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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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130/143

大丈夫なの?

 おはようございます。

 いよいよこのツアーも最終日。

 もう数時間で下船でございます。

 ……なもんで、現在時刻は日の出直後。

 最後に何か腹にでも入れようとビュッフェにやって来ようとして……。


「朝だからこれ位でいい」


 入る手前で方向転換。

 今の俺の手には、フレッシュフルーツのスムージーがございます。

 桃系の甘さにレモンに似た酸味とほんのり苦み。

 甘さと酸味で目が覚めるね。


「到着予定はもうすぐで、下船開始はちょっと時間が空くのか」


 今日のプログラムを見る限り、到着と下船の時間が離れてるのよね。

 まぁ、離れていると言っても少しだけど。

 で、その間にフェアウェルパーティが開かれると。

 俺の記憶だと、フェアウェルパーティって下船前夜の時が多いと思うんだけど……。

 下船直前にやるのか。

 ――だがそれがいい。

 寝る前にフェアウェルパーティされると、寝たらもう旅も終わりか……と考えちゃうからね。

 なかなか寝付けない事もある。

 でも、もう下船目前で開催されるなら、諦めもつくというか。

 今更未練とかねぇな、って感じ。

 

「……フェアウェルパーティ前にガッツリ飲んじゃったけど大丈夫かな?」


 手には二杯目のスムージー。

 こちら、緑色の野菜中心のスムージーにござい。

 飲みやすいようにバナナが混ぜられていて、バナナの味が野菜の青臭さや苦みとかを全て消してくれてる。

 まぁ、異世界のバナナと言うとアレなので、色は緑色に灰色が混ざった色なんですけどね。

 間違っても黄色とかは混ざってない。


「これ飲んだら荷物まとめて下船の準備するか」


 という事で船内最後の朝食はスムージー二杯でした。

 大変美味しゅうございました。ご馳走さまでした。



 で、フェアウェルパーティに来たんですけど……。

 参加人数少な。

 まばらにしか人居ないじゃん。

 ノクティオさんも、ハーピー三人組も居ないし。

 みんな部屋で寝てるのかな?


「フェアウェルドリンクです」


 どうも。

 という事でいただいたフェアウェルドリンクは、一番上は透明。

 グラスの底に行くにつれて濃い青になるグラデーションチックなドリンク。

 味は微炭酸のブルーハワイですわね。

 ――カクテルじゃなくて、かき氷シロップの方ね。


「この程度の人ならパーティと言えないのでは?」


 ってくらいには人が居ないんだけど。

 で、そんな俺の言葉が聞こえていたらしくスタッフさんから、


「他の皆様は下船準備の方やまだご就寝の方、下船後の予定の確認などでお忙しいようで」

「あー……」


 なるほど?

 寝てるのか? って予想したけど、下船後の予定か。

 なるほどな?


「翠竜宮城ってどんな所なんです?」

「素晴らしい所ですよ。景色、食事、レジャー、どれも人気です」

「レジャーは何があるんです?」

「一番有名なのは海中スキーや海中サーフィンですね。海流に乗ってとても早く移動出来るんですよ」

「楽しそうですね」


 ちょっとやってみたいとか思ってしまった。

 いや、だってさぁ? スキーとかスノボとかやったことある人なら分かると思うんだけど、アレ、転ぶとマジで痛いのよ。

 手首ねん挫とか、骨折とか普通にあるし、そうじゃなくても翌日お尻がゴチゴチに痛いとかさ。

 でも海中でやるなら転ぶとか無いだろうし、打ち付ける地面も無い。

 この船のように海中で生活出来るドリンク飲んどけば溺れる心配もないだろうし、結構安全なスポーツなんじゃない?

 一度体験して見たさある。


「調子に乗って流れに乗り過ぎると、戻って来るのに苦労するみたいですけど」

「あ、戻ってくるのはセルフなんですね」


 思えば、スキーやスノボもわざわざスタート地点までリフトとかあるしな。

 そういうの無いのかな?

 戻り海流みたいなの。


「一応戻るための海流もあるにはあるらしいのですが――」


 なんだ、あるじゃん。

 じゃあ安心でしょ。


「海流なんて基本見えませんし、離岸流も混ざってたりするので……」

「戻れると思って安心したら離れていくとか怖すぎでは?」

「シーズン中は毎年遭難者が出ているそうで……」


 やめちまえそんなレジャー。

 いいか? レジャーってのは安全が確保されてるから楽しめるんだぞ?

 いやまぁ、スノボやスキーでケガしないかと言えば普通にするが……。

 しかも割と重大なやつ。

 ――会社の先輩はクモ膜下出血までいきましたわよ。

 救急車来られないからヘリで病院に運ばれたらしい。

 初めてヘリ乗ったわーとか言ってたけど、言えるようになって良かったね、としか。

 お見舞いに行って、会話とかしたのに覚えてないって言われた時は震えましたわよ。


「翌日くらいには無事に保護されますね」

「それでも一日は遭難するのか……」


 怖いが?

 水中ぞ? あまりにも心細すぎないか?

 俺なら五分と嫌だが?


「もしご希望でしたら、海中スキーや海中サーフィンのツアープランに参加なさいますか?」

「いやぁ……遠慮しときます」


 話を聞き始めた時は面白そうだと思ったんだけどな。

 話を聞くうちに、何と言うか、身の危険を感じてしまった。

 俺はまだ、海の藻屑にはなりたくない!


「そうですか」


 説明してくれたスタッフさんには悪いけど、今回は見送らせて貰う。

 ……次回、あるかなぁ……?

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