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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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七色サラダ

「……エイヒレ的な?」


 梅水晶みたいなの、多分エイヒレ。

 いや、居酒屋とかで出てくる梅水晶って鮫の軟骨と梅肉を和えた物だけど、この梅水晶は違うというか……

 揚げたエイヒレみたいな食感がするんだよな。

 あ、ちゃんと梅肉は和えてあるよ。

 サクッと香ばしくて梅の酸味がちゃんとある。

 その酸味が食欲をそそるんだ。

 一口で食べられる量なのもいい。


「うま」


 そこに流し込むワインがまた美味いんだ。

 ……何かにつけてワインが美味いとしか言ってない気がする。気のせいか?


「続いてスープです」


 と言って持って来られたのは、こう……なんて言うの?

 スープ皿で伝わるかな?

 あれじゃなかったわけよ。

 普通にグラスに入れられて持って来られたんよね。

 言われなかったら普通にスープとは思わなかったと思う。

 ちなみにグラスの中のスープはほんのりピンクっぽくて、クリーム色とピンク色の中間、みたいな色をしてるね。

 匂いは……ほんのり甘い感じがするかも。

 あれかな? 果物のスープかな?

 桃やらマンゴーやら、スープに使われる果物は結構あるし、そんな感じなんだろうね、多分。


「……普通にじゃがいものスープなんだけど」


 何だっけ? ビシソワーズ?

 冷たいじゃがいものスープ。

 あれ。

 ピンク色だろうと、なんかほのかに甘い香りがしようと、味は普通にビシソワーズ。

 滑らかでクリーミィなスープですこと。

 パセリの香りがいいアクセントになってる。

 普通に美味いな、これ。


「続いてサラダです」


 スープを飲み終わったらお次はサラダ。

 ――なんだけれど……なんだこれ?


「本日、クリスタルサラダになっております」


 初耳ですが。

 あの、色とりどりの宝石がお皿に盛られて来てますけれど?

 まさかこれ食べるの?


「それぞれ野菜のペーストを使ったジュレになっておりますので、ドレッシングなどをかけてお召し上がりください」


 ははーん、なるほど。

 宝石に見えるのは全部野菜ペーストのジュレ、と。

 赤はトマト、緑は他の野菜で分かるんだけど、青とかは何の野菜なので?

 ちょっとどころじゃなく気になるんだけど……。

 というわけで青いジュレから一口。


「……アスパラ?」


 多分だけど。

 アスパラガスっぽいニュアンスはある。

 あと、マジで野菜の味しかしないから、多少でも何かかけた方がいいね。

 ドレッシングかけよ。


「おー、トマト美味いな」


 赤いジュレを齧ってみたら案の定トマト、ただ、なんというか……結構甘い感じのトマトでして。

 いい意味でトマトっぽくない食感してるから、味以外が苦手な人はこのジュレサラダなら美味しく食べられるかも。

 あと、ドレッシングが普通に美味い。

 例えるならイタリアンドレッシングなんだけど、酸味とか塩味が尖ってない感じ。

 直で飲んでも咽たりしない味わいだね。

 飲まないけど。


「黄色はなんだこれ? ……パプリカ?」


 なんか、食べたことあるのに何の食べ物だったか思い出せない、みたいな事あるよね。

 今それ。

 ちなみにそんな時はとりあえず脳内に浮かんだ食べ物の味だって思い込むようにしてる。


「で、ピンクは……うん、桃ね」


 ちなみにこのジュレサラダのピンクはちゃんと桃でした。

 ……果物も入ってるならそう言って欲しかったなぁ。

 いや、ドレッシングがかかってても別に食べられるんだけどさぁ。

 折角なら、これはそのままで食べたかったかなぁ。


「こうしてジュレにしてくれたら、子供とか喜んで食べそう」


 見た目から無理って子とか居そうだし。

 ――あと、俺の職場の知り合いに、野菜を全て『雑草』でひとまとめにしてるやつとか居たし。

 そういったやつらにはこのジュレサラダは特にお勧めできそうだな、うん。


「メチャンコウルトラギガントシュリンプのグリルになります」

「……なんて?」


 今小学生が考えたみたいなネーミングの食材が出てこなかった?

 ちなみに見た目は多分海老。

 海老なんだけど……なんて言うんだろ、大きさが俺の知る海老と全然違う。

 ステーキ肉みたいなサイズ感でお皿に盛られてて、その上からソースがかけられてるんだけど……。

 エビと言えばな赤と白のストライプ模様は、側面にチラッと確認出来る程度。

 

「でっかい海老を口一杯に頬張れるのはちょっと夢かもしれない」


 回転寿司屋とかにさ、大海老の握りあるじゃん? 

 あれ大好きなんだよね。特に炙り。

 というわけで、ワクワクしながらナイフを入れて――、


「結構繊維が太いな」


 フォークをたてて、ナイフで切ろうとすると、ぷつぷつと繊維を切る感覚が手に伝わる。

 それだけ繊維がしっかりしてて、かつ太いって事なんだろうね。

 で、早速一口で頬張ると……。


「うっまぁ……」


 不味いわけないだろ! エビが!! 美味いに決まってるだろ!!

 加熱されたおかげで身はしっかりしており、生の柔らかさはない。

 でも、だからこそしっかり噛めるし、噛んだ瞬間に溢れる旨味のスープが凄い。

 さっき飲んだじゃがいものスープよりも下手したらこっちの方が美味い。

 あと、かかってるソースが美味いね。

 マヨネーズっぽい酸味のあるソースなんだけど、それが海老と合わないはずが無く。

 ワインと合わせても、脂っぽくないエビのステーキは非常に高相性。

 というか、名前だけで選んだけどこのワイン、さては滅茶苦茶受けが広いワインだな?

 今のところ何に合わせても美味いぞ?

 

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