構成替えたらいいのに
劇団員のエルフ曰く、今までも泣かれたりしたことはあったそうだが、その後の飴ちゃんで誤魔化せていたとの事。
それが今日は誤魔化せないもんだから、軽くパニックになったらしい。
そこに俺がやって来て、お菓子を与えて子供をあやしてくれたから助かった……だとさ。
「そもそも怖がられるんだったら辞めたらいいのでは?」
「でも喜ばれるお子さんもいらっしゃるので」
「あぁ……」
まぁ確かに? 全員が全員怖がるとも思えないけれども。
飛んでる生首が血を滴らせてる、とかだったら子供は全員怖がるだろうけど……。
どっちかと言うとコメディっぽい生首浮遊だからなぁ……。
「ともかく、ご迷惑をおかけしました!」
「そう思うんなら、あの親子にも謝っておいた方がいいかと」
「それはもちろんです! では!」
と、それだけ言って走り出してしまった。
恐らくはあの親子の元に向かったのだろう。
――顔を見られた瞬間に泣きだされなければいいが……。
「さて、何しようかな」
エルフのショーを終え、時刻は夕方。
ただ、ご飯の時間まではもう少しあるんだよね。
――部屋に戻ってゆっくりしとくか。
*
「モーニングはどうしよ……持って来てもらおうかな」
部屋に戻り、夜ご飯をどこで食べるかとレストラン情報と睨めっこしたり。
明日の予定を確認したりしていたら、モーニングは頼めば持って来てもらえることが判明。
明日参加する予定のツアーはお昼ごろからだし、朝はゆっくり寝ときたい。
となるとルームサービスで持って来てもらうのはありなんじゃないか?
使い方としては、今日の内にリスト内にある食べたい料理にチェックを入れて部屋の入口のドアノブにかけ、明日起きたら部屋の電話から持って来てもらうようにお願いするだけ。
簡単でいいよね。
「とりあえずサラダと、ベーコンエッグは欲しい」
で、肝心のリストにあるメニューなんですけど、まず普通に和食はある。
ご飯、味噌汁(非炭酸)、漬物、納豆、卵焼き……。
こういうのでいいんだよ朝食セットは基本網羅。
焼き魚もあるしね。
ただ、何となくパンの気分なので明日の朝食はパンにした。
「パンもクロワッサンとか選べるのか」
好きなんだよね、クロワッサン。
こう、飴みたいに甘くてザクザクしたやつもいいんだけど、バターが香る表面がパリッと焼かれて中はフワフワのやつが一番好き。
というわけでクロワッサンに。
あとはヨーグルトと、飲み物……ホットチョコレートでいいか。
これを部屋のドアノブにかけて、と。
「そろそろご飯いくか」
時間もいい頃合いなので、レストランへ。
本日晩御飯をいただくのは、エルフィアンのレストラン。
あ、エルフ料理って意味ね?
「と言っても前回のツアーでエルフ料理は食べたんだけどねぇ」
ラーメンとか、焼肉とか。
ただ、スイさん曰く、人間はエルフの解像度がそこまで高くないとか言ってたし。
多分だけど、エルフをイメージした料理って事だと思うんだ。
そんなわけで、レストランに到着。
「エルフ陣営の方ですね?」
「はい」
なお、このレストランは船に乗る時にエルフ陣営を選んでないと利用できない模様。
昼に行ったドワーフのシェラスコ店はそんな事無かったのにね?
「前菜から順にお出ししていきますが、お酒などはいかがします?」
「一応見せて貰っていいですか?」
なお、このレストランはコース料理しかなく、お酒は別料金がかかる。
ん~……ワイン一本くらいなら飲もうかなぁ。
「じゃあ、この『森の雫』を」
「かしこまりました」
折角だからね。
お酒も楽しまないと損だよねって事で。
ただまぁ、頼んだお酒はそこまで高いものでもない。
二千円くらいのワインだったし、これ位は許容かなと。
「前菜の三種盛になります」
「ありがとうございます」
で、ワインと共に運ばれてきた前菜は……豆腐とカルパッチョと梅水晶みたいな……。
何だろ。
「いただきます」
ワインを注いでもらいつつ、とりあえず豆腐から食べ始める。
ちなみにお箸は無いのでスプーンで掬う感じだね。
「あ、美味い」
で、この前菜の豆腐、ウニの風味がして滑らか。
しかも苦みとかが無くて、普通に美味しいウニ豆腐でした。
「……あ、合う」
で、『森の雫』とやらを合わせてみたけど、合うね。
白ワインで、ワインと魚介は下手すると生臭さを増長させちゃって中々合わせるのが難しいんだけど、このワインはちゃんと合う。
スッキリした酸味でほのかな塩味、フルーティさはあるもののそこまで強くない。
ウニ豆腐の旨味がワインの塩味で補強されて、その後で酸味でサッパリ流される感じ。
香りの余韻もそこまで強くないし、しっかり食事に合わせられる美味しい白ワインって感じ。
「めっちゃ美味いんだけど」
で、続いてカルパッチョ。
まずそもそもだけど、かかってるソース? ビネガー? が美味い。
バルサミコ酢っぽいベリー系果実の風味があるも、甘さは無く。
それがもっちりした白身魚と相性抜群。
旨味と甘味がある白身魚を噛み締めながら、ソースの酸味に舌鼓。
添えられてるハーブ系の野菜も、ソースの後味を消しつつ僅かな苦みで口の中をリセット。
その苦みとワインとの相性がまた良くて、苦みによってワインにわずかにある甘さが顔を出す感じ。
ワインの別の表情を見せてくれるから、カルパッチョとも相性はいいね。
「じゃ、この梅水晶みたいなのもいただきますか」
流石に俺の知る梅水晶じゃあないと思うけど、見た目がそれだからね。
はてさて、どんな味なのかね。




