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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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ドワーフツアー

 ここはどこだ~?

 というわけで、今回も短い間隔で異世界に来られましたわねっと。

 場所は……山のふもとかな?

 駅はある、線路もある。

 ただ、列車の姿は見えない。

 ――そして、


「チケット確認のお済みでないお客様はいらっしゃいませんか~?」


 俺の身長の三分の二くらいのスタッフさん達が、慌ただしく駅内を駆け回っている。

 これはあれだな? ドワーフツアーだな?


「あの……すいません」


 てなわけで、ツアーに参加しましょ。


「はい? いかがされました?」

「あ、いや……チケットを……」


 今回も当然の様にミステリーツアーからの参戦ですわよ。

 そのミステリーツアーのチケットをスマホの画面に表示し、駅に居るスタッフさんへと見せると。


「確認しました。お客様の乗られる車両は地下からの出発です」

「あ、地下なんですね」

「地下の一番乗り場へお願いします」

「ありがとうございました」


 乗り場が違ったようです。

 というわけで地下へと移動――の前に。


「スイさん、お菓子です。お納めください」


 お菓子をパンパンに詰め込んだキャリーケースを地面に置いて、そう言うと。

 キャリーケースを中心に魔法陣が広がり、数秒後にはキャリーケースごと魔法陣が消失。

 ちなみに前回スイさんに捧げたお菓子入りキャリーケースは、前回の旅の最後に俺と一緒に俺の家に送り届けられてました。

 中身はもちろん空です。


「うし。じゃあ地下に向かうか」


 荷物が一つなくなって多少身軽になったので、地下への階段も苦じゃないぞ。

 普通に考えてキャリーケース二つ持って移動は面倒だからね。

 というわけで地下に移動!



 地下行きの階段を見つけ、それを降り。

 目の前に広がったのは……256番乗り場という絶望的な文字。

 一番乗り場ってどれだけ先だよ……って思ったら、空港とかで見かける動く歩道を発見。

 これに乗ればいいじゃん! って事で利用させてもらいまして。


「ドワーフばっかりだな」


 周囲を観察。

 ものの見事にドワーフばかりなんだけど、よく見るとそれぞれ着ている服とかは違うね。

 明らかに鍛冶関係ですよ感がある分厚いエプロンを着用しているドワーフも居れば、ビシッとスーツを着こなし、髭も整えられてるドワーフも居る。

 セメントか小麦粉か分からない袋を七段ほど担いだ女性ドワーフも居たし、自分の身長の倍ほど重ねた弁当を売り歩くドワーフも居る。

 いや、その高さは取れねぇだろ。

 引き抜くのか? ジェンガみたいに?

 あと、一番下の弁当は潰れてるでしょ、それ。

 なんて観察をしていると、百番台の乗り場が集まるエリアに入ったところから、ぽつぽつと他の種族の姿が見え始め。

 百番代前半になれば、家族連れの姿がちらほらと。

 これあれか、乗り場で何目的の列車になるか決まってるのか。

 二百番台がドワーフの町の往来、百番台が他の種族の都市と繋がる線路。

 百番代前半から、俺が目指す一番乗り場までがツアー用とか?

 そうなるとツアー用の本数が多すぎる気もするけど……。


「ともあれ着いたな」


 結構時間はかかりましたけれど?

 無事に一番乗り場にご到着。

 時間はかかったけど迷子にはならないかな。

 ほぼ一本道だし。

 これなら日本でダンジョンと揶揄される大阪や東京の駅の方が迷う。

 日本のダンジョン駅は悪意しか無いからな。


「ドワーフツアー『地目一箇』にご乗車されるお客さまー?」


 そんな一番乗り場に、旗を持ってヒラヒラと振るドワーフ女性が。

 ちなみに振っている旗には『just do ride』と書かれていたり。

 さっさと乗れ、ってことかな?


「あ、はい」

「ご乗車されるお客様ですかー?」

「チケットこれです」

「……確認しました。ご乗車までもうしばらくお待ちください」


 いや、まだ来てねぇのかよ。

 じゃあその旗はなんだよ……。


「あちらに『地目一箇』ご乗車のお客様専用のラウンジがございますので、もしよければご利用ください」


 ……ほぅ。

 乗車客専用のラウンジ……ですか。

 日本にもあるらしいね? 特定の高級列車に乗る利用客専用のラウンジが。

 もちろんそのラウンジはおろか、高級列車の利用経験なんて皆無なわけですが。


「……いやまぁ、予想は出来たけどさぁ」


 で、そんなラウンジに入りまして、真っ先に目に飛び込んできたのは……。

 酒。

 しかもバーボンとか、ウイスキーとか、結構アルコール度数が高いお酒たち。

 ちなみにワインは無い。

 あっても良さそうなのに。


「……ジュエルハイボール?」


 そんな酒が並ぶ中、バーカウンターのような物もあり、そこには非常に気になる文言が。

 そういえばノクティオさんが、宝石を溶かした酒がドワーフ達の町で飲めるって言ってたような……。

 これの事かな?


「これって無料です?」

「はい。もちろんです」


 バーテンダーさんに尋ねると、笑顔で帰ってきましたよっと。

 有料かどうかの確認は、俺の財布にとって死活問題だからね。

 多少の恥なら捨てるが一番。

 じゃあ、一杯頂こうかな。

 ソフトドリンクって書いてあるし、ノンアルコールって事だろうし。


「じゃあ、ジュエルハイボールを一つ」

「宝石は何にしましょう?」

「あまり癖の無いのってどれです?」

「私個人の意見ですが、エメラルドやアメジストは癖が無く飲みやすいですよ」

「……じゃあ、アメジストで」

「かしこまりました」


 というわけで注文完了。

 どうやって宝石を溶かすんだろ?

 ――ん? なんか、液体に付けただけでじんわりと溶けていってるな。

 ……あの液体がヤバいとかじゃないよね?

 王水だったりしないよね? 宝石が溶けるかは知らないけど。


「お待たせしました、アメジストハイボールです」

「いただきます」


 ほんのりピンクの入った薄紫のハイボール。

 見た目は完璧ですわね。

 そのお味は……。


「……いや、アルコール入ってるじゃん!!」


 お酒でした。

 ソフトドリンクって言ったじゃないか!!

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