ある程度ゆっくり食べたい
……ふぅ。
やっと解放された。
なんか、向こう十年分位人の頭を撫でた気がする……。
疲れた……。
「部屋で食事するって伝えたら絶望した顔するしよぉ……」
なんか、ガーディアンさんの中では俺と一緒にご飯食べる予定だったみたいですよ?
部屋に戻るって伝えたら、泣きそうな顔して、
「料理……分け合いたかった」
とか言われました。
うん、その瞬間だけは心が揺らいだよ?
でもね、
「全部あーんさせる予定だったのに……」
とか言われてスンってなったよね。
俺は召使いちゃうねんぞ?
いやまぁ、召使いさんがそうするかと言われるとしないかもだけれども。
というわけで現在自室ですが……、
「アメジスト宝鍾乳洞か……」
食事のタイミングで宝鍾乳洞に到着。
宝石はアメジスト。
紫色の宝石なんだけど、これがまた色々と種類がございまして。
濃い紫から青紫、赤紫に、黒かと思えるようなものまで。
紫って、こんなに色んな色があるんだなって。
「この景色見ながら飯食って酒飲めるの、最高だな」
ちなみにこの後は、深夜にオパール、明け方にサファイア、終点付近でトルマリンの宝鍾乳洞に到着予定。
昼過ぎに終点に辿り着くみたいね。
となると、寝る前にオパール宝鍾乳洞を堪能し、寝起きの頭に朝食とサファイア宝鍾乳洞を叩き込み。
お昼ご飯と共にトルマリン宝鍾乳洞を旅の最後の思い出として刻む、か。
中々プランでないの?
……となると、深夜にオパール宝鍾乳洞を堪能しながら、宝石酒でも頂こうかな。
もちろんハイボールで。
「失礼します、米酒コースの料理をお持ちしました」
「ありがとうございます」
お、始まりましたか。
米酒……つまるところ日本酒に合う料理のコース、果たして何が出てくるでしょうね?
「まずは本日用意しました米酒、『祝福の雨』でございます」
そう言ってお猪口に注がれるお酒。
色は透明、香りは……柔らかく、華やか。
アルコールっぽい匂いは少ないね。
味も見ておこう。
「……美味い」
スッと舌の上で溶ける砂糖のような涼しさ。
甘さよりもうま味が勝つな。
この味わいなら肉にも魚にも合いそう。
俄然楽しみになってきた。
「そしてお酒と共に本日の主役である銀シャリでございます」
ほほう。
釜炊きのご飯ですか。
大したものですね。
容量的に二合いかないくらいかな?
最近の炊飯器も進化してて、十分に美味しいんだけれどもさ。
やっぱり、釜炊きってビジュアルからして美味しそうって思えるの、なんだろうね?
あれか? 俺たちは情報を食ってる、と似たようなもんか?
「中身は~……!?」
……あの。
いや、確かに銀シャリとは言ってたよ?
でもさぁ?
別に銀シャリって、本当に銀色な事って無いんだわ?
何で米がこんなメタリックな色してるの?
光沢あるし。
俺の顔反射してるし。
しょ、食欲湧かねぇ……。
銀シャリって別に比喩表現で、炊きあがりの表面の光沢が銀っぽいよねってだけで、実際に銀であることは……。
まじでどうするの? 全然食べたいとはならないが?
「銀ムツの照り焼きです」
「ありが――いっ!?」
銀という名前が出てきた時点で警戒するべきだったかな?
まぁ、はい。
当然の様に身が銀色ですわね。
そして、照り焼きになんてしてるもんだから、照り焼きのタレがしみてる部分は金色に見えるっていう。
銀にオレンジを重ねるんじゃねぇよ……。
金色になっちゃうだろうが……。
「なんでこんなメタリックご飯に……」
はぁ、嘆いていたってしょうがないか。
とりあえずご飯をよそって……いただきます。
「――……!?」
あれ?
「…………美味い」
恐る恐る銀色ご飯を口に入れ、二、三回咀嚼し。
追加検証の為にもう一口ご飯を食べて、確信。
このご飯、美味いぞ!?
ご飯というか、お米特有の香りっていうの? たまに粘っこい匂いがする時があるんだけど、それらは一切感じない。
スッキリとした、華やかな香り。
――待てよ?
……うん、やっぱり。
この米、今飲んでるお酒と同じ香りがする。
という事は、このお酒はこの米から作られているのかな……。
見た目はともかく味は良し、か。
まぁ、メタリックな見た目のご飯なんて――無いけど、必死に探したけどまぁ無いけど。
ともかく、美味しいって事が分かったからまぁいい。
「続いて銀ムツ……」
メタリック食事パートツー。
こっちは金と銀色なんだよな……。
まぁ、銀シャリが美味しかったし、こっちも少しだけ期待して……。
「おっほやっべこっれうっめ」
なんか想像の五十倍くらい美味しいんだけど。
しっとりとした魚の身と、程よい塩味。
照り焼きの甘い味わいの相乗効果というか、何よりも魚自体が美味い。
これには某熱い人も大満足。
お米食べろ! という事で銀シャリをバクリ。
「……最高か?」
しっかりとうま味のある銀ムツと、それとはまた別ベクトルのうま味の銀シャリ。
それらを咀嚼した後に迎え入れる『祝福の雨』のなんと膨らみのある味わいだこと。
満足過ぎて溜息出るわ。
「次の品です」
「はいはい」
何じゃろな。
銀シャリ、銀ムツと続いてるから、次も銀の付く食べ物かしら?
何かあったっけ……。
「こちら、銀杏の酒蒸しになります」
――銀杏!!




