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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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不思議がいっぱい

「しゃぶしゃぶを注文したんですか?」


 チーズフォンデュが有名なお店って聞いてたのに。

 いやでも、わざわざしゃぶしゃぶを注文したって事は、ノクティオさんだけが知る隠れグルメとかなのかも。

 ……そう思っていた時期が、僕にもありました。


「? いや? これはチーズフォンデュだが?」

「??」


 ……あ、なるほど?

 これからチーズを溶かすのね?

 透明な水に見えるけど、実際には出汁とか、白ワインとかのチーズを伸ばす液体で、これに今からチーズを入れて溶かしていくのか。

 なるほどなるほど。


「食材をお持ちしました。当店では一定量までは全て定額ですが、一定量を越えると追加の料金が発生しますのでご注意ください」


 食べ放題ではないって感じかな。

 ……つまり店側には絶対に損が出ない料金設定になってるわけか。

 いやまぁ、食べ放題でも基本的に元は取れない設計になってるけどさ。

 店員さんが持って来たのはベーコン、パン、キノコ、ミニトマト、そして大量のミニシュー。

 ミニシューはデザート用かな? にしても多いな。

 ――あれ? チーズは?

 フォンデュ用のピックは二本置いていったけど、肝心のチーズが無いよ?


「さて、食べようか」

「チーズは?」

「? 入ってるだろう?」

「……いや、水しか入ってませんけど……」


 ノクティオさん、もしかして目が悪い?

 鳥目……はフクロウだから関係無さそうだし……。

 あ、フクロウだから逆に昼間に目が悪くなるとか?

 なんだ、じゃあ言ってよ。

 はいはい、店員さん呼びますよっと。


「まずはベーコンからだな」


 と、俺が店員さんを呼ぶ前に、ノクティオさんがベーコンをしゃぶしゃぶ――しない!?

 正確にはしゃぶしゃぶじゃない!?

 なんか、水がびよーんって伸びてますけど?

 まるでチーズじゃん。

 水が伸びた部分からチーズみたいな香りもするし……。

 まるでチーズじゃん!?

 ベーコンを回して伸びた水の部分を巻き取って食べてるし。

 まるでチーズみたいに!!


「ん~、これよこれ」

「……あの、その水って……」

「? チーズ水だぞ? 見た目は水だが性質はチーズだ」

「何それ……」


 水とチーズ、二つの性質を併せ持つ♠ ってこと?

 いや、分からんけど。

 でも、目の前でこうして水が伸びてる映像があるんだよなぁ。

 信じる信じないはあなた次第。


「百聞は一見に如かず、百見は一行に如かず」


 そう言ってピックを差し出してくるノクティオさん。

 試してみろ、という事か。

 じゃあ、ミニトマトを……。


「……っ!? 美味い!」

「だろう?」


 なんてこった。

 普通にチーズじゃないか。

 かなり軽い感じのチーズだけど、コクと香りはしっかりあるね。

 塩味もしっかりある。

 あと、ブラックペッパーが効いてて。ピリリとした刺激がまたチーズと合うわ。

 そこにミニトマトの甘みが加わって十点満点中十点。

 普通に美味しいチーズフォンデュですわね。


「飲み物はどうする?」

「俺はコーラで」

「ふむ。私はレモネードだな」


 という事で飲み物も注文。

 へへー、次は何にしようっかなー。

 ベーコン! 君に決めた!!


「ん~! っぱ肉とチーズの相性は最高ですねぇ!」

「ついさっきまでチーズと認識していなかったではないか」


 過去は振り返らない男なんですー。

 一度意識のアップデートが入ったからね。

 これからはこの鍋に入った水はチーズとして認識します。


「飲み物お待たせしました」


 というわけでコーラも来たので、肉、チーズ、コーラという最強の布陣でお昼ご飯を相手にします。

 ガハハ、勝ったな。


「さて、中身は何だろうな」


 次にノクティオさんが手を伸ばしたのはミニシュー。

 それはデザートなのでは?


「ふむ、これはポテサラか」

「!?」


 なん……だと。

 シュー生地の中身は甘いクリーム。

 そう思っていた時期が僕にもありました……。

 中身にポテサラ!? どうやって入れたとかは一旦置いとくとして。

 どうせ魔法でなんやかんやだろうし。

 美味そうじゃん! 俺もミニシューをディップして見よ。


「……ビーフシチュー!」


 最高かよ。

 パリッとしたシュー生地から溢れるコクのあるビーフシチュー。

 そこにチーズが絡みつき、口の中で美味い塊として融合。

 オッホヤッベこれうっめ。

 ……プハー。コーラがうまーい!


「ランダムディッシューを気に入ったようだな」

「ディッシューって名前なんです? これ?」

「うむ。分かりやすい名前だろう?」


 確かに。

 ディッシュ+シューってまんまなネーミングだし、一発で意味は通じるな。

 そしてランダムなのか。

 てことは、中身にばらつきがあるって事だな?

 これは他にもどんな中身があるのか解明しなければなりませんねぇ。


「……ボロネーゼ風の中身だったな。チーズとの相性が最強」

「こっちは海老クリームでしたね。濃厚なエビの風味とチーズの相性が言わずもがなです」


 ヤバい、楽し過ぎる。

 一つ一つの味が違う上に一個一個が小さいから、マジでなんぼでも食べられちゃう。

 

「メンチシューだ! 噛み締めると出てくる肉汁がたまらん!」

「コーンクリームでした。コーンの甘さとチーズのしょっぱさがいいコントラストですねぇ!」


 速攻でランダムディッシューをお代わりしたよね。

 ついでに、あとどれくらい食べたら追加料金が必要になるのか聞いてみた。

 五回お代わりまでは定額。六回目以降からは追加料金だってさ。

 ――流石にそこまで食べなくない?

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