言ってくれたらいくらでも……
結論として、俺が手に入れたぜんまいは五個でした。
う~ん、微妙。
羽根飾りにも届かなかったし、どうしたもんか。
バスタオル欲しいけど、そうするとハンカチしか交換候補が無いんだよな……。
まぁいいか。
「お疲れ。随分と控えめだね?」
「陣取った近くに家族連れが居まして」
「邪魔しないようにって? いい心がけじゃん」
ホウスさんから声をかけられた。
その手には、ぜんまいがたっぷりと掴まれていましたわ。
……ガーディアンだから勝手に不参加だと思ってたけど、ガッツリ参加してらっしゃる。
「はい、プレゼント」
と思いきや、俺にぜんまいを五本押し付けてきた。
「いいんです?」
「安定区域ギリギリで待機してて、それよりも落ちそうになったこいつらを回収してただけだからね」
「なるほど」
ああ、やっぱり参加してなかったのか。
パチンコ店で床に落ちたパチンコ玉を拾って遊戯中の客の下皿に入れる、みたいなもんか。
「えーっと、あと獲得数が少ない人たちは……」
で、ホウスさんはそのまま次にぜんまいを押し付けられそうな人を探しに行きましてっと。
さて、羽根飾りが交換出来るので交換してきましょう。
「飾りの種類はどうされますでち?」
「どんな種類があります?」
「健康祈願、安産祈願、運激盛の三つでち」
……突っ込むべきか?
明らかに三つの中で一つだけ、異質なものがあったろ、今。
「運激盛って具体的には?」
「身に付けていると、十年ごとに運気が倍増し続けるでち」
「十年ごとか……」
百まで生きるとして、八十超えたあたりで運が六十四倍。
それってどうなんだ?
そこから運が良くなったとして、何かあるんかな……。
となると、一択って事になるんだけれど。
「健康祈願で」
「どうぞでち」
というわけで渡された羽根飾りは、何と言うか。
某RPGで言う、不死鳥の羽根というか。
某TCGの鳳凰神の羽根みたいな見た目。
燃えるようなオレンジ色で、炎を連想させるような毛の形状。
大丈夫? これ、カバンに付けてたらカバンが燃えたりしない?
「ありがとうございます」
「手入れをしっかりすれば、より効果が強くなるでち」
「手入れ?」
「日々油で拭いて光沢を出したり、水洗いしてドライヤーで乾かしたり」
「あ、結構手間」
「最低でも月一で洗濯はした方がいいでち」
月一で洗濯か。
まぁ、そこまで大きいものでもないし、気が向いたらやろう。
「一番は乾燥した砂で擦るんでちが」
「鳥の砂浴びと一緒なんですね……」
てことは、正直どう洗ってもいいって事だな?
だったら大丈夫そうだ。
「最後のバレーボールは、三十分後でち」
「どれだけラリーを続けられるか、ですっけ」
「でち」
記録ってどんなもんなんだろうな。
そもそも、大空でやるのに落下とかあるんだろうか?
だって、誰も触れなかったとしても、ボールよりも早く急降下して、追いつけばいいだけじゃん?
――という事は、どれだけ続けられるかではなく、制限時間内にどれだけボールにタッチ出来るかの勝負?
ははーん。
このゲームには必勝法がある。
「ちなみに、補給のタイミングをずらすために、ディレイで参加するのも作戦の一つでち」
「……あ、なるほど」
言われて気が付く。
ボールを落とす展開を。
全員が飛行不可能になったら落下しちゃうのか。
となると、確かに遅れて参加することは重要そうだ。
もしかして、割と奥が深い?
「あと、落下判定は、飛行艇の底よりも下にボールが行ったら、でち」
「ちゃんと決まってるんですね」
まぁ、流石にね?
じゃないと、それこそ安定区域の限界までボールを追う事になるだろうし。
「しっかり補給しとくでちよ~」
という事で羽根飾りを身に付け、甲板へ。
今度は何で補給しようか。
「……流石にガーディアンさんは帰ったか」
「まぁ、本来は簡単に呼び出されていい存在じゃないからね」
ガーディアンさんがシュークリームを食べていた場所は、すっかり綺麗になっていました。
食べきったんだ……すっげ。
「龍人族のトップ相当、ですっけ?」
「そう。ほぼ顔役みたいなもんだよ」
「あんな、チョコとかお菓子で釣れるのにねぇ……」
どうにも想像つかん。
俺の中でのガーディアンさんの印象は、小学校低学年レベルだもの。
「あはは、まぁ、そりゃあ食いつくだろうねぇ」
「?」
「まだまだこの世界は甘味が発展途上って事さ」
「ふむ……」
「安定供給も、品質向上も、課題は山積み」
「取り組んではいるんですね?」
「もちろん。ただ、新しい技術は見つかっても独占されちゃうから」
「誰に?」
「貴族。滅びねぇかな」
なんかとんでもない言葉が聞こえた気がするけど、多分気のせいだよね。
そう言う事にしとこう。
……というか、流れるように暴言吐くじゃん。
普段からどれだけ苦労させられてるかが垣間見えるな。
「そういえば、三本満足って何味なんです?」
「? 普通だよ? スイートポテトにほうれん草、ゆで卵」
「……普通とは?」
求:普通の定義。
いやまぁ、食べ物って言われたらそうなんだけども……。
「魚介類とかの味がしないだけ普通普通」
「その言い方だと、魚介類の味がしたことがあったんです?」
「最初期。イワシとイクラとカメノテ味だった」
「……普通ですね」
これだからハーピーはさぁ。
全部の味をとりあえず魚介類から発進するの、やめな?




