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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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201/212

たまにしか食べられないご馳走でち

 すっごい輝いてるみたいなお寿司出来ました。

 もちろん比喩。ただ、異世界だとマジで光り輝く寿司を作れちゃいそうだからこの注釈はいる。


「塩に付け込んだ柚子の皮を乗せますので、そのままお召し上がりください」

「はい」


 という事で、異世界クツゾコ? の握り、いただきます。


「ん、うま」

「美味いね」


 口に入れた瞬間にふわりと香る柚子。

 その先で、桜のようなほのかな香りが口に広がっていき、魚の身は弾力がある。

 その弾力に歯が差し込まれて行くたびに、身から肉汁が溢れる感じ。

 酢飯の具合、魚のうま味と甘味、塩漬け柚子と、それぞれの美味さの相乗効果が凄い。 

 この寿司一貫食べただけで、頭の中のイメージが回らないお寿司になっちゃったよ。


「炙られてるから香りと香ばしさが強いね」

「かなり美味しいですよね」


 魚の脂も感じるけど、それは柚子のさっぱり感が打ち消してくれるし。

 柑橘系と相性いいのね、異世界クツゾコ。


「皮目の部分です。こちらはタレを塗ってますので、やはりこのままで」


 という事で皮目のお寿司。

 皮だけじゃなく、すぐ近くの身も一緒に切られてるね。

 どれどれ、


「こっれやっばい」

「最高」


 パリッと焼かれた魚の皮と、その皮に付いた脂がたっぷりのった身の組み合わせ。

 皮は鮭の皮を想像して貰って、そこから生臭さを引いて、ふわりと桜の香りをつけ足したもの。

 塗られたタレがまたいいね。

 醤油ベースでほのかに甘い、柑橘系の香りがするタレで、これがまた皮との相性がいいんですわ。

 たった二貫なのに満足度がやべぇ。


「めっちゃ美味かったです」

「それは良かったです」


 仕事を終えた、とばかりにぺこりとお辞儀し、俺らの前から去る職人さん。

 いやぁ、どこまでも仕事人って感じがしてカッコいい人だったなぁ。

 ――あ、今ガッツポーズした。

 しかも結構大きめの。

 まぁ、だからと言って評価が変わる事は無いわけですが。


「こっちのお寿司も美味しいでしょ?」

「かなり。前にも別のお店で食べましたけど、あれですね。しっかりした所はちゃんとしてる感じですね」

「そうそう。まぁその、しっかりした所が少ないのと、どうしても高くなるのがネックだけれど」

「寿司といってドラゴンロールとか、カリフォルニアロールとか出てこないなら御の字じゃないです?」

「それらが出てくるのが一般的だよ」

「あるんですねぇ……」


 そりゃああるか。

 まぁ、だからと言ってどうこうは言わないけど。

 それに、カリフォルニアロールやドラゴンロール、別に嫌いじゃないんだよな。

 出されたら普通に食べる。

 自分から寿司屋で注文はしないけれども。

 

「塩焼きでち」

「ありがと――」


 異世界クツゾコの塩焼きを持って来てもらい、それを受け取ろうとして。

 店員さんを見て、動きが止まる。

 めっちゃ涎出てますけど……。


「どうしたの?」

「あ、いえ――」


 ホウスさんに声をかけられて俺は動きを再開したけど、店員さん、マジで釘付けで異世界クツゾコの塩焼き見てたな。


「ごゆっくりどうぞでち……じゅる」


 堪えきれずに涎飲んだもんね、今。

 マジか、そこまでなる魚なのか? これ。


「店員さんの涎が凄かったんですよ」

「これ、一応高級魚だからね」

「へー」


 高級魚なんだ、異世界クツゾコ。

 見た目はそうは見えないけどねぇ。


「ま、食べようか」

「ですね」


 そんなわけで、店員さんが涎を垂らすレベルの塩焼き、味わって行きましょうか。


「……めっちゃジューシィですね」

「美味いでしょ」


 皮は握りと同じくパリッと。

 ただ、その皮の下の身はびっくりするぐらいにジューシィ。

 箸で摘まむだけで、ぽたぽたと脂とうま味が垂れる程ですわよ。

 で、それを豪快に口に運べば皮目の香ばしさと肉汁、脂の大洪水。

 皮目の握りとは全然違うね。

 主に汁っけが。

 塩焼きの方が身から出る旨味のスープが多い。

 で、そのスープがまた美味いんだ。

 鯛よりもうま味が濃厚。


「米がうめぇ!」


 そんなスープを味わった後に、スープの残り香ならぬ残り旨味が消えないうちに頬張る白米は格別。

 口一杯に頬張ったら、何度も咀嚼し味わって。

 飲み込んだ後に味噌汁で追い打ち。

 全て終わって漬物で口の中をリセット。

 そしたらまた塩焼きからのリスタートっと。

 しばらくはこのループ止まらねぇぞ。


「気持ち良く食べるねぇ」

「こんな美味いもんは食べれるうちに食べとかないと!」


 親戚の子供見るみたいな目で見てくるホウスさん。

 これあれだな、自分がそこまで食べられないから、周囲に余計に食べさせようとしてくる感じのタイプだな。

 

「美味しいんだけど脂がきつくてねぇ」

「言うほど年を重ねてるようには見えないですよ?」

「ん~、童顔って言われてるのか、老けて見えないって言われてるのか、判断に困るな」

「そう言う時は自分が嬉しい方に取るんですよ」

「見た目が若そうってだけで、散々舐められてきたからね、こっちじゃ」


 あー……異世界だとそういうのもあるのか。

 結構大変だな、それは。


「まぁ、舐められたら都度分からせてきたけど」

「へ?」

「優秀な友達がいっぱい居たからね。その人たちに頼んで、ね?」

「何をしたかは聞かないでおきますね」


 ご飯の味が変わりそうなんで。


「全部食べられる?」

「余裕っす」

「もう一匹釣る?」

「それは無理です」


 釣れる魚のサイズにもよるけど。

 ワカサギとかならいけますぜ。


「じゃあ、今の分で終わりにしとこうか」

「ですね」


 というわけで、残りの塩焼きは独り占めしていい許可出たんで、堪能します!

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― 新着の感想 ―
ホウス:優秀な友達がいっぱい居たからね。その人たちに頼んで、ね? 忠:聞かない方が良さそうだ… ホウス:全身の血液を抜かれたり… 忠:(デ◯オ?) ホウス:いきなり身体が沸騰したり… 忠:(AC/DC…
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