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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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割と起きそう

「うむ♪ うむ♪」

「もう無いですからね」


 結局、持って来ていたオソラクカットの抹茶味は、龍族お姉さんが全て平らげましたとさ。

 いやまぁ、いいんだけれども。


「ふぅ。満足」

「気が済んだようで」

「うむ。にしても、これが子供の小遣いでも買えるような値段か……。恵まれておるな」

「それについては完全に同意ですね」


 手頃に買えるお菓子がどれもこれも一定以上のクオリティを保っている。

 これ、実は凄い事でね。

 親に連れられて行った海外で、まぁその国のお菓子を買う事がありまして。

 値段が高いのはいいのよ。しっかりしてる。

 でも、値段が安い奴になると一気にクオリティ落ちるんだよね。

 味とか、包装とか、形とか。

 当たり前にパッケージと見た目が違うとか横行してるし。

 日本のはその辺厳しいらしく、何ならパッケージに描かれた大きさじゃないとダメとかまであるしね。


「他にどんな菓子がある?」

「チョコレート系でです? それともそれ以外って意味です?」

「どちらでもだが……そうだな、貴様は普段どんな菓子を食べるのだ?」

「俺が食べるのはグミとかですかね。ハード系のが好きですね」

「ほう」

「後はスナック系。ポテチとか」

「ほうほう」


 俺が食べるお菓子の話を聞いて面白いのか? とは思うものの、聞かれたからには答えねば不作法というもの。


「結構幅広く食うんじゃな」

「そう……ですねぇ」


 まぁ、当たり前に食べるかな。

 というか、逆に日本人ならほとんど食べてる気もするけど……。


「よろしいですか?」

「ん? おお。構わんぞ」


 と、先程人払いされたビオラさんが戻ってきて、


「御厨さま、そろそろ日の出の時間になります」

「あ、了解です」


 そう案内される。

 日の出の頃には客室に戻り、引き延ばされた時間の中でお酒でも飲もうと思ってたから、声をかける様にお願いしてたんだよね。


「じゃあ、俺は客室に戻りますね」

「うむ。抹茶チョコレート、馳走になったぞ」

「またこっちに来る時は、別のやつも持って来ますよ」

「約束じゃぞ!!?」


 食いつきが早い。

 まぁ、別に高いものでもないし、持って来るのは構わないけど……。


「スイ」

「?」

「我の名前よ。新しいチョコを持ち、こちらへ来た時にはその名を呼ぶがいい」

「呼んでどうなるんです?」

「知らんのか?」


 知らないから聞いてるんですけど……。


「我が来る」

「……考えておきます」

「いやいやいやいや! 呼べ! 絶対に!! 必ずだぞ!!」

「分かりましたって」


 ……何というか、龍族ってもっと厳格というか、近寄りがたい空気を纏ってるものだと思ってたんだけどなぁ……。

 威厳ある龍族の姿か? 異世界のチョコレートをねだるこの姿が?


「龍族が名前を教えるのはかなり珍しい事です」

「あ、そうなんだ」


 客室に戻り、ベッドにダイブ。

 そうして横になりながら、これから日が昇る地平線へ視線を向けると、ビオラさんがそう言って来て。


「サイコロ六個を同時に振って、全て違う目が出る位にはレアですね」

「試行回数次第で割と出そうなんですけどそれは……」


 変に例えられると逆に実感わかないな。

 でもまぁ、『スイ』さんね。

 多分覚えた。

 俺はこう見えても人の名前とか覚えるのは得意な方なんだから。

 例えば自動車の保険を担当してくれてる人の名前とか。

 ほら……えーっと……。

 ――名刺名刺。


「同じ龍族では珍しくもない事なのでしょうが、人間相手に名前を教えるというのは聞くのは稀ですね」

「でも前例はあるんでしょ? その言い方だと」

「はい。このツアーを――というよりは、この世界の各種族の特徴を出したツアーは、全て一つのギルドの管轄で動いているのですが」

「ふむ」

「そのギルドのギルドマスターが人間です」

「ほへー」

「その方は、恐らくほとんどの龍族の名前を知っているのではないですかね」

「……ん? てことは逆にそのレベルじゃないと名前を教えない?」


 気付いちゃった気付いちゃったわーいわい。


「それも個体差がありますから。ただ、それでも龍族の名を一つも知らないまま生活する人間が大半です。ですので、御厨さまは相当珍しい人間に分類されるかと」


 ふぅむ。

 でもなぁ、これが特に何かの強みになるって訳じゃあないんだよな。

 仮にこれが仕事で生きるとかなら評価は変わるのに。


「龍族のツアーに参加すれば、多少の恩恵はあるかもしれません」

「あー……そっか。龍族もツアーを開催してるのか」

「大変人気なツアーですよ」


 龍族のツアー……ちょっと想像が出来んな。

 どんな事をするんだろう。


「飲み物はどうしましょう?」

「輝蜜酒ってあります?」

「ございますよ。比率はどうしましょう?」

「蜜六で」

「かしこまりました」


 で、昇る朝日を見ながらのお酒は輝蜜酒に決定。

 甘めのトロリとした酒を、昇る朝日に照らされながら飲むんや。


「ツマミは何にしようかな。……ビスケットとかでいいか」


 ビオラさんが輝蜜酒を持って来るまでの間に、ビュッフェを一通り確認し。

 特に何も思いつかなかったので、とりあえずでビスケットをチョイス。

 甘いお酒には香ばしいツマミが合うのよ。

 バターとかが香る系のね。


「お待たせしました」


 さて、お酒も届いた事ですし?

 ゆっくりと、日の出を眺めながらの一杯と行きますか。

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