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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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瑞々しかったような……

 流石にシャーベットなので、塩ラーメンのスープ味ではない。

 何だろうな……塩バニラレモン味、かな。

 バニラの感じと柑橘系の酸味、塩のミネラル感と塩味。

 口の中をリフレッシュさせるには十分ですわよ。


「お待たせしました。クラウチングホエールのステーキになります」

「ありがとうございます」


 そうして持って来られたお代わりのメイン、二皿目。

 ふへへ、いただきまーす!!



「満足」


 大きく息を吸い込み、口から鼻へ。

 余は満足じゃ。


「デザートはクレープとなっておりますが、目の前でフランベ致しますか?」

「お願いします」


 メインを食べて一息ついてたら、デザートの紹介が。

 目の前でフランベするクレープって事は、クレープシュゼットかな?

 いや、実際に食べた事は無いけど。

 漫画で読んだのよ。

 フレンチシェフが戦国時代にタイムスリップするやつ。

 あれで作ってた気がする。


「念の為、その位置から動かないようにお願いします」


 クレープの乗ったお皿が運ばれ、そこにオレンジ色の液体が回し掛けられる。

 そして、スタッフが指パッチンをすると――ボゥッ、と一瞬火柱が上がり、すぐに火の勢いは小さくなって。

 俺の前に皿が置かれるころには、すっかり火は消えてしまう。

 いやまぁ、焼けてるままだったら食べられないんだけれども。

 というわけで、いただきます!


「ん、んま」


 モチモチのクレープ生地と、そこにしっかりと染み込んだオレンジ風味のシロップ。

 先ほどのフランベでお酒の香りがほのかに漂い、気分を大人な感じに上げてくれる。


「バニラアイスは乗せますか?」

「お願いします」


 温かいクレープにバニラアイスとか最強の組み合わせでしょ。

 柑橘系の酸味もあって味わいバランスもいい。


「最高」


 温かいクレープ生地と、冷たいアイスとの温度差がまた。

 確実に美味しいを提供してくれますわ。

 なんでこんな相反する組み合わせなのに合うんだろうね?

 甘いとしょっぱいしかり、冷たいと温かいしかり。


「食後にコーヒーなどは?」

「いただきます」

「何かお好みはございますか?」

「お任せでお願いします」


 今回の食事の締めくくりに相応しいコーヒーを。

 まぁ、よっぽど変なコーヒーじゃなければいいよ、うん。


「かしこまりました」


 で、運ばれてきたコーヒーなんですけど……。


「こちら、ホワイトコーヒーになります」


 確か高かったはずだよね? ホワイトコーヒー。



 ふぅ……。

 満腹ではあるんだけど、それ以上に満たされてるって感覚が強いな。

 美味しいものを食べたのもそうだけど、こうやって綺麗なサンゴ礁を見下ろしているからかも?

 絶景は心を浄化してくれる。


「客室のバルコニーからも見下ろせるとはね」


 冷蔵庫の中に入っていたドリンクを一本取り、バルコニーからサンゴ礁を眺めながらグビリ。

 パッションフルーツとか、南国系の果実感が口一杯に広がるそのドリンクが、より非日常を演出してくれる。

 普段飲まないもんね、こんな味の飲み物。


「明日はどこに行くんだろ……」


 そう思ってパンフレットを確認すると――、


「……深海行くのか……」


 正確には海溝ツアーとの事。

 もっと言うなら、そこでワインを作ってるらしく、ワイナリー見学なんだって。

 海ブドウを使ったワインで、水圧で絞るとかなんとか。

 ……普段から水圧掛かってない?

 大丈夫かな。

 大丈夫なんだろうな。


「海ブドウワイン……あんま記憶に無いな……」


 前回のツアーでワインセラー巡りをした時にそんなワインを飲んだような……。

 どんな味だったか忘れちゃったかも。

 ……いや、待て。

 忘れたという事は、まるで初体験のように感じられるという事だ。

 つまりお得。

 そう思う事にしよう、うん。


「そう言えば、日は暮れたはずなのに、海の中はそこまで暗くなってないんだな」


 もう月明かりしかないと思うんだけど、とてもそうとは思えない位に明るい。

 昼……程ではないけど、少なくとも暗闇とかではないし。

 普通夜の海って、ほぼほぼ視界無いと思うんだけども。


「この景色を見せるために、魔法で明るくしてる、とかかな」


 ありがたいことに。

 おかげさまでサンゴ礁を楽しみながら、寝る前のひと時を過ごせていますよっと。



 ……ふあぁ。

 おはようございます。

 しっかり目覚ましをかけていたので、今は日の出前です。

 というわけで、朝日が差し込む瞬間を見に行きましょう。


「……早いな」

「ノクティオさんこそ」


 メインデッキには、俺と同じく日の出を見ようと数人の乗客が集まっており、ノクティオさんもその中に居た。

 俺より早く着いてたのに、早いな、じゃないよ全く。


「そろそろだ」

 

 待つこと数分。

 ゆっくりと。まるで、カーテンを開けていくかのように、光のベルトが差し込んでくる。

 そして、その光のベルトに応えるように、海藻たちが揺れ、キラキラと何かを放出。


「あの光ってるのは?」

「魔力だ。海藻たちは陽の光を浴び、魔力を生成する。それが海に溶けだし、様々な魔物に影響しているのだ」

「へぇー」


 異世界だと魔力を放出するのか。

 現代だと酸素だよね?

 ……って事は、俺たちは魔力を吸って生きている?

 つまり魔法が使える?

 嘘です、使えません。

 エルフツアーの時に判明してます、はい。


「……よし、戻って寝る」

「同じくです」


 ひとしきり日の出を堪能し、海藻たちが魔力を放出する様を観察し。

 俺とノクティオさんは、同じタイミングでそれぞれの客室へ。

 何をするかって? まだ眠いの!!

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― 新着の感想 ―
海溝でもワインを醸すか……この世界の神様は、ワインに対して相当なこだわりがあるに違いない(すっとぼけ)
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