?「俺ならペロリだが?」
うぅむ……。
食べたいときに釣れてくれないのは、こういうスタイルのお店の宿命なのかね。
まぁ、相手は生きてる魚……の魔物だもの。
こういう時もあるか。
「釣れるまで何か摘まむ?」
「良さげなのあります?」
というわけで何か食べよう、という話になり。
メニューを見ると……。
「チーズの唐揚げやら野菜の唐揚げやら、揚げ物多いですね」
「ハーピー的に縁起がいい言葉らしいよ? 揚がると上がるでかかるから」
「日本人も言いますよね。運気が上がるとかとかけて」
「いうね」
揚げ物にはこだわりがある様子でした。
という事で、野菜とチーズの唐揚げ盛り合わせを注文。
それに合わせて飲み物もカルピスソーダを。
ホウスさんは相変わらず烏龍茶ですけども。
「そうそう、ハーピーと煙は高い所に昇るって言葉は暴言だから注意ね」
「まぁ、元になったであろう言葉から推察できますが……」
急に何言いだすかと思えば。
言いませんよ、そんな言葉。
「唐揚げの盛り合わせでち」
そして運ばれてきた唐揚げたち。
いやまぁ、頼んだのは俺らなんだけれども。
野菜の唐揚げがいくつも盛られてるのは違和感があるな。
「レモンかけていい?」
「あ、はいどうぞ」
俺は気にしない派。
ただ、かける前に一声掛けるのは必要だよね、とは思う。
まぁ、この問題に関しては散々言われてるから、今更ではあると思うけど。
「……あ、美味い」
「あっさり目の味付けで野菜と合ってるし、サクサクした食感がいいアクセントだよね」
「火を通したことで野菜のうま味や甘みも強く出てますし、普通に美味いっす」
野菜の唐揚げ、あまり食べた記憶は無いけれど、この店で食べたのは美味しかったな。
唐揚げにされていたのはミニトマト、アスパラ、ゴボウ、しいたけ。
しいたけは野菜の括りでいいのか? とは思ったけど、まぁ異世界だし。
現代と区別の仕方が違うんでしょう。知らんけど。
「ビールとかハイボール飲みたくなるよね」
「すっげぇ分かる」
「まぁ、アルコールを頼むコースにはしてないんだけど」
「さっきからなんで飲みたい欲を煽って来るんですかねぇ?」
わざとだろ、この人。
言われたらもうずっとビールとかを流し込みたいと思い続けちゃうじゃん。
唐揚げの後にキンッキンに冷えたビールを流し込みたい……。
「そう言えばですけど」
「?」
「お酒飲んでても空って飛んでいいんですか?」
「ダメだよ?」
「んえっ!?」
「普通に飲酒飛行で捕まる」
「捕まるんだ」
そこら辺は異世界でもしっかりしてるんだな……。
「呼気に一定以上のアルコールが含まれてたらアウトだね」
「取り締まりの基準があまりにも現代的過ぎる……」
しかも基準も現代を模してるし。
「ちなみに基準としては?」
「ビール十杯とか飲んでたら捕まるかな」
「飲めるか」
いや、飲めはするけど……。
多分寝転がって動かないと思う。
わざわざ空を飛ぼうとは思うまいよ。
「となると相当飲まないと捕まらない?」
「だからと言ってあまりお酒を飲んでの飛行は推奨されないけどね」
まぁ、そりゃあそう。
結局飲酒をすると判断とか鈍るし。
普段と違う感覚の飛行をその状態でやったら、まぁ色々と危険はありそう。
「ラムレーズンアイスを二百六十個食べてたら絶対に飛んじゃ駄目だよ?」
「食べませんよ?」
まず桁がおかしい。
なんだよ二百て。
どんなアイスでもそんな数食べたら低体温になるだろ。
もしくは何かしらの中毒を起こさんか?
そもそも途中で飽きてその数食べきれないに一票。
「ん、引いてるね」
「お、ようやくですか」
なんてバカな話をしながら野菜唐揚げを摘まんでいると、俺の竿に当たりが。
今度はデカい魔物じゃありませんように。
――あ、そうそう、チーズの唐揚げはカマンベールチーズっぽくて、濃厚でコクがあってその上伸びまくって美味しかったです。
ただ……余計にビールが恋しくなりました、というね。
「おー、いいじゃん」
「何すかコイツ」
なお、釣れたのはまたしても見知らぬ魚なもよう。
異世界の魚は以下略。
なんか、サンダルの底みたいな見た目ですけども。
「現代で言う所の鯛かな」
「鯛? この見た目で?」
「ああ、クツゾコっぽいもんね」
「?」
「そういう魚が居るんだよ」
クツゾコって名前の魚が?
マジで?
流石に名付けが適当過ぎない?
「こいつはどうしようか……塩焼きと、炙り寿司にでもして貰う?」
「いいですね」
「ちなみに一番美味しい食べ方は塩釜焼きだけど、流石にね」
「今からだとどれくらい時間掛かるんですかね……?」
塩釜焼き、勝手なイメージ一時間とか掛かりそうだけれども。
流石にそんなには待てんなぁ。
というわけで、ホウスさんの意見を尊重し、塩焼きと炙り寿司に決定。
で、店員さんにその事を伝えたら、目の前で炙り寿司を握ってくれるとの事。
ハーピーさんが握るの? と思ったら、普通に奥から人間が出てきた。
頭にはねじり鉢巻き、明らかに板前です、と言いたげな白い服。
う~む、ビジュアルは百点。
「骨の周りのうま味が強い所と、皮目の脂が乗ったところを握りましょう」
「お任せするよ」
という事で目の前でお寿司が握られますわよっと。




