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シア薬剤店  作者: レレナ
第2章
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第28話 ょぅし゛ょ -セリと日常の朝-

色々と用事が重なり投稿が遅くなりました。

申し訳ございません。

「ーーっぷしっ!」


 鼻先がむずむずして、堪えきれずにくしゃみが出て、目が覚めた。


 ぼんやりと開けた視界に、ふわふわして、ぴんと尖ったモノが飛び込む。

 ゆっくりと上下しているけど、時折思い出したかの様にぴくんぴくんと動くケモ耳。


 わたしの胸の中にはセリちゃんがいた。


 もともとわたしの部屋にはベットは1台しかなかったし、だからと言って床で寝ろなんて言えるわけがない。

 結果、同じベットで寝る事にした。

 幸い、セリちゃんはちっちゃいし、わたしも10歳児の身体。

 ベット1台でも十分な広さで問題は無い。


 そうそう、セリちゃんは5歳ということだった。


 昨夜、ベットに入った時は隣り合って寝たけど、寝てる間にセリちゃんがわたしにしがみ付いて来たみたい。

 わたしの目の前でケモ耳がぴくんぴくんと動き、毛布の端からはしっぽがはみ出ている。

 わたしにしがみ付いたまま未だすやすやと眠っているセリちゃんの寝顔はまるで天使。


 もー!! 可愛すぎ!!


 思わず、きゅっと抱きしめる。


「うにゅ」


 強くしたつもりはないけど、それでも少し苦しかったみたいでセリちゃんは、軽く呻きを漏らした。


 ごめんね。


 わたしが抱きしめたせいでセリちゃんは目が覚めたみたいで、薄らと目を開けた。


「おはよ」


 声をかけたけど、まだ完全には目が覚めていないのか、セリちゃんはぽやんとした表情のまま。


「朝だよー」


 ぐりぐりとセリちゃんのほっぺに頬ずりをする。


「んん~~にゅ」


 まだ眠いのか若干ぐずりながら毛布の奥へ奥へと潜り込み、わたしのお腹にぴったりと張り付いて来る。

 お腹やわき腹にもふもふのケモ耳が当たってくすぐったい。


「ちょーーまっーーきゃっ、くすぐったーー」


 もぞもぞと動くセリちゃんがくすぐったくて、わたしは体をよじる。


 おっと、いけないいけない。


 ひとしきりセリちゃんともぞもぞした後、我に帰ったわたしは、がばっと跳ね起きて毛布を剥ぎ取る。


「ほら、セリちゃん。起きた起きた!」


「うにゅ……おはよー…シアおねえちゃん」


 くしくしと目を擦りながらわたしに挨拶するセリちゃん。


「今日もいい天気よ!」


 ぎぎぎ…と軋んだ音を立てながら木窓を開いたわたしは答えた。


 太陽さんさん。

 うん。今日もいい天気!

 朝から天気が良いのは気分が良い。


 セリちゃんを引き取ってから1週間が経った。

 最初の2日はセリちゃんも、おどおどびくびくしていたけど、3日目くらいから落ち着いて来たのか、わたしとの会話もなんとか普通に出来る様になった。

 1週間経った今ではすっかりわたしに懐いてくれて嬉しい。

 わたしもお姉ちゃんとして頑張ろう。


 すっかり目が覚めたセリちゃんはベットから降りている。


「わたしは井戸から水を汲んでくるから、セリちゃんは毛布をたたんでおいてね」


 セリちゃんにおしごとを与えて、わたしはたらいを持って、庭先の共同井戸に向かう。


 庭先の共同井戸にはまだ誰もいない。

 まだ朝も早いから、みんな寝ている時間。

 元々わたしは、朝早くから出発する冒険者とかに薬を売る為に、朝早くから川べりに露店を出している。

 必然的に、早く起きなきゃいけないから、こんな朝早くから起きているのは、このアパートではわたしくらいのもの。

 たまに、他の部屋の住人と一緒するくらいかな?


 井戸の水を汲み、たらいをいっぱいにしたわたしは、少しよたよたとしながら、部屋にたらいを持ち込んだ。


 セリちゃんは、まだ毛布と格闘していた。

 全身を使って一生懸命毛布をたたもうとしている様は、微笑ましい。

 まだちっちゃいので、手だけで毛布はたためないのでベットの上に毛布を置いてたたんでいる。

 指先でつまむように持つ器用さはまだ無く、紅葉の様なちっちゃな手で毛布の端っこを鷲掴み。

 ずるずると毛布の片側を引っ張って角を合わせているけど、そうすると反対側の角がずれる。そのズレた反対側を鷲掴んで角を合わせると、さっき合わせた角がまたズレる。

 その繰り返しに思わずによによと笑みが浮かんじゃう。


 しばらくその様子を微笑ましく見ていたけど、思うようにいかないもどかしさからせりちゃんの瞳がうるっと歪む。


「ただいま」


「ううう~~」


 わたしが戻って来た事に気が付いたセリちゃんの目尻にこんもりと涙が浮かんだ。


 その様子に、思わず吹き出しそうになったけど、笑わないであげよう。


「手伝ってあげる」


 何度もズレる毛布の反対側の端をわたしが押さえると、セリちゃんは目尻に大粒の涙を浮かべながらも、その反対側を鷲掴んで整える。

 ようやくきちんと形になった毛布に落ち着きを取り戻したセリちゃんは、その後、わたしの手伝いに合わせて毛布をたたみきった。


「うん。セリちゃんが手伝ってくれたおかげで早く終わっちゃったよ」


「えへへ」


 わたしの言葉に、セリちゃんは得意げに笑顔を浮かべた。


「さ、身体を拭くわよ」


 セリちゃんの服に手をかけ、首前にある2個のボタンを1個ずつ外す。


「はい、ばんざーい」


 わたしの言葉に、合わせてばんざいするセリちゃん。

 頭からすぽっとかぶるタイプのワンピースなので、上へたくし上げて脱がす。

 そのまま、かぼちゃぱんつも脱がせてすっぽんぽん。


「ちょっと、待っててねー」


 水を張った桶に布を入れて絞る。

 軽く絞った布でセリちゃんの身体を拭き始める。


「ーーっぴゃ」


 冷たい布が身体に触れた途端、セリちゃんがびくっとなって小さく悲鳴を上げる。

 しっぽもびーんとなってる。


「はい、ごしごしごしー」


 ぴるぴる耐えているセリちゃんを、によによしながら拭いていく。


 セリちゃんを全部拭き終わってから服を着せなおす。

 その後は、わたしが身体を拭く。


 身体を拭き終わったら、朝ごはん。


 1個の黒パンを半分こして、食べる。

 この黒パンは1個、銅貨1枚だけどかなり大きい。

 高級なパンは柔らかいらしいけど、この黒パンはごわごわしてて硬い。でも大きいから普通の人はこの黒パンを食べている。

 わたしとセリちゃんなら半分こすれば十分な量の朝ごはんになる。

 硬いけど。


「はい、半分こだよ」


「半分こ。半分こ」


 セリちゃんは、わたしとの半分こという形がすごく嬉しいみたいで、半分この黒パンを両手で鷲掴みしたまま高く掲げてくるくる回る。


「座って食べようね」


「うん」


 わたしが注意すると、セリちゃんは素直に頷いてベットに腰掛けた。

 同じくベットに腰掛けたわたしに、シアちゃんは、すすすと近寄って来てぴたっとくっつく。にぱっと笑うセリちゃん。


「それじゃあ、いただきましょう」


「ましょー」


 黒パンを食べ始めるわたしとセリちゃんだけど、セリちゃんの食べ方は何と言うか…


 ちまちまちまちまちまちまちま…


 一口がすごく少なくて何度もついばむ様に口に含み、噛む。

 すぐに飲み込まず、また、ちまちまちまちまちまちま…

 両方のほっぺたが膨らむとようやく飲み込む。

 ……うん。リスそのものね。


 思わずくすりとなる。


 セリちゃんの食べ方は面白くていいんだけど、そろそろご飯の内容も考えなくちゃいけないわね…

 わたしもそうだけど、セリちゃんはわたし以上に育ち盛りだろう。

 毎日黒パンばっかりじゃ、栄養が偏っちゃう。

 毎日は無理だけど、定期的にお肉やお野菜を取らなきゃ…


 自分一人の時はあまり考えなかったけど、今はわたしだけじゃないし。

 ああ、あとはセリちゃんの服とか靴も…お金がかかるなぁ…


 頭が痛いけど、意外とそこまで苦じゃない。

 セリちゃんとの生活は、そんな苦労も、まあ、しょうがないなぁ…で、納得出来る。

 意外と、わたしも楽しんでるのかな?


 朝ごはんが終わればおしごと開始。

 セリちゃんと一緒になって5日目くらいから、わたしはセリちゃんを川べりの露店に連れて行くようになった。

 ずっと部屋に押し込めておく事は出来ないし、そんなんじゃ病気になっちゃうしね。


 さあ、今日も笑顔でおしごと頑張りましょう!

評価してくださった方。ブックマークしてくださった方。読んでくださった方。

ありがとうございます!!


感想・誤字・脱字・ご意見等ございましたらご連絡お願い致します。


次回の投稿は11/27(木)よ予定しています。

状況によって前後することがあります。


1/21 サブタイトルの『ょぅじ゛ょ』→『ょぅし゛ょ』に変更いたしました。

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