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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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他力インクルーシブ

 納得がいかない事ばかりではあるが、医務室から出た後、


「じゃ、この艇内の支払いは全部俺が持つから」


 と相部屋の人に言われてそれなら……と思っちゃったよね。

 ちなみにどの辺まで奢って貰えます? と聞いたところ、


「飲食代とさっき言ってた軟膏、後はまぁ、そこまで高くない範囲で」


 との事。

 大事な部分なので、高いと思う値段について聞いてもみた。


「艇内で売られてるブランドブランデーは無理だね。給料消し飛んじゃう」


 だそうで。

 この飛行艇、ブランデーなんて売ってるんだ……。


「そういや、いつ出発するんです?」

「乗客の全員が飛行練習を終えたらかな」

「なるほど……」


 いつまで経っても出発しないなぁと思ったらそう言う事か。

 ……スケジュールとか大丈夫なんだろうか?

 まぁ、その辺考えて予定は組まれてるんだろうけど。


「お客様方、飛行訓練はお済みでちか?」

「終わったよ」

「同じく」

「でちたら、筋肉痛予防の軟膏をお塗りいたちますが?」

「お願いするよ」

「承知でち! では、お部屋へどうぞでち」


 で、客室に向かって相部屋の人と歩いていると、ピーチクさんとパーチクさんが登場。

 どうやらお店で軟膏は買わなくてもいいみたい。

 というわけで部屋に向かい、上半身の服を脱いでうつ伏せに。

 ――うん?

 待てよ?

 普通に受け入れてたけど、翼が生えてるって事は洋服を貫通してないか?

 というわけで確認するも、服に穴は開いておらず。

 ――というか、


「服から翼生えてない?」

「そうでちよ?」


 なんか、当たり前の感覚で俺の背中から翼が生えた物だと思っていたけど、実際は俺の上着から翼生えてる。

 いや、洋服から翼が生えるってなんだよ……。


「ウェルカムドリンクは翼という概念を与える効果があるでち。数世代前のウェルカムドリンクは背中からしか生えなかったでちが、現在のウェルカムドリンクは洋服や鱗、毛皮の上からでも生えるでち」

「待って。以前は鱗とか毛皮の場合は生やせなかったの?」

「でち。なのでこのツアーに参加される異種族の方で、マーメイドや獣人の方々は鱗や毛皮をツアーに合わせて剥いだり削ったりしてたでち」


 ……うわぁ。

 なんと言うか、うわぁ。

 マジで新しいウェルカムドリンクになって良かったね……。


「ニーズに合わせて良化せよ、とは、我らがハーピーの代表の言葉でち。その言葉を胸に、我々は日々精進し続けるでち」


 現代でもそんな事言ってる社長居そう。

 というか居るだろ。それぐらいしないと今の社会は生き残れなさそうだし。


「ちょっとひんやりするでちよ」


 というわけで、背中に軟膏の塗りこみが開始。

 はぁ……これで塗り込んでくれるピーチクさんが美人で綺麗なお姉さんだったらなぁ……。


「あ、言い忘れてまちたが」

「何でしょう?」

「自分、メスでち」


 ……美人で綺麗なお姉さんだったらなぁ……。


「絶賛つがいを募集中でち」


 彼氏とかじゃないんだ。

 つがいなんだ。

 だいぶ初手からフルスロットルですね。


「お客様の知り合いにベンチプレス300㎏を上げられる方とかいまちぇんか?」


 いてたまるか。

 いたらそいつは今頃世界記録保持者として話題になってるだろうよ。

 あと、そもそも300㎏のベンチプレスがある場所が無さそう。

 というか、そうなると棒の強度が持たないとかあり得そうだし。

 最近銀拳にコラボが決定した地上最強の生物さんくらいじゃねぇかな。

 出来そうなの。

 あるいはアンチェイン。


「まぁ、冗談でち。同僚から理想が高いと言われたので最近は条件を下げてるでち」

「はぁ」

「異性であればいいでち」

「ふり幅」


 あまりにも急降下過ぎない?

 見上げるほどにあった高いハードルが、急に地面に埋まったんだけど。

 何があったというのか……。


「過去にお付き合いされた方は?」

「獣人がほとんどでち」

「がたい良さそうだし、条件にはあってそうですけど?」

「常に獲物を狙う目をしてて生きた心地がしないでち」


 あまりにも当然な結果だと思うけど……。

 

「ちなみにどんな獣人の方とお付き合いされたんですか?」

「えっと……トラ、ライオン、ピューマ、チーター……」


 見事にネコ科の猛獣しか居ねぇじゃねぇか。

 そりゃあ獲物としてしか見られねぇよ。


「軟膏塗り終わりでち。お疲れ様でちた」

「ありがとうございました」

「このままマッサージなども可能でちがいかがちまちょう?」

「じゃあお願いします」


 というわけで、このままの流れでマッサージをして貰う事に。

 これで、さわさわと触って文字通りのフェザータッチとかだったらどうしよう。

 

「ちなみに」

「なんでち?」

「人間は恋愛対象に入るんです?」

「まぁ、入るでち」

「鍛えてる人がいいんですよね?」

「でちね」


 ……日本に戻ったらジムにでも通うか。

 いや、あれだよ?

 健康の為だよ? もちろん。

 ――お、プロテインが安売りしてる。

 買っとこ。


「相部屋の人とかどうなんです?」


 俺と変わらないくらいの体系だけど。

 ま、流石に対象外か。


「無理でち」


 ですよね。

 にしても即否定か。

 相部屋の人、可哀そうに。


「自分とじゃ絶対に釣り合わないでち」

「……ガーディアンだから?」

「どころじゃないでち。あと、彼は既婚者でち」

「あ、結婚してるんだ」

「お相手さんから彼を奪おうとする者は、全員原因不明の失踪を遂げているでち」

「おっと」


 流れ変わったな。


「自分はまだまだわが身が可愛いでち」

「なるほど」


 …………。


「ところで」

「はいでち」

「マッサージはいつ始まるので?」

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― 新着の感想 ―
忠:異世界に来たからには異種族のレビュアーとか…ちなみにピーチクさん得意料理とかは? ピー:みみずご飯でち。 忠:みみず、ご飯? ピー:ほかほかご飯にみみずをのせたものでち。翼人はみな好きでち。 忠:…
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