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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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普通に血が出る

 ぺちっ! ぺちっ! ぺちっ!


「あの……」

「んー?」

「叩いてますよね?」

「マッサージですよぉ」


 店の中に入り、施術用のベッドっていうの?

 あれにうつぶせに寝てと言われて言われた通りにし。

 どんなマッサージかと思って待機していたら、先程のぺちっ! という音と共に、背中に刺激。

 こう、手で叩かれるよりも広い範囲を、叩くよりも優しい刺激で与えてくる感じ。

 顔を向けたら、店員のギャルが椅子に座って尾びれで俺の背中を叩いているらしい。

 ――そういう趣味の人にはめっちゃ刺さりそうだなぁとは思う。

 ただ、残念なことに俺はそういった趣味を持ち合わせてはいない。

 普通にマッサージしてもらった方がいいなぁ。

 なんて思っていると。


「んしょっと」


 ギャル店員が掛け声を出し、どうやら椅子から立ち上がったよう。

 そして、


「重かったら言ってくださいね~」


 どうやら、俺の上に乗った……と思う。

 というのも、尾びれの感触はあるものの、そこまで体重がかかってる感じはしないからだ。

 まぁ。水の中だし、重力もあまり意味を成して無いし。

 重かったら、少し泳げば浮力が働いて軽くなるし……。

 あれ? もしかして水の中って結構マッサージに適した環境だったりする?

 ただし、水中で呼吸が出来る前提のものとする。


「お客さん背中の弾力凄いですよ? 座り仕事? 筋肉ガチガチですよ~」

「まぁ、デスクワークですから……」


 背中の弾力凄いは初めて言われたな。

 多分、背中がこってますよ、と同義。

 触診というか、尾びれの感触で判断してるからそうなるんだろうね。


「念入りにほぐしときますね~」


 という言葉と共に、ぺちちちちちちちちちちちちち! と、背中を尾びれが往復ビンタ。

 ただ、痛くは無いな。

 似た感覚で言うなら肩叩きかな。

 背中を程よく叩かれてる感じ。


「肉を柔らかくする下ごしらえみたい」

「よく言われますねぇ」


 言われるんだ。

 というか、これ受けた人、やっぱりそう思うんだ。


「圧迫しま~す。むぎゅ~!」


 で、今度は尾びれを押し付けてぎゅーっと圧迫。

 気持ちいいかと言われると――うん。

 とりあえず息苦しいとだけ。


「このまま足もマッサージしていきま~す」


 で、先程まで背中に乗っていた尾びれが、今度は足へ。

 そして、


「また叩きからですね~」


 ぺっち! ぺっち! とリズミカルに太ももやふくらはぎをビンタ。

 ただまぁ、痛みよりも気持ち良さが勝つかな。

 そこまで力が強く無いからね。


「うん。だいぶ血流は良くなったかな?」


 尾びれで叩いても血流は良くならないと思うんですけど。

 まぁいいか。

 

「じゃあまた圧迫していきますね。痛みとか、痺れとかあったら教えてくださ~い」

「はー……い? 痺れ?」

「たまーに居るんですよ。施術中に足が痺れたって言うお客さん。大体足が悪くなってるんで、精密検査を提案してますね」

「そうなんですね……」

「たまーにですけどね。じゃ、行きまーす」


 という事で、足にも尾びれ圧迫開始。

 ただまぁ、懸念していた痺れというものは無く。

 今回の施術に関しては、マッサージチェアあるじゃん? 温泉施設とかに。

 あれの動きで、腕とか足とかを圧迫する動きあるじゃん?

 ほぼあんな感じ。

 足の圧迫に関しては、明確に気持ち良かったな。

 

「ん~……お客さん、お腹緩かったりします?」

「あんまり無いと思いますけど……」


 なんか、急に言われたんだけど。

 どうしたんだろ?


「ちょっと痛むかもしれませんけど……えい!」


 と、掛け声付きで、俺の足の裏に尾びれが突き刺さる。

 

「っっったぁっ!!?」


 痛むかも、じゃないんよ。

 突き刺すな、ヒレを。

 確実に痛いだろうが。


「今の、胃腸が弱ってると痛むツボです」

「ツボ関係なしに皮膚に刺さると痛いんですよ?」


 足つぼで判別可能なのは、皮膚を突き破って無いからなんですが……。

 文字通り突き刺さってたら、それは痛いのよ。

 胃腸がどうとかに関係なく。


「でも、ここ痛いですよね?」

「痛い……ですねぇ」


 今度は手の指で俺の足の裏をぎゅーっと指圧。

 というか、初めからそれでいいじゃん……。

 なお、さっき尾びれが突き刺さった個所を押されている為、ツボを押されていたいのか、怪我しているから痛いのかは微妙な所。

 絶対尾びれで突き刺すのやり過ぎたでしょ。


「なるべく消化にいいものを食べた方がいいですよ?」

「この船に乗ってるのに?」

「……それもそうですね」


 折角の旅行ぞ?

 何が悲しゅうて、身体の事を気遣った食事をとらにゃならん。

 肉! 魚! なんか高い料理! が旅行の醍醐味じゃろがい。


「まぁでも、今は良くても二十年後とか、ガタが来ますよ?」

「今足掻いたところで二十年後はもう確定事項な気が……」


 油モノがきつくなるとか、食べ放題で思ったほど入らないとか、既に片鱗見えてますし……。

 蒸し野菜とか最近美味しく感じるようになってきたんだよな。

 京野菜とか。


「仕上げに水圧でマッサージして終了ですねー」

「そんなのもあるんだ」


 というわけでフィンマッサージ、お試しコース終了です。

 ……ちなみに水圧マッサージ、普通にジェットバスと大差なかったです。

 はい。

 延長は……要らないかな。

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