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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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ワイン川巡り

 ……現在私は船に揺られております。

 と言っても、今回のミステリーツアーで乗船することになったインターレースドリーム号ではなく。

 そのインターレースドリーム号から出た小型ボートに乗っておりまして。

 十人くらいの班に分かれ、それぞれにガイドさんがついて、停泊している船から川を上ってワイナリーのある場所へ。

 そう、参加したツアーはスイさんに勧められたワインの試飲会ツアー。

 なんでも、ここ数年で出来の良いワインと、今年の新作のワインが多数試飲出来るという事で。

 結構楽しみだったりしてるんですよ。

 ――ちなみにこのツアー、ドワーフは参加不可らしく、周りを見渡してもドワーフ族だけ姿が見えない。

 まぁ、飲み干しちゃうだろうからね、うん。


「最初のワイナリーはダークエルフが管理しておりまして、辛口でスパイシーな香りが特徴のワインが多数ございます」


 ボートで川を上る事数分。

 最初の目的地が近くなったらしく、そう紹介して貰う。

 ダークエルフがワイナリー管理してるのか。

 確かに、勝手なイメージだけどスパイシーなワインとか、辛口のワインってイメージがするな。

 なんでだろう?


「では、到着です。足元にご注意ください」


 で、ボートが止まった先で降り、そこからは歩きで移動。

 数分ほど歩くと、赤レンガで出来た建物が確認出来る。

 これが異世界ワイナリーですか。


「お待ちしておりました」


 おぉう。

 流石はダークエルフというだけあって、褐色肌なのはそうなんだけれど……。

 やっぱエルフって顔面いいなぁ。

 偏差値高いわ、マジで。

 こう、顔が整い過ぎてて嫉妬の感情すら湧かないもんね。

 多分人間では到達できないイケメン度に達してると思うわ。


「本日は過去五年間の渾身の出来のワインと、二十年熟成したワインを、それぞれ相性のいいツマミと共にお出しします」


 という事で赤レンガの建物横に設置された木のテーブルと椅子に俺らの班の全員が着席。

 そこへワイナリーダークエルフさんがワイングラスを放り投げ、それぞれの目の前にピタリと着地。

 更にはお皿をフリスビーみたく投げてよこし、それらもワイングラス同様に俺らの前に寸分狂わず着地する。

 いい腕だ。バ〇コさんといい勝負だな。


「まずは一番若い去年のワインになります」


 そう言ってグラスに注がれたワインは、赤というよりはピンクに近く、ピンクの中でも紫寄りの色。

 なんというか、ロゼと赤ワインの中間みたいな色なのよね。


「チーズとクラッカーを用意しましたので、そちらと合わせてみてください」


 という言葉通り、クラッカーにスライスされたチーズが乗せられて配られ。

 ツアー参加者たちが、思い思いにワインをテイスト。

 まずは色の確認から。

 さっき言った通りの色合いだけど、太陽に透かして見ると色の芯に黄色が見える。

 ピンクであり、紫であり、黄色が隠れるワインをスワリングして匂いを確認。

 ベリー系の香りとプルーンのような甘い香り、奥の方にペッパーの香りが隠れていて、匂いだけでまずは美味しそう。

 そのまま軽く一口含んでみれば、去年作った若いワインという事もあって、非常にフレッシュな果実の香り。

 あと、匂いほど甘くなく、前情報通りの辛口目なワイン。

 ギュッと凝縮された果実感と、爽やかな柑橘系の香りが鼻から抜け、スパイスのチリチリとした刺激に似た感じが、舌にほんのりと乗っかってくる。

 まぁ、美味しいな。

 スーパーとかにある三千円くらいのワインとかと比べられそうな感じ。

 と言ってもワインもピンキリだからなぁ。

 ま、俺のイメージその価格帯のワインかな。

 続いてチーズとクラッカーを齧ってワインを一口。


「おー」


 チーズのコクと塩味が入ると、さっきはあまり感じなかった甘さの部分が顔を出すね。

 もちろん、辛口の範囲を出ない甘さだけど。

 あと、チーズのコクがすっごい広がる。

 チーズにめちゃめちゃに合う赤ワインですわ。


「続いて一昨年のワインです」


 全員のグラスが空いた事を確認し、次のワインを注がれる。

 なお、最初はごく少量だけ注がれて、これで終わり? と思ったんだけど。

 周りを見ると、そのごく少量のワインをスワリングしてすぐに飲んでた。

 真似してみたら、その後で、一杯目と同じ量のワインが注がれたよ。

 多分、グラスを洗う意味があったんだろうね、ごく少量のワインは。


「こちらはジャーキーと合わせてください」


 で、お出しされるワインのお供。

 今回はジャーキーか。

 ……うん? 滅茶苦茶桜色だけど何肉のジャーキーなのかな?

 気にしたら負けか。


「色濃っ」


 で、まずは色の確認だけど、めっちゃ濃い紫。

 どれくらいかって言うと太陽にかざしてサングラスと同じくらい太陽光を遮断するレベル。

 これちょっと初めてかもしれない。ここまで色が濃いワインは。


「香りは結構大人しめなんだね」


 さっきのワインで感じたスパイスのニュアンスとか、特にない。

 んー、なんだろ。ベリー系なのはそうなんだけど、どっちかと言うとアセロラとかの香りが混ざってるかもな。

 甘酸っぱいんだろうなって感じの香り。

 ではでは、テイストと参りましょうかね。


「――うっま」

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