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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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192/233

配慮◎

 ……ちぇっ。

 なーんだ、ホウスさんを鬼に出来たぞ! とか思ってたけど、そもそもそれがあの人の役割だったっぽい。

 こう、小学校の鬼ごっことかで、足が遅いからすぐ捕まるし、鬼になったら最後、誰も捕まえられない、みたいな展開ってあるじゃん?

 この大空鬼ごっこでも同様の事が起こりえるわけで、それがお金払って参加したツアーのイベントとなれば、ツアー全体の評価に直結する。

 で、それの対策として、ある程度長い事鬼になった人にタッチされて、かつ、鬼になってない人を積極的に狙う、バランサー的な役割が必要なわけだ。

 それがホウスさんって事。

 事実、あの人飛ぶのめっちゃ速い。

 でも、適度に捕まってくれる。

 で、まだ鬼になってない人を適度に追いかけて鬼にしちゃう。

 

「パパが鬼だー」

「逃げろー!!」


 子供連れなんかは、お父さんやお母さんを鬼にして、それから逃げることを楽しむ子供の心理を突いているし、


「はー!? こっち来んなし!!」

「黙ってタッチされろ!!」


 友達同士でツアーに参加した人たちも、片方が鬼になれば張り合いが出る。

 そうした参加客の把握と全体のコントロールを、ホウスさんがやっている、と。

 この人マジで何者?

 この人の飛翔、マジで異次元なんだけど。

 例えるなら、某4VS1の対戦型ホラゲーの看護師みたいな移動する。

 グッと溜めたらほぼノータイムで離れた場所に到着してる。

 多分ワープしてるわ、うん。


「俺補給行ってるから、あとよろしく」

「……へ?」


 トン、と、頭のてっぺんをタッチされる感覚。

 見上げれば、ホウスさんが満面の笑みで見下ろしてた。

 よし、やってやろうじゃねぇか。


『鬼ごっこは残り五分とさせていただくでち』


 唐突に終わりまでのカウントダウンを知らせる放送。

 鬼のまま終わってたまるか!!



 ……はい。

 いや、結論から言うと、鬼では終わらなかったよ? うん。

 まぁ、その……。

 時間終了間際に、最初の鬼になったスタッフさんが未だに鬼継続中だった俺の元へと飛んできて。

 鬼を請け負ってくれたわけですよ。

 これなら、お客さんも最後の鬼じゃないって思えるし、特に子供なんかは結構気にするからね。

 最後まで僕が鬼だった……って。

 そういった意味では、非常に有効な方法だと思います。

 ――ただまぁ、俺からするとお情け感が凄かった、とだけ。


『次の落とし物拾いは三十分後を予定してるでち。トイレや補給はそれまでに済ませておくでちよ』


 で、イベント間はしっかりとインターバルが設けられている。

 まぁ、補給無しで飛び続けるとアカンって話だし、その辺はしっかりしてるらしい。


「ホウスさん何食べてるんだろ」


 俺も補給をしようと、さっき補給に行ったっきり戻って来ないホウスさんを探したら……。

 居た。

 ……なんか、山のようなシュークリームに囲まれてない?


「何食べてるんです?」

「ひゅーふひーふ」

「シュークリームなのは見て分かりますけど……」


 問題はその量な訳で……。

 食べきれます? その量。


「いいって言ったんだけど、遠慮するなって盛られまくっちゃって。食べるの手伝ってくれない?」

「構いませんけど、俺が加勢した所で絶対に食べきれませんよ?」

「そこはほら、可能な限り頑張るって事で」


 というわけで、盛られたシュークリームのご相伴に預かることに。

 

「……普通のシュークリームですね」

「こっちがキャラメル、こっちはヨーグルトクリーム」

「バリエーションあるんだ」

「こっちはホイップオンリーで、こっちはカスタードとホイップのダブルクリーム」


 いやあの、種類があるのは嬉しいんですけど、結局どれも甘いですよね?

 甘いの一辺倒だと、普通に途中で飽きると思うんですけど……。


「で、これがポテトサラダね」

「あったなぁ……」


 どこでだっけ?

 どこかで食べたよね。

 シュークリームの中身がポテサラやビーフシチューだったやつ。

 あれどこでだったっけな……。


「……ポテサラが一番減ってません?」

「甘いのばっかじゃ飽きるんだよ……」


 分かるけど。

 あまりにも正直すぎる……。


「……俺も助けを求めていいです?」

「知り合い居るの?」

「多分呼びかければ答えてくれるかと……」


 記憶に新しい、甘いもの好きな呼べば来そうな存在。

 そう、ガーディアンさん。

 おいでー、ガーディアンさーん。

 ――俺名前知らねぇじゃん。 あの人の。

 ガーディアンなんてこの世界には結構数居るだろうし、呼びかけにも当然応じない……。

 かくなる上は……。


「スイさん、スイさん。あなたのお友達を連れて、目の前のシュークリームを食べるお手伝いをしてください」


 スイさんを仲介させて呼び出しちゃおう大作戦。

 どうよ、この完璧な作戦。


「なんか紙が落ちてきたけど?」

「?」


 突如として現れた目の前でヒラヒラと揺れる紙。

 掴んでみると、そこには一言。


『奴は友達ではない』


 あまりに無情過ぎでは?

 ガーディアンさんも草葉の陰で泣いてますよ?


「死んでない」

「うわぉ!? びっくりした!」

「翠からここに行けって言われたから来たら、失礼なこと考えてた!」

「ほーら、あーん」

「あーん」


 抗議の声を上げるガーディアンさんに、シュークリームを無理やり詰め込む。

 これで俺への文句はシャットアウトって寸法よ。


「……えっと、式には呼んでね?」

「なんの!?」

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― 新着の感想 ―
お疲れ様です!甘いものならあの人呼べば解決ですけどねww満面の笑みで全部平らげますよ!まぁガーディアンの友達といったら轟龍ちゃん来ちゃいますよね、ところで忠くんと轟龍ちゃんの式はいつですか?? p.s…
2026/07/15 00:03 さんどまん
忠:ほら、あーん。 轟:あーん。 ホウス:あ~式には呼んでね? 忠:あーんに何かあるんですか? ホウス:俺も昔罠に嵌ってね…。 ??:あーん。 ホウス:あーんは禁止でしょ? 忠:そちらの方は? ホウス…
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