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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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異世界宗教

「ふむふむ。ある程度口に残るソフトキャンディか」

「口に合いますでしょうか?」

「悪く無い。次は青リンゴ味にしよう」


 ……うん。

 本日異世界に持ち込んだお菓子は、メジャーでもハマる人がいるとかなんとか言われる日本のソフトキャンディ。

 グレープ、青りんご、ストロベリー、ヨーグルトの4つのフレーバーを全部持って来てみました。

 各味一つずつを例の名刺入れに入れて運んでる。

 まぁ、最初の一セットはスイさんに全部食べられるわけだけど。


「さて、では行くか」

「?」

「非常訓練。客室のエリアが同じなのだから向かう先も同じであろう?」

「いや、俺まだ映像とか見てませんけど……」

「む、それもそうか……」


 たった今魔力を込められたばかりだしね。

 映像を確認出来ていないんよ。

 というわけでスイさんと別れ、俺は部屋に戻って映像の確認。

 

「まぁ、避難経路とか、緊急時の対応についてだよな」


 映像の最初の方は、馴染みのあるもの。

 トラブルが起きた際の移動経路と、それぞれの客室がどこに集合するかの確認。

 ついで、


「……魔物に襲われた時の対応?」


 映像に映し出されるのは、クラーケンやコロッサルと言った巨大イカや巨大たこ、ワイバーンや巨大な鳥などの魔物に襲われた時。

 こんな時は――、


「祈れって言うのは身も蓋も無さ過ぎないか?」


 ガーディアンが追っ払ってくれることを祈れ、だそうです。

 いやまぁ、俺ら乗客に出来ることはないって話なんだろうけれども。

 せめて万が一の為に避難くらいはさせて欲しいな。

 で、肝心のガーディアンの紹介に入ると……。


「……スイさん、ガーディアンなんだ」


 物凄く見知った顔が紹介されておりました。

 ただ、『スイ』としての紹介ではなく、『翠龍』と紹介されてたけど。

 あと、もう一人ガーディアンが乗船してるらしい。

 まぁ、船だからね。列車と違って広いし、大きいし、ガーディアン一人だと足りないんでしょう。

 ちなみにもう一人のガーディアンは、獣人族の方みたい。

 顔だけだったから詳しくは分からないけど、狼っぽい耳は見えたような……。

 見た目強そうだったから、期待できるんじゃない? 知らんけど。


「あー、魔物が出ると攻撃の余波に巻き込まれるから部屋で祈れって事なのか……」


 で、映像では過去に魔物に襲われた時の映像が流れていたのだが。

 ガーディアンによって一瞬で海に沈められる巨大イカ。

 ただ、沈む前の悪あがきな一撃が、甲板に居た避難中の乗客に直撃。

 大事には至らなかったものの、全身を墨で真っ黒にしてお気の毒そうな見た目になってた……。

 クリーニング代凄そう。


「あ、確率も出るんだ」


 ちなみにこの『インターレースドリーム号』が、過去に魔物に襲われた確率は399分の1、とのこと。

 どこぞのパチンコの大当たり確率かな?


「じゃあ見終わったし、避難場所に向かうか」


 という事で避難場所に移動。

 もちろん、扉を開ける時のチケットも持って。

 ――これさ、俺、普段はこういうQRコードのチケットは、QRコードをスマホで写真撮ってそれをかざして使うんだけどさ。

 魔力刻印とか言われてるこれは、それが通用するのだろうか?

 ちょっとやってみよう。

 ――ダメか。

 いや、分かってた事だけど。

 刻印された魔力に反応して扉を開ける仕組みらしく、模様だけ写真撮っても意味がないらしい。

 じゃあ、チケットを肌身離さず持っておくしかないな。


「ご協力ありがとうございます」


 という事で避難場所に向かい、そこで待機しているスタッフさんにチケットを渡す。

 すると、何やら魔力刻印の上からスタンプを押して、


「以上で非常訓練は終わりになります。ウェルカムドリンクとウェルカムピザをご用意しておりますので、そちらもどうぞ」


 と、笑顔でデッキの方へ案内される。

 ちなみに避難場所、別に救命ボートとかがあるわけではなく、そこにあるのは魔法陣が一つ。

 どうやら、そこから陸地の決められた場所の魔法陣に転移させるらしい。

 流石異世界、何でもありだな、と思った瞬間である。

 で、促された通りデッキの方へ向かってみると、


「エルフ派ですか? ドワーフ派ですか?」


 ウェルカムドリンクを配っているスタッフさんから、そう声をかけられる。

 なんて?


「質問の意図が……」

「エルフとドワーフ、どちらがお好きですか?」

「えー……じゃあエルフで」


 最初のツアーがエルフのものだったし。

 特に考える事無くそう答えると、


「エルフ陣営一人追加でーす!」


 とか声を張り上げられ、ようやく渡されるウェルカムドリンク。

 赤い炭酸の飲み物だな、なんだろう……。

 ――んー? スイカっぽい味なんだけどなんだろうな、イチゴみたいな甘さもあるな。

 スイカの瑞々しい甘さと、イチゴの甘酸っぱい感じが足されてる感じ。

 まぁ、美味しい、うん。


「ウェルカムピザでーす!」


 そして、有無を言わせないウェルカムピザもやってきましたよっと。

 ジェノベーゼかな?

 結構緑な見た目ですわね。

 

「ん、美味い美味い」


 適当なテーブルに着席し、ナイフとフォークでピザを一口。

 ジェノベーゼだけどなんだろうな、あまり香草が強くないね。

 ほんのり感じる程度の香りしかない感じ。

 その分味がしっかりしてて、特にニンニクのパンチ力はあるかな。

 そこにチーズと野菜の味わいが乗って、ガツンと来るけどサッパリ食べられる。

 ウェルカムドリンクとの相性もいい。

 ……というか、普通に軽食だな。


「……とりあえず部屋でゆっくりするか」


 食べ終えたのでスタッフさんにグラスとお皿を返却し、部屋へ。

 そういえば『スイ』さんから声をかけられなかったな。

 もしかしたらドワーフ陣営に行ってたりして。

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