表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
198/221

塩、炎、聖水

「釣れるまでのお通しです」

「ありがとうございます」


 窓へ仕掛けを投げ入れ、釣れるまで待機。

 これ、釣れなかったら空腹と合わせてイライラしそうだな、とか思っていたら、お通しが出されました。

 流石にその辺は考慮済みらしい。


「これは?」

「大根の天ぷらだね」

「珍しいですね」


 お通しとして出されたのは、何かの天ぷら。

 その詳細をホウスさんに聞いたら、あまり聞きなれない料理だった。


「おでん風の出汁をたっぷり染み込ませた大根を、薄く衣をつけてサッと揚げてるのさ」

「美味そう」

「どうせそんなすぐには釣れないし、先に食べてようよ」


 という事でお通しの大根天、いただきます。


「……うっま」


 コンビニのおでんにある大根と同じサイズなんだけど、歯が当たったらスッと崩れるほどにホロホロ。

 薄い衣はパリパリとした食感で、シャクッ! とした大根の食感との対比が素晴らしい。

 あと、全然繊維っぽくない。

 大根って、場所によっては強い繊維があって舌や歯に当たると思うんだけど、それが一切無いね。

 染み込んでる出汁も美味しいし、これは最高のお通しですわ。

 あとは釣れりゃあ文句は無い。


「飲み物も頼んどこうか」

「烏龍茶で」

「あいよ」


 という事で飲み物も頼み、お通しも平らげまして。

 待つ時間に……。


「ちなみに釣れない事ってあるんですか?」

「めちゃめちゃ運が悪かったら、かな」

「その場合は返金とかあるんです?」

「ないよ? 坊主定食って言う、釣れなかったお客さんだけが頼める無料の定食が用意されてる」

「へー」


 釣れなくてイライラしている客に、そのメニューをお勧めするの勇気がいるのでは?

 普通に死体蹴りに等しい行為だと思うけど。


「ん? 引いてません?」

「? あ、本当だ」


 どうやら俺らはそんな坊主定食を注文するような事にはならなさそうだ。

 ちなみに引いてたのはホウスさんの竿。

 普通にリールを巻いて、釣り上げたのは……。


「……? 何コイツ」


 見た事無い魚でした。

 いやまぁ、異世界の魚なんざほぼ知らんが。


「何だっけな。魔ゴチだっけ」

「マゴチ?」

「確かそんなの。どう調理しても美味い魚だったはず」

「ほへー」


 というわけで記念すべき一匹目はマゴチというお魚らしいです。

 

「どう食べる?」

「俺が決めていいんです?」

「いいよ」


 ……う~ん。

 初めて見た魚だしなぁ。

 お店にお任せ、でいいんじゃないかな……。


「じゃあ、お任せで」

「ん。すいませーん」


 という事で釣れたマゴチとやらをお店にお任せで。

 何になるかなぁ。


「ホウスさん的にはどう食べます? あの魚」

「んー、刺身は厳しいから、天ぷらと煮付けかなぁ」

「刺身が厳しいってのは、鮮度的な意味で?」


 釣れたてなのに?


「まぁ、そうだね。鮮度というか、呪い的なものだけど」

「? それってあの魚だけです?」


 異世界に来て、生魚って割と食べたぞ?

 何なら、寿司とかも食べたし。


「いや? 魔物全般は基本生食無理だよ?」

「へ?」

「ああ、高いお店は刺身でいけるよ。解呪に結構費用がかかるんだよ」

「……へー」


 よく分からんけど。

 高い店は生でもいいのね、なるほど。

 ……じゃあここは、そこまで高い店じゃない?


「海が無いからね、空は」

「なんか関係あるんです?」

「塩が必要なのよ。解呪の為に」


 ……そうなの?

 いやまぁ、清めの塩とか言いはするけども。

 あれ、異世界でも有効なんだ。


「ん? 引いてない?」

「え? ……あ、本当だ!」


 で、そんな話をしてたら俺の竿にもアタリが。

 さてさて、何が釣れますやら。


「……こいつは?」

「魔ツゴロウだね」

「ムツゴロウではなく?」

「魔物のムツゴロウだから、魔ツゴロウ」

「あ、じゃあさっきのマゴチも?」

「頭のまは魔物のま」

「はへー」


 ……割と何でもいけないか? それ。

 魔鯛だとか、魔鯵だとか、魔鯖とか。

 絶対に名前付けるの面倒になっただろ。


「魔ツゴロウならかば焼き一択だね」

「そうなんです?」

「日本のムツゴロウは知らないけど、こっちの魔ツゴロウはかば焼きにすると抜群に美味い」

「へー」


 そもそもムツゴロウを食べるって発想が無かったわ。

 そうか、魚か、アレ。

 まぁ、ムツゴロウと聞いて真っ先に出てくるのは魚じゃなくて人物なんですけどね。

 動物大好きな。

 ――今更だけどデカくない?

 魔ツゴロウとやら。

 鯵とかと変わらんサイズしてるぞ……。


「お待たせでち。魔ゴチの天ぷらと煮付けでち」

「ホウスさんの言った通りだ」

「ね?」


 マジで天ぷらと煮付けで来たし。

 あ、魔ツゴロウの調理お願いします。


「いいサイズの魔ツゴロウでちね。かば焼きでいいでち?」

「うん。あと、肝吸いも」

「がってんでち」


 店員さんも魔ツゴロウはかば焼きって言ってたし、余程美味いんだろう。

 それはそれとしてお腹すいたよ。

 魔ゴチの天ぷらと煮付け、食べましょ。


「いただきます」

「いただきます」


 ホウスさんと二人で手を合わせて、いただきます。

 ちなみにご飯と味噌汁、漬物は付いてた。

 おかわり自由だとさ。


「食事中に釣れても困るし、仕掛けは引き上げちゃうか」

「あ、そうですね」


 食べようって思ったけど、確かにホウスさんの言う通り。

 一旦仕掛けを引き上げましてっと。

 改めまして、魔ゴチとやら、いただきます!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
忠:この魚は…? ホウス:魔ナガツオだね。 忠:コレは…? ホウス:スベスベ魔ンジュウガニ。 忠:絶対日本人が考えてるなぁ…。コレも解呪したら食べられるんですか? ホウス:どうなんです? ??:食える…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ