちておりまちゅので、心ゆくまで堪能くだちゃい」


 ハーピー種、胸元の羽毛が邪魔で性別判断が難しいんだよな。

 ……多分女性だと思う。

 声が高い気がするし。


「どうぞー」

「ありがとうございます」


 渡されたグラスを木製のテーブルに置き、注がれるのを待つ。

 ……あ、ワインの栓って爪差して抜くんだ?

 栓抜き要らないじゃん。なんて便利な種族なんだ。


「綺麗……」


 で、注がれたワインは綺麗な桜色。

 しかも微発泡らしく、細かい泡が立ち昇っておりますわ。


「『春の息吹』という銘柄でちゅ」

「おしゃれですねー」


 聞いてるか? 猫獣人さん。

 ワインのネーミングはやっぱりこれ位のお洒落さが無くちゃ。

 何が濡れた猫の髭だよ。ちょっと捻った名前を付ければいいってもんじゃないんだぞ?

 ……現代には悪魔の名前を冠したワインとかあるけれども……。


「こちらおつまみのドライフルーツでちゅ」

「ありがとうございます」


 渡された小皿には、こう……ウサギとかに与えるサイズ感のドライフルーツたちが……。

 リンゴっぽいものとオレンジっぽいもの、あとはベリー系かな?

 いや、普通に美味しそうだけれどね。

 まずはワインを楽しみますか。

 グラスを照明にかざし、色の観察。

 綺麗な桜色。

 色は薄く、白に赤を垂らしたような、淡いピンク。

 香りは……うん、繊細なフルーツの香り。

 バニラっぽいニュアンスと、イチゴのような甘酸っぱさ。

 柑橘系の酸味をイメージするような香りもするね。

 そして、次は味を確かめようとして、グラスを傾け、口を付けた瞬間。


(あれ?)


 身体がふらつき、視界が徐々に狭くなって。

 ――俺は、意識を失った。



「……ちゃま。お客ちゃま!」


 う~ん……ハッ!? 今は誰!? 私はどこ!? ここはいつ!?

 ……知らなくはない天井。

 さっきワインをかざした時に見たな。


「大丈夫でちゅか?」

「多分?」


 記憶が微妙だな。

 ワインを飲もうとした……ら気を失った?


「発泡したワインから出るガスが特ちゅなんでちゅ。飲む前にグラスの中に息を吹きかけてガスを吹き飛ばちてくだちゃい」

「あ、はい」


 ……先に言って貰っていいですか?

 あと、その説明から察するに、吸った空気の中の酸素濃度が低くて気を失ったのか。

 ……気を失うほどの酸素濃度になるガスってなんだよ。怖いよ。

 とはいえ、グラスは守ってくれたのか、それとも新しい奴を用意してくれたのか、俺の分は無事みたいです。

 というわけで、しっかりとグラス内に息を吹き込み、ガスを飛ばしてワインの試飲。

 ――バタッ!

 今目の前で同じようにツアー客の一人が倒れたみたいだけど……大丈夫そ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ