表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
188/239

夢は見たいじゃん

 わぁ、この牡蠣、カラフルだなぁ……。

 身が。

 あの、見た目オレンジ色なんですけど。

 普通カラフルと言っても、殻の色が鮮やかとかじゃないの?

 なんで当たり前に身の色が違うの?


「ほい」

「?」

「牡蠣に付けるソースと薬味」


 オイスタープレートっていうの?

 こう、複数の牡蠣を盛ってるやつ。

 ハーピーツアーだと、そのプレート自体が氷で出来ておりまして。

 その氷で出来たプレートの上に、牡蠣が並べられてまして。

 並べられている牡蠣の身は、それはもう虹の配色の様に並べられているわけですよ。

 そしてそこに、相部屋の人がソースを持ってきた、と。

 えーっと?

 醤油にポン酢、バルサミコ酢にタバスコ、ミニョネットソース……。

 薬味はネギにもみじおろし、ワサビに柚子胡椒、カットレモン……。

 牡蠣好きにはたまらないラインナップですわね。


「ほい、フォーク」

「何から何までどうも」


 で、小さめのフォークを渡される。

 俺が普段から使ってるフォークと若干形状が違うな。

 牡蠣専用のフォークとかだったりして。


「ちなみに色で風味とか味が違うという事は?」

「無いんじゃない? 色は個体差だけど種族的には同じだし」


 ふむ。

 じゃあ、まずはシンプルに醤油を垂らして、レモンを乗せて……。

 いただきます!


「……うんま」

「いいよね。日本の牡蠣にも引けを取らないよ」


 濃厚な旨味と爽やかな磯の風味。

 クリーミィな口当たりで、それでいてサッパリ。

 甘みはそこまで無いけど、そのおかげでさっぱりしているとも言える。

 あー、これはいくらでも食べられる奴だ。


「オープニングシャンパンはいかがでち?」

「白を貰える? 二杯」

「かちこまりまちた」


 牡蠣を堪能している所に、グラスを持ったスタッフさんがやって来て。

 相部屋の人が、俺の分も合わせて貰ってくれた。

 やはり牡蠣には白か。


「ハーピー族の喋り方さ」

「はい」


 ワインを受け取りながらの会話。

 あの狙ったような、というか、テンプレチックなでち口調ね。

 それがどうしたの?


「キャラ付けの為に意識してやってるから」

「……はい?」

「目や肌だけでなく、耳でもハーピー族のツアーに参加したと思って貰いたいってことらしいよ?」

「じゃあ、普通に喋れる?」

「うん。というか、他のツアーに参加した? そこでハーピー居なかった?」


 ……あー、確かに?

 そもそも、ノクティオさんノクティアさんもハーピーだけど、あの口調ではなかった……。

 となると、マジでキャラ付けの為にやってるのか。


「可愛いからいいんだけどね。ま、方言みたいなものさ」

「あー……」


 何だろう、言わんとしてることは分かる。

 可愛いよね、方言女子。


「じゃ、ツアーの開始を祝して、乾杯」

「乾杯」


 という事で相部屋の人とグラスを鳴らし……。

 まずは色味の確認。

 やや黄味がかった色だけど、黄色って程ではない。

 レモン色って感じかな。

 香りは……フレッシュで香りからバターの感じがする。

 あとは爽やかな感じ。

 味は……ん、結構塩味を感じるね。

 ソルトレモンって感じ。

 果実感はあるけど主張は強くない。

 これ一本で満足するってワインではなく、確実に他とのペアリングが前提のやつだな。

 それじゃあ牡蠣と合わせましょ。

 ソースは……柚子胡椒にしてみるか。


「……ん~」


 牡蠣の磯の風味とワインの塩味がバッチリだし、レモンっぽいニュアンスが牡蠣と合う。

 柚子胡椒の香りと刺激もワインには無いもので、足りない部分の補完という事でしっかり合う。

 柚子胡椒と合わせた事で、ワインのほのかな甘みも感じられるね。

 このペアリングは大成功と言っていいんではないだろうか?


「どう?」

「最高ですね」

「良かった良かった」


 へっへっへ。

 次は何と合わせてやろうか。

 ……タバスコだな。

 柚子胡椒の刺激と合うなら、タバスコとも相性いいでしょ。


「ずっとレモン汁オンリーです?」

「これが好きなのよ。牡蠣本来の味も美味しいしね」


 相部屋の人は自分で持ってきたソースは一切使わず、レモン汁だけでずっと食べてる。

 まぁ、分からんでもないが。


「そう言えば名前聞いてませんでしたね」

「もう会わないかもだからよくない?」

「少なくともツアー中は相部屋じゃないですか。せめて苗字だけでも知らないと呼ぶのに苦労しそうです」

「……それもそうか。んー……ホウスとでも呼んでくれるかな」

「ホウス……どんな漢字で?」

「漢字は無いんだよね。こっちの世界の名前だから」


 ……ほう?

 現代日本で使ってた名前と、異世界で使ってる名前が違うという事かな。

 まぁ、そう言う事もあるんじゃない?

 異世界人に発音しにくい名前とかだと大変だろうし。


「というか、一つ聞きたいんですけど」

「なんだい?」

「異世界に来る時に、チート能力とかギフトって授かりました?」


 定番じゃん? だったら聞いておかないとと思って。

 それに、ガーディアンみたいだし、自分は何も出来ないって言ってたけど、という事は持ってるならオート発動の何か、みたいな能力だったり?


「無いよ」

「無いんですか……」


 ちょっと残念。


「自分の身の丈に合ってない能力は自分を滅ぼすよ? だから、無くていいの」

「はぁ……」

「牡蠣、もうすぐ食べ終わっちゃうね。次何取ってくる?」

「じゃあ、デザートとか」

「あいよ」


 そう言って席を離れるホウスさん。

 ……チート能力は欲しくない?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
忠:ホウスさん、ですか?俺の知ってる人にスゴイ似てる気がするけど微妙に違うような… ホウス:俺は番外編の方だから… 忠:番外編!? ホウス:狐耳丞相と何かいい雰囲気になったり… 忠:狐耳?丞相?罠とか…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ