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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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バカ(褒め言葉)の飲み物

 ……ふぅ。

 読書の後のコーヒーが美味い。

 しかもそれが、満天の星空を眺めながらというのがまたいい。

 こういうのは、登山とか、キャンプとかしないと巡り合えないものかと思ったけど、異世界に旅行に行ったら出会えるもんなんだねぇ。

 明らかにそっちの方が出会う難易度高いけど。


「軽くお腹が空いたけど、何か摘まめるものは――」


 異世界の歴史の勉強をしてたら小腹が空いて来ちゃった。

 ――本当は時間も経って、って言いたいんだけど、引き延ばされてるせいでいまいち実感がわかないんだよな。

 ゆえに、俺が信じられるのは己の腹時計ってわけ。


「……チョコカスタードドリンクとかあるんだ」


 で、何かないかとビュッフェをスライドさせてたら、なんかカロリーの暴力みたいな飲み物を発見。

 こんなの絶対考えたのアメリカ人だろ。

 俺は詳しいんだ。


「まぁ、頼みますけれども」


 勉強の後には糖分が欲しくなる。

 つまり勉強の後に甘い物を飲むのはカロリーゼロ。

 俺の理性もそうだそうだと言ってます。


「これになおトッピングさせようとするのか……」


 で、チョコカスタードドリンクを注文しようとしたら、トッピングは? と尋ねられ。

 トッピングの種類を見れば、ローストナッツやシナモン、ココアパウダーにキャラメルソース、抹茶パウダーなんかもあったな。

 いや、結構どれも美味しそうだけれども。

 俺は一旦プレーンをいただくよ。


「うぉ、すっげ」


 特にサイズとか指定無かったけど、出てきたのは某Mのマークのファストフード店のドリンクのLサイズ相当。

 ここにチョコカスタードが詰まってるのか。


「……!? うま!!」


 で、一口飲んでみたらですよ。

 もう一気に脳が覚醒したね。

 チョコレートドリンクって言ってもいろんなものがあると思うんだけど、このチョコカスタードドリンクはそりゃあもうチョコが濃厚。

 マジでとかしたチョコそのままなんじゃないの? という位にはチョコが濃い。

 例えるならそうだな……有名高級チョコメーカーで飲めるチョコレートドリンクくらいか。

 で、カスタードがじゃあチョコに負けてるかって言われるとそうじゃない。

 カスタードもしっかりチョコを押しのけて主役になろうと主張してくるのよ。

 つまりどういうことなのかって言うと……。


「美味いけど重いな」


 こういう事。

 ちなみに一番わかりやすく味を伝えるとするのなら、


「すっげぇバカの味がする」


 以上である。

 カスタードとチョコレートを混ぜて飲めるようにしたもの。

 それ以上でも以下でもないし、誰でも思いつくような飲み物ではあるのに、チョコもカスタードも美味しいものを使って作られているから間違いなく美味しい。

 ただ、美味しいのと賢い味かというのはイコールではないので。

 美味しいバカの味。

 これが一番表現として正しい気がする。


「ぶっちゃけカロリーがいくらなのかは気になる」


 で、普通に作られて出されたせいで、成分表とか何も無いわけで。

 このドリンク一杯で、どれくらいカロリーを摂取している事になるのか分からん。

 ただ、確実に言えるのは間違いなく砂糖は多いだろうなって事。

 

「なんか塩気があるものが欲しい」


 甘いもの、しかも重いものだけだと口の中が甘ったるくなり過ぎてどうしようもないので、一度塩気のあるものでリセットしよう、という事で。


「まぁ、ポテチとかか」


 目についたポテトチップスをチョイス。

 味付けは……お、トリュフバターとかあるじゃん、これにしよ。


「……旅行を楽しむ秘訣。食べたカロリーは気にしない」


 旅行中は健康の事を考えない。

 旅行から帰り、現実に戻った時に後悔して運動すればいい。

 ちなみにこれ、父親からの教え。

 あと、運動は基本的にジョギングが一番というのも父の教え。

 曰く、有酸素運動しか勝たん、との事らしい。


「はー……体に悪い味がする」


 ポテトとバターの組み合わせは悪魔って多分聖書でも言ってる。

 バカの味とか、体に悪い味とか言ってるけど、結局は美味いって事だからな。

 バターのコクと塩味、トリュフの独特の香りと風味、薄く揚げられたポテトチップスの食感が全部最高。

 チョコカスタードドリンクも進むってもんですわ。

 ――本当にそうか? これにはチョコカスタードドリンクよりもむしろ……。


「かーっ! っぱポテチにはコーラよ」


 コーラよな。 あらゆるメディアがポテチとコーラは合うって言ってたもん。

 嘘じゃないもん。


「……血糖値上がったらまた眠くなってきたな」


 我ながら自堕落だと思う。

 寝て起きて、軽く食事して本読んで。

 小腹が空いて、スイーツだかドリンクだかよく分からない飲み物飲んで、また眠くなる。

 あまりにも欲望に忠実過ぎる。


「でもまぁ、時間はゆっくりあるのは事実だしなぁ」


 引き延ばされ、一夜が一日分の長さのある特別な旅行。

 だからこそ、こうして勿体ない時間の使い方も許される。

 それに、俺が尊敬するとある人も言ってたんだ。

 あるのがいけない! あるのがいけない! って。

 ……というわけで仮眠します。

 おやすみなさい。

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