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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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ふしぎできごとわくわくどきどき

「美味い」


 紅茶を飲み、窓から見える景色を眺めながらティータイム。

 潮風や波に当たって窓ガラスが汚れているのは残念だが、しょうがない。

 異世界だから汚れが付かない魔法とか無いものか。


「名前見た時は嘘だろ? と思ったけど、結構いけるんだな」


 ちなみに食べているのはタルト。

 ただ、フルーツのタルトとかではなくマンドラゴラのタルト。

 最初は疑問符しか出なかったそのデザートは、どうやら現代で言うスイートポテトのタルトとか、カボチャのタルト的な立ち位置のものらしく。

 オレンジや緑、黄色と色のバリエーションも豊富。

 緑色のペーストが乗ったタルトは人参味で、オレンジ色のペーストはかぼちゃ味。

 黄色のペーストはさつまいも味。どれも美味しかったよ。

 人参は特有の香りはするけど苦みとかえぐみとかは一切無く。

 かぼちゃ味は素朴な甘さで美味しかった。

 さつまいも味なんて言わずもがなで、これで美味しく作らない方が無理って感じ。

 あと、タルト生地がサクサクしててバターの香りもよく、ペーストとよくマッチしてた。

 

「エルフ街の紅茶とはまた違うけど美味い」


 紅茶も美味しい。

 なんか香りにフルーツっぽさがある。

 ぶどうとか、そっち系のかなりフレッシュな香り。

 それなのに甘さはほとんどないんだよな。

 香りと風味でじっくり味わうタイプの紅茶。

 美味いのよこれが。


「何をしておる」

「あ、スイさん」


 俺がチルタイムをしていたら、スイさんが登場。

 ――手に持ってるカクテルなんてやつです?

 理科室のビーカーみたいな容器に入ってますけど。


「食後に体を動かしてマッサージしてもらったのでおやつタイムです」

「文章の前半と後半が繋がらんくないか?」


 何を言います。

 しっかりと繋がりますよ。


「スイさんはどうしたんです?」

「ガーディアンとしての職務を全うしたので体に酒を入れようと思ってな」

「お疲れ様でした」


 おー。ちゃんと働いてたのか。

 偉い偉い。

 ――口に出したら殺されかねんな。


「ちなみに何かに襲われたりしたんですか?」

「いいや? ただ船だからの。いつ海底から魔物が襲ってくるか分からん。全力で威圧をして近くの魔物を追っ払っただけよ」


 覇気的な。

 

「ちなみにどんな魔物が居たんです?」

「コロッサルにクラーケン、その他、シーサーペントにウォータースネーク、魚系の魔物ならたんまりじゃ」

「いくつか美味しそうな魔物が居ましたね」

「実際今名前を挙げた魔物たちは美味ぞ?」

「へー。この船内で食べられないかな」

「追加で料金を払えば食べられるだろうが……大体が高級魔物達じゃからな」

「高級なんだ」


 残念。ちょっと食べたかったのに。

 まぁ、いいか。


「それよりほれ、我に労いの菓子の一つでも捧げんか」

「そういうのは自分からねだらない方がらしいですよ?」

「一向に寄越さん貴様が悪い」


 という事で、またロウチュウを献上させられましたとさ。



「貴様は船内イベントは回らんのか?」

「初日だし、あまり疲れたくないなーと」


 武器体験とかしといてよく言うぜ。


「ふむ。だがもし興味があるのならばエルフ雑技団のショーは見ておく価値があるぞ?」

「エルフ雑技団?」


 何するんだ? 手品とかなら種も仕掛けもあり過ぎて何でもありにならない?

 えーっと、エルフ雑技団のショーは……、朝、昼、夕方、夜の四部公演か。

 昼のは終わっちゃってるから、もうすぐ始まる夕方か、夕食後の夜公演か、だな。

 ちょっと興味持ったし見に行ってみるか。


「うむ、投げナイフや生み出したファイヤーボールでのお手玉、分身を行ってどれが本物か客に当てさせる催しなど様々あるぞ」


 どうしよう、超見たい。


「もし見るなら前列に陣取るより、ある程度後方で全体が見渡せる場所に座るのがおすすめだ」

「なるほど」


 そこまでアドバイスされちゃあ見に行くしかねぇな。

 というわけで行ってきますね。


「見に行くのか」

「面白そうなんで」

「うむ、楽しんで来い」


 なんて言ってスイさんに送り出され。

 俺は、エルフ雑技団のショーへと足を運ぶのだった。



「多い!! 一体どうなっておる!!」


 忠がエルフ雑技団のショーを見に消えた直後、契約したガーディアンにのみ聞こえる警報が発令。

 船底部分を、どうやら魔物が攻撃しているらしい。


「またどうせコロッサル辺りだろうに!!」


 ガーディアンとして乗っている以上、仕事が優先なのは当然。

 ――ではあるのだが。


「これからゆっくりとロウチュウを味わおうと思っておったのに!!」


 目の前に迫る好物を取り上げられた時ほど、怒りを覚える事も無い。

 ゆえに、翠龍と呼ばれるその存在は、激しく怒り狂っていた。

 具体的に言えば四年に一度あるか無いかレベルでキレ散らかしていた。

 船の内部で一番下まで降り、そこにいるエルフの転移魔法によって船外へ。

 そうして何者かに攻撃されている船底へと出た翠龍は……。


(お、美味そうじゃの)


 紫と黒のストライプ。

 硬い殻にその身を閉じ込め、強大なハサミで獲物を捕らえる――メチャンコウルトラギガントシュリンプの姿が、そこにはあった。

 

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― 新着の感想 ―
唐突なロウチュウ。 翻訳さんも結構成長してるはずなのに謎の誤訳が… 製品名に配慮してるなら、ハイチュウ献上させられたって言っちゃってるんだよね
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