酒を飲ませようとする者
「結局こうなるのか……」
「~♪」
ガーディアンさんとお手手繋いでラウンジ車へ。
俺もうラウンジ車でやる事無いんだけどなぁ……。
というか、俺が寝てからすぐにガーディアンさんが侵入していたようで、ほとんど仮眠できてない……。
ちなみにチョコ玉はあるだけ食われた。
銀の天使も最初に一つしか手に入らなかったし……。
「今日も仲いいわね」
「ほぼほぼ保護者みたいなもんですよ……」
で、ラウンジでグリムダさんに遭遇。
大ジョッキでビール飲んでらっしゃる……。
まだ午前中なのに。
「私も飲む」
「……何を?」
「大ビール」
「……絵面的に大丈夫です?」
「?」
本人が何とも思わないなら別にいいけどさぁ……。
ガーディアンさんの体系的に、ちょっと危ない絵面になるのよ。
そもそも、大ジョッキの方がガーディアンさんの顔よりデカいしね。
ちゃんと持てる? 大丈夫? 落とさない?
「ジャーキーとバターナッツ」
「?」
「おつまみ」
あ、これ、俺が注文して持って来るパターン?
……はいはい、やりますよ。
「ビール大ジョッキと、ジャーキーとナッツをお願いします」
「ほい」
……流石ドワーフ、秒で出てくるじゃん。
というわけでガーディアンさんの所へ持って行きまして。
「……? 私のは?」
「これがそうですが?」
「あ、ミクリヤは飲まないの?」
「朝から酒はちょっと……」
頼んでおいて俺が持ってきた物は自分の分だと認識してないのかよ。
あと、どうしても朝からお酒は抵抗感あるよ。
「ノンアルコールカクテルで、パープルフィズってあるでしょ? それ私のおすすめ」
毒とか撒いてそう。
名前の響き的に。
「甘い系です?」
「コーヒー味」
「……確実にアルコールは入ってませんね?」
「そりゃあノンアルコールカクテルなんだからそうでしょ」
……信用出来ないんだよなぁ。
ま、注文してみるか。
「パープルフィズってカクテルが飲みたいんですけど……」
「かしこまりました」
俺の注文を聞いてすぐに作り出そうとするスタッフさん。
だがステイ、一旦ステイ。
「ノンアルコールカクテルですよね?」
確認大事。
「いえ? 普通にアルコールは入りますが?」
グリムダぁっ!! 酒!! 入るぞぉぉぉッ!!
ッぶねー……質問して正解だったわ。
「一応ノンアルコールでもお作り出来ますが……」
「何かあるんです?」
「であるならば普通にコーヒーを頼む方がよいかと」
「あー……」
こ、もしかしてあれか?
お酒を混ぜていったら紅茶の味になった、とか言う有名なカクテルの話のコーヒーバージョンなのか?
……大人しくスタッフさんに従おう。
「じゃあ、コーヒーをお願いします」
「……ノンアルコールで?」
「あ、はい」
……ん? そうじゃん。
コーヒーにもアルコール入ってるんだよな?
だったら、コーヒー味のカクテルって必要なのか?
あと、何をもってグリムダさんはそんなカクテルを俺におススメしたんだ?
「ブラックでよろしかったですか?」
「砂糖とミルクを別で貰っていいです?」
「かしこまりました」
というわけで、ノンアルコールカクテルを頼む予定だったのにコーヒーになったでござるの巻き。
テーブルに戻ったらグリムダさんに尋問しないとな。
「コーヒーのお供にチーズケーキなどはいかがですか?」
「あ、じゃあ貰います」
「ジャムかホイップクリームをお付けできますが?」
「ジャムで」
「かしこまりました」
ついでに食後のデザートもゲット。
……大丈夫だよね? チーズケーキにはアルコールが含まれてないよね?
「で? 普通にノンアルコールじゃなかったんですけど?」
「バレたか」
……ほぅ。
そっちがその気ならこっちにだって考えがある。
「ガーディアンさん、グリムダさんの胴体を半分にしてグリとムダに分けてください」
「コクン」
「ちょっとした悪戯心! 悪ふざけ! もうしないから!!」
最初からするな定期。
俺にはガーディアンさんという最終切り札が存在するんだぞ?
言動を慎め。
「普通にコーヒー?」
「です。ノンアルコールでパープルフィズを頼んだんですけれど、じゃあ普通のコーヒーでいいのでは? と提案されまして」
「そりゃあそうでしょ」
「ゴー」
「わー! ごめん! ごめんってば!!」
ったく。
まぁ、おかげでデザートにありつけるわけだし、許してやらん事も無い。
飲んだわけじゃないしね、アルコールカクテル。
――アルコールカクテルってあまりにも普通過ぎるな。
カクテルでいいじゃん。
「あ、美味い」
で、貰って来たチーズケーキを食べてるんだけど、かけられてるジャムが美味い。
見た目黄色いジャムだから何味だろうって思ったら、これキウイ味。
程よい酸味がサッパリしてて、甘さもある。
それがチーズケーキのコクと非常によく合うよ。
コーヒーにもよく合う。
「ミクリヤ、あーん」
「流石にそれは……」
他人が食べてるのをせがむなはしたない。
流石に同じフォークを使うのはまずいだろ。
新しいの持って来ますからね。
……というか食べたいなら自分の分も頼みなさいよ全く。
「はい、どうぞ」
というわけでガーディアンさん用のフォークに変えて要望通りに。
――なんでそんなに不服そうなんです?
「違う、そうじゃない」
「ミクリヤ、神回避」
? ガーディアンさんもグリムダさんも、何を言ってるんだか。




