あと二枚
アメジスト宝鍾乳洞の所には滝があったけど、サファイア宝鍾乳洞には宝石で出来た樹木がある。
何を言っているか分からねぇと思うが、俺自身も分からねぇ。
こう、軸? となるサファイア宝鍾から、枝分かれしてまたサファイア宝鍾が生えてる的な……。
雪の結晶の一面みたいな……。
ちなみにめちゃめちゃ綺麗だよ。
こんな大きなサファイアをそもそも初めて見たし、基本的には原石なんだけど、魔物が通った後か、何か他の要因で擦れたり削れたりしたのか。
一部、磨かれたみたいに俺らのよく知るサファイアの部分があるのよ。
原石の中にそれがあると、めっちゃ映える。
やっぱり宝石は、磨いてなんぼなんやなって。
「やっぱりお粥には梅干しだよ」
で、二杯目のお粥は見た目高菜な梅干しでいただきます。
というか、お粥の色が青いのに味は別に普通なんだよな。
何の色なんだろ……この青。
「あ~、酸味が沁みる~」
梅干しには食欲増進効果があるっていうし、二日酔いにはマジでピッタリだと思う。
という事で二杯目もあっという間に完食。
まぁ、よそう量が小鉢程度の量だし、あっと言う間に食べられないのは赤ちゃんとかになると思うけど。
「終点前のトルマリン宝鍾乳洞までは、特に何も無いんだよな……」
ご飯を食べながら今日の予定を確認。
いやぁ、マジで贅沢な時間の使い方してるわ。
旅っていうのはこうでなくちゃ。
「そぼろと~、ふきの佃煮を入れちゃお」
漬物、漬物と続いたのでここらで肉と佃煮へ。
生姜がバッチリ利いててマジでいい。
朝食にピッタリですわ。
「一応まだ持って来たお菓子は残ってるし、最終日って事でガーディアンさんに餌付けしに行くか」
……うん。
餌付けって言い方はどうなんだ? って、自分で言って思っちゃった。
でもさ、明らかにお菓子を与えた時の反応が、女児を通り越して小動物なのよ。
ヒマワリの種やドライフルーツを与えられたハムスターとかその辺。
「……ふぁ」
いや、眠いな。
仮眠取ってからでいいや、ガーディアンさんにお菓子与えに行くの。
贅沢な時間の過ごし方、その二。
朝食後に仮眠。
――トルマリン宝鍾乳洞を寝過ごしだけはしないようにアラームをかけてっと。
じゃ、おやすみなさい。
*
「……」
「……」
「……」
「……」
「ハウス」
「拒否する」
問、なぜガーディアンさんが寝ていた俺の上で馬乗りになっているか答えよ。
答、俺が知りたい。
「私に、お菓子をくれるハズだった。なのに、待ってたのに全然部屋から出てこない」
「いつの話です?」
「ついさっき」
……朝食食べた後にお菓子をあげようとは思ったけど、まさかその事を言ってる?
思考が読めるのか? マズい。
「何がマズい?」
「お、乗って来てくれた」
「誤魔化さない」
チッ、ダメか。
というか、マジで思考読まれてるのか。
……かくなる上は、
「ほ~ら、とってこ~い」
静かに手を伸ばして何とか掴んだお菓子を投げ、気をそちらに向かせる!
そしてその間に脱出だ!
――、
「分体はズルでしょ」
「元々は私」
なお、気を逸らすとか以前に、俺の投げたお菓子は分体さんにしっかりキャッチされてました。
ちなみに投げたお菓子は、なんかよく分からない鳥がモチーフのキャラクターが書かれている奴。
金か銀の天使が出たら嬉しいね。
「もっとあるはず、全部出す」
「やってることが恐喝とかと変わらないんですけど……」
「寄越しに来ないミクリヤが悪い」
俺は悪く無いと思うけどなぁ……。
まぁ、とりあえず解放して貰うか。
「とりあえずどいてもらえます?」
「どいたら逃げる」
「どかないとお菓子取れませんよ?」
「…………むぅ」
渋々、と言った様子で俺から降りるガーディアンさん。
さて、と。
「お、銀の天使」
食べさせてやるか。
と思って包装を開けたら、出ました、銀の天使。
久しぶりに見たな、これ。
「ガーディアンさん」
「?」
「ほい」
掛け声と共に、ナッツ入りチョコを上へと放り投げる。
「ん」
そしてそれをしっかりと口でキャッチするガーディアンさん。
上手上手。
「分体さんもハイ」
というわけで分体さんにも。
「……あ」
おっと、口でキャッチ出来なかった……と思ったら、手でキャッチしてる。
凄い反射神経。
「もっと」
「いくつです?」
「……三個」
三個か? 甘いの三個も欲しいのか?
三個……いやしんぼめ。
「いきますよー」
という事で三つを宙へと放り投げる。
そして、
「ん! ん!」
二個はしっかりと口でキャッチ。
三個目も余裕でキャッチ……した瞬間。
「んがぐぐ」
マズい。
というわけでダッシュで駆け寄り背中を叩いて処置。
「ケポ」
という音と共に吐き出されるチョコ玉。
ふぅ、喉に詰まらせたら危険だからな。
投げ食いはしちゃダメだぞ?
「……ポコペンポコペン」
だーれが叩いた。
言うとる場合か。
「食べ物で遊んではいけない」
「ノリノリだったあなたが言います?」
まぁ、喉に詰まらせたからこその言葉だろうけれども。
言うのがもう少し早かったらな……。
「ミクリヤ」
「どうしました?」
と、分体さんに呼ばれてそちらへ身体を向けると……。
「私は五個」
「もうしませんよ」
本体がどうなったか見てなかったんかい。
投げ食い禁止!




