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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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抗えなかった

「……ふぅ」


 ばばんばばんばんばん。

 風呂はいいねぇ。

 ちなみに前回入ったひじきの湯は、今日は別のお湯になってた。

 その名もワカメの湯。

 ほんのり緑色のお湯にはなっているものの、効能自体はひじきの湯と変わってないね。

 なお、現在俺はジェットバスを利用している模様。

 肩や腰のあたりに強めの水流が出てて、マッサージ効果を期待できるお風呂ね。

 ついでに床からもジャグジーよろしく水流が出てるから、足のマッサージも期待できるらしい。

 いやぁ、極楽ですわ。

 何ならこのまま寝られる。


「流石に寝はしないけどね」


 お風呂で寝るのは睡眠ではなく気絶に近いとかなんとか。

 水中適応ドリンクを飲んでいるから、風呂で寝たとしても溺れはしないけれども。

 それはそれとしても、船内の風呂で寝るは流石に無いだろ、と。

 もし眠くなってきたら水風呂に入るわ。

 目が覚めるでしょ、そしたら。


「……今の状況の水風呂って、実質ただの水だよな」


 いやまぁ、水風呂も浴槽に水が張ってあるだけなんだけど。

 でも、海中の中で入る水風呂はきっと真水でしょ?

 ほな水風呂かー。


「――んで、ずっと気になってるんだけど……」


 ジェットバスで背中を、足を、腰を刺激されながら。

 視界の端に、木製のドアがちらちらと入ってくる。

 その扉には、『サウナ』と書かれており。

 素直に、その中はサウナ室になっているのだろう。

 ――が。


「風呂じゃろ。それ。とどのつまり」


 海中内でサウナ。

 どう考えてもただの熱い風呂です。本当にありがとうございました。


「いやまぁ、興味本位で入るんだけども」


 ただ、中はどうなってるかは気になるじゃん?

 という事で入って見ませう。


「……うわっつ」


 扉を開けたら、中からモアッと熱気――熱湯が。

 熱湯と言ってもあれだな、熱い風呂くらいのレベル。

 入った瞬間に足が真っ赤になるくらい。

 こんなもんか。


「ぜんっぜん熱いけどね?」


 一応入って座って汗をかく。

 折角入ったので。

 ……とはいえ、もうキツイな。

 サウナって、湿度が高くなればなるほど温度が低くなるのが特徴だけど、ここはもう湿度何%とかの話じゃないからな。

 周囲水ですわよ。余裕で100%。

 なので多分、温度は40℃前後だと思うんだけど……。

 うむ、限界。


「水風呂に入ってシメてー」


 水風呂もとい海水もとい真水にドボン。 

 くぅ~~。

 開いた毛穴が閉じていくンゴねぇ~。


「やり過ぎは良くないらしいから」


 程よくシマったら、水風呂から出て体温を戻す。

 ここで温泉に入ったら、急激な温度の変化で逆にストレス掛かるから注意ね。

 時間をかけてゆっくり体温を戻すのがコツ。


「……ふぅ」


 チルだぜ。

 じっくり時間をかけて体温を戻して、もっかいジェットバスで背中刺激して上がるか。

 さてさて、風呂上りは何を飲もうかなぁ!



 選ばれたのは、麦茶でした。

 いや、そこはコーヒー牛乳だろ、とか、フルーツ牛乳一択とか色々とあるかもしれないが。

 なんか無性に麦茶を飲みたくなったんですよ……。

 それも――、


「まさかやかんごと置いてあるとは……」


 台の上にたっぷりと氷を敷き詰め、その上にドカッと大きめのやかん。

 そこに、


『中身は麦茶です。お好きにどうぞ』


 とか書かれてたら、飲まないわけにはいかんでしょ。

 日本人として。


「香ばしくも軽く、ゴクゴク飲めるごく普通の麦茶」


 その普通なのがいいんですよ麦茶って。

 何だかんだ、変に作ってない、癖の無い麦茶が一番だって、それ一番言われてるから。


「ふぅ。美味しかった」


 紙コップ……ならぬ貝殻コップをごみ箱に捨て、大浴場を後に。

 晩御飯まで寝ようかしら?

 なんて思いながら部屋に戻っていると……。


「ん? フィンマッサージ?」


 何やら気になる看板が。

 ……マーメイドの尾びれでマッサージするのか。

 ――看板のイラストだと、ハーピーがおもくそビンタされてるんですけど。

 マッサージだよね?


「気になっちゃう感じですか?」

「ん?」


 で、そんな看板の前に立っていると、後ろから声を掛けられる。


「今暇なんで、お客さんにはサービスしますよ?」

「ん~……」


 とか言われたので振り返ってみたら、そこには――。

 ギャル! 褐色肌で耳……というか、ヒレにピアス付けてる!

 爪もマニキュア……じゃねぇな、なんだあれ?

 貝殻か?

 ともかく、俺が学生時代に一切交流の無かったギャル族だ!

 え? ギャルにマッサージして貰えんの!?

 入っちゃおうかなぁ……。


「一応聞くけど、こんな感じでビンタとかしないよね?」

「しませんよ。インパクト重視な看板を目指してこんななってるだけですって」

「インパクトと共に誤解を与えてそうだけど……」

「ですよねぇ……」


 とか会話してますけど、このギャル、既に俺の腕に手を巻き付けていて、逃がしませんよ? と暗に言ってくるんだけど?

 当然の様に腕には柔らかいものが当たってまして……。

 ヤバい、俺、このギャルの事好きになっちゃう。


「まずはお試しコースからで、気に入ったら延長って形でも大丈夫なんで」

「あー……じゃあ、お試しコースをお願いしようかなぁ」

「はーい! 一名様ご案な~い!」


 ……許せ、サスケ。

 俺はギャルに弱い生き物なんだ……。

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