ハーピーツアー
ここはどこだ~?
という事でやってきましたよ異世界。
この前のドワーフツアーから結構間が空いたのよね。
まぁ、その間、ミステリーツアー自体に参加してなかったんですけど。
ドワーフツアーの宝石たちの贈り物をした後、久しぶりに家族旅行に出かけることになりまして。
有給を大量消費して、とあるクルーズ船でまぁ旅をしてきましたと。
おかげでしばらくは旅はいいかなーとか思って離れてたでござる。
「結局は異世界の刺激が忘れられなくて応募したんだけどね」
で、まぁ、旅行熱が再燃してきたタイミングでミステリーツアーへの応募を再開しまして、こうして異世界に来ることが叶ったと。
とりあえずスイさんとガーディアンさん、ガーディアン分体さんにお菓子たちの献上ですわよ。
おかげさまで一人旅とは思えんくらいにキャリーケース持って来てるからね。
行きだけの荷物とはいえ、かなり大変だった。
「……で、今日乗る乗り物はあれか」
着いたのは湖畔に建てられた飛行艇乗り場。
辺りを見渡せば居るのはマーメイドの方々。
……尾びれがあるとかじゃないんだけど、耳の形が明らかに水棲生物のソレだからね。
判断は容易。
……で、お客さんがマーメイド多数という事はですよ。
「チケットを拝見しますでち」
ハーピーたちのツアーという事。
マーメイドツアーにはハーピーのお客さんがたくさんいたからね。
その逆もしかりという事だろう。
という事でスマホに表示したチケットを提示。
すると、
「お客様。本日お客様のお部屋は相部屋となっておりまちて」
「……はい?」
なんかとんでもない事を言われた。
相部屋? 俺が?
「一人部屋を希望する場合は、部屋のグレードを下げる必要がございまちゅ」
「う~ん……」
これまでの異世界ツアーを思い返しても、部屋のグレードって結構高い奴ばっかりだったんだよな。
という事はだよ? 相部屋でも、それ相応の広さがあるのでは?
んでもって、相部屋の人とは当然ながら一緒にいる時間が長いわけで。
異世界人との交流と考えれば、まあ悪くは無いんじゃない?
出来れば相手は女性がいいなと。
あ、別に下心とかありませんよ?
女性マーメイドとか最高じゃんとか、欠片も思っていませんよ?
「まぁ、大丈夫ですよ」
というわけで、そんな思惑を隠して相部屋を了承。
さて、どんな人が一緒なんだろうな。
「ありがとうございまちゅ。では、お先に部屋へと案内させていただきまちゅ」
と、他の乗艇待ちのお客さん達を尻目に、先に案内される。
やっぱり、ファーストクラス相当の扱いを受けてる気がする。
部屋のグレードや座席のグレードは正義ってハッキリ分かんだね。
*
「今回の旅のお世話をさせていただきまちゅ、私『ピーチク』と申ちまちゅ」
「同じくお世話を担当しまちゅ、『パーチク』と申ちまちゅ」
うるさそうな二人だ。
あくまで名前の響きからだけど。
外見的にはスズメかな。
こう、米を大量に食べて丸々太ったスズメのイメージ。
ただ、太っているというよりはマッチョな感じがする。
あと、羽根が柔らかそう。
「分からない事や不憫な事があれば、我々にお申し付けくだちゃい」
「可能な範囲で対応させていただきまちゅ」
という事で案内された部屋、相部屋と言われたけど、これあれだね。
3kの間取りを二人で使う、みたいな感じだわ。
俺が案内された寝室にでっかいベッドが一つ。
相部屋の人が使う部屋にもでっかいベッドが一つ。
そして二人が使わない部屋に、冷蔵庫やらソファやらモニターやらが用意されてる感じ。
これなら別に相部屋の人と気まずくなるような事は無さそう。
「それと、こちら、ウェルカムドリンクでち」
「飲むと眠気が襲ってきまちゅが、抗わずに寝てくださいでち」
……うん? それ大丈夫なやつ?
「今回のツアーで必須な物なので、安心してくださいでち」
「一応極稀に拒絶反応を示ちゅ体質の方がいまちゅが、我々まだ出会ったことが無いでち」
何の安心材料にもならなくないか? それ。
大丈夫かな……。
「もち万が一、お客様が拒絶体質だった場合は、平身低頭謝罪の上、様々な補償がございまちゅのでご安心くだちゃい」
……まぁ、そこまで確率は高そうではないし、あくまでリスクの説明としてやってるんだろう、多分。
あれだよ、病院で手術受ける前に、どれだけ低確率でも発生しうるリスクは全部説明する感じのやつ。
じゃあまぁ、飲みますか。
「お客様のー、ちょっといいとこ見てみたい!」
煽るな煽るな。
ウェルカムドリンクなんだろ?
楽しんで飲ませなさいよ。
……あ、美味しい。
梨味のスッキリした感じなんだけど、甘さは乳酸菌飲料のカラダにピースに似てるな。
これはかなり美味いな。
少なくとも、前回のドワーフツアーのウェルカムウイスキーよりは何倍も飲みやすい。
いやまぁ、お酒と比べるなって話はそうなんですけれども。
「それでは、良き旅を」
グラスを返却し、言われた通りに睡魔に襲われ。
とりあえずベッドにダイブ。
「あ、うつ伏せで寝た方がよろちいと思いまちゅ」
と、去り際のピーチクさんかパーチクさんの言葉を聞いてうつ伏せになったところで。
俺の意識は沈んでいきましたとさ。
なお、十分後には目が覚めたもよう。
んでもって、起きた瞬間に肩というか、肩甲骨というか、背中に違和感がございまして。
「……まぁ、そうだよな」
部屋の鏡で確認して見るとそこには……。
翼が生えていました。




