↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シア薬剤店  作者: レレナ
第2章
27/35

第25話 ょぅし゛ょ -捜索依頼-

評価してくださった方。ブックマークしてくださった方。読んでくださった方。

ありがとうございます。


実はシアとエミリ、フィオの関係ですが、当初の予定ではシアの依頼をすっぽかしたアレン、エリー、ダニガン、パニエが、その立ち位置になる予定でした。

書いていたら依頼をすっぽかすことになっていて、どうやって当初の立ち位置に戻すか悩んでいましたが「あ、このままダメ冒険者としてもいいんじゃね?」って事になり、新キャラとしてエミリ、フィオが生まれました。

「シア!」


 冒険者協会の談話スペースで待っていたわたしに声がかけられた。


 声の方を振り向くと、冒険者協会の入口にはエミリさんとフィオさんがいた。


 まずフィオさんがわたしに気付いたみたいで、エミリさんにわたしの場所を示している。


 そのままロビーを突っ切り、わたしのいる談話スペースまでやってくる。


 わたしは立ち上がってエミリさんとフィオさんを迎える。


「エミリさん、フィオさん、今日はありがとうございます」


「私達に指名依頼なんて珍しいから誰かと思ったらシアちゃんだもんね~」


 エミリさんがにこにことわたしの挨拶に応える。


 通常、冒険者協会に依頼を出す時は、依頼内容と報酬金額を提示して冒険者協会に書類を提出する。そうすると冒険者協会内の掲示板にそれが掲示されて、それを見た冒険者が依頼を受けるーーという形となる。


 つまり、依頼者は依頼を出したら後は待っているだけで、誰がその依頼を受けるかは関与していないし、知らない。まあ、依頼進行中に冒険者協会に誰が依頼を受けているのか確認に行けば知る事は出来るけど、依頼者が直接自分から確認に行かなきゃ知ることはない。冒険者協会もわざわざ教えに来てくれる事も無い。


 あと、依頼が完了したという事も、連絡は無い。依頼者が依頼が完了したか確認に行ってその時に分かるという形だ。依頼が完了したと言う事を冒険者協会から連絡を受ける場合には事前連絡をしておき、その際には別料金が発生する。もちろん、さっきの誰が依頼を受けているのかという情報開示にも別料金が発生する。誰かが依頼を受けて進行中だという事ぐらいは無料で教えてもらえるけど。


 だから、依頼者は基本的に依頼を出したら後はそのまま。誰が依頼を受けたとか、依頼完了を教えてもらうなんてしていない。別料金は大した金額じゃないけど、誰だって別料金なんて払いたくないし、少しでも安く済ませたいものだもの。


 ちなみに別料金の金額はピンからキリ。依頼完了したら大至急連絡をもらおうとしたらそれなりの金額を取られるし、連絡先が遠かったりーー極端な話、国外とかだとかなりの金額になるみたい。一番安いのだと、依頼完了数日後に協会員が何かのついでに近くを通りかかった時に連絡が行く…なんてのがある。そういうのだと銅貨1枚。


 色々なものに別料金が発生して何げにせこいと思うけど、冒険者協会には毎日何十件、何百件と依頼と成功報告が舞い込んで来ているだろうから、1件1件が大した金額じゃなくても、塵も積もれば大した金額になるんでしょうね。


 そして、エミリさんが言った指名依頼と言うのは、依頼を受けてもらいたい冒険者を指名しておくシステム。もちろん別料金がかかるけど、懇意にしている冒険者や有名な冒険者に依頼を受けてもらえる。これは冒険者側には依頼を受ける義務は無くて依頼を受けるも受けないも自由。あなた宛に依頼が来ていますよーと言うだけに過ぎない。


 まあ、確かに、指名されたら絶対受けなきゃいけないなんてなったら、有名になった冒険者にしてみたら大変でしょうし。


「しかし、珍しいな。シアが私達に指名依頼なんて…と言うか、初めてか?」


「そうだね~。シアちゃんからの指名なんて初めてだし、冒険者としては指名されるのは嬉しいしね。それがシアからなら尚更! 頑張っちゃうよ~!」


 わたしが椅子を勧め、それに掛けながら、フィオさんの言葉にエミリさんも続ける。


「シアには薬で色々と世話になってるからな」


「そうそう。シアちゃんと一緒に薬草採集に行く時はホント助かってるからね~」


 エミリさんとフィオさんが言うのは、わたしが出した薬草採集の依頼をこの2人が受けた時は、毎回わたしに同行を頼まれる。


 その際、森の中に行くので木の葉っぱや枝とかで肌とかに傷を付ける時があって、その際にわたしが持ってきている傷薬で直している。わざわざ2人が自分で傷薬を使わせるのもなんなので、わたしが持ってきているのを使っている。


 わたしとしても守ってもらっているし、多少自分が持ってきた傷薬を使ったところで、充分に元は取れるから必要経費として割り切っている。


 でも、エミリさんとフィオさんからしてみたら、それでもありがたいのでしょう。


「それで、何を依頼したいのかな? 依頼書には『内容は口頭で説明』って書いてあったけど?」


 エミリさんとフィオさんのおかげで日常会話はそれなりに話せる様になったとは言っても、ぺらぺらといった訳じゃないし、文字に関してはさらにまだまだなわたし。依頼書に詳しく書ける自信が無かったので『内容は口頭で説明』と書いたのだった。


「えっと、ですね…」


 わたしはエミリさんとフィオさんの2人に、今回指名依頼をした事を説明した。


 薬草採集で森に行った事。そこで迷子の女の子を見付けた事。女の子は獣人という事。どうやら盗賊か山賊に襲われて必死に逃げて来た事。


「ふむ…命からがら逃げ延びたという事か…」


 わたしの話にフィオさんが頷く。


「今は、その獣人の女の子は? ここにはいないみたいだけど?」


「とりあえず、わたしが保護して、今はわたしの部屋においてきています」


「話の流れから、こういう事はあまり言いにくいが…よくある事だぞ? シアがどうこうする事か?」


 そうなのだ。この異世界は安全じゃない。魔物もいるし、強盗や盗賊もかなりいる。わたしだって違う街で部屋を荒らされ、商売道具をすべて壊された。グリアおばあちゃんの形見の道具類すべてを。


 今回、森で迷子になっていたセリちゃんを保護したわたしは、レーンの街に戻り、そのままとりあえずわたしの部屋においた。


 衛兵にでも言えば『迷子』の子供を保護してくれるだろうけど、せいぜい1日2日が精一杯。『捨て子』や『保護者の迎えが期待出来ない子供』は後はそのまま放り出されるのが目に見えている。この街には孤児院とかは無いから。


 あとはそのまま浮浪児になって、スラムで生きていくしかなくなる。


 それではセリちゃんがあまりにも可哀想すぎる。


 だからわたしはセリちゃんを引き取ろうかと思った。


 セリちゃん1人助けたところで、他の浮浪児はどうするんだって話だけど、わたしだって自分が食べるだけで結構いっぱいいっぱいだからどうしようもない。


 偽善だなんだと言われようがわたしにはどうしようも無い。わたしには自分の生活を切り詰めてセリちゃんを何とかするので精一杯。


 わたしの目に止まったのがセリちゃんで、セリちゃんがいれば、ふわふわのもふもふで癒される。それだけ。偽善やなんやと、そんな小難しい事は、出来る人がどうかすればいい。


「今回お願いしたいのは、そのセリちゃんのご両親の安否の確認なんです」


 わたしの依頼にエミリさんとフィオさんはちょっと悲しそうな、渋い表情をする。


「その…な。そういうのは、その、何なんだが…さっきも言ったように今の話はよくある事なんだ。その結末も…な」


「うん…そうだね。シアちゃんの『もしかしたら』って気持ちも分かるけど…ね」


「もちろん、それは分かっています。エミリさんとフィオさんが言葉を濁して直接言葉にしない結果も理解しているつもりです」


 この世界は安全じゃない。強盗か盗賊か知らないけど、セリちゃんの両親はもう助かってないだろう。セリちゃんの話では襲われた際に両親は怪我もしていたみたいだし、荷は間違いなく奪われている。怪我した状態で森の中か街道を徒歩で街まで戻ってくるのはまず無理だと思う。魔物や野生の動物が血の匂いを嗅ぎ付けて来る。


だからこそ(・ ・ ・ ・ ・)確認に行ってもらいたいんです。ちゃんと死(・ ・ ・ ・ ・)んでいるの(・ ・ ・ ・ ・)()の確認に」


 わたしの言い方にぴくりと反応する2人。


「わたしはこの通り、後ろ盾も何も無い、単なる子供です。セリちゃんを助けて両親、もしくはどちらかが無事でセリちゃんを引き取りに来たとして…お礼や謝礼が貰えれば問題はありません。でも、誘拐犯とか言われたらどうしますか?」


 この異世界に来てわたしはよく分かった。


 魔物とかは確かに怖い。でも、人の悪意の方がよっぽど怖い。にこにこ笑っていてその裏で何を考えているのか分からない。そしてかつての様に突然部屋を襲われる。


 もちろん出会う人全てを全く信じない…なんて訳にはいかないから多少の落とし所はあっても、他人は完全には信用しちゃいけない。それがこの異世界に来てわたしが知った事。


 ひと呼吸おいてわたしは続ける。


「誘拐犯と決め付けられて、こちらの言葉をに一切聞く耳を持たない…そんな人にわたしには抵抗する術はありません。衛兵に捕まるとか…さらには聞く耳を持たないセリちゃんの両親から…人の悪意ほど怖いものはありません…」


 後半、小さくなったわたしの呟きに、何か思う所があったのか、話した事は無いけど、かつてのわたしが受けた襲撃を何とは無しに気付いたのか、2人はわたしを非難しなかった。


「…わかったわ。そのセリちゃんって子の両親の様子を調べてみるわ。差し当たっては、その襲撃のあった所へ行ってみるわね」


 エミリさんはわたしの依頼を引き受けてくれると言った。フィオさんも異存は無いみたい。


 わたしはセリちゃんから聞いた話で、セリちゃんが山向こうの街から来た事、峠道で襲われた事を2人に説明した。


 レーン街があって四方に街道。それぞれの街道の先に山があって峠道。レーンの街の周辺には盆地で街以外だと草原と所々に森。基本的に街から出ないわたしにはそれくらいしか分からないけど、エミリさんとフィオさんのふたりは、セリちゃんを見付けた森と峠道。その説明だけで大体の場所を特定出来たみたいだった。


「レーンの街近辺の峠道で盗賊とかが出る場所は大体分かるし、子供の足で辿り着ける距離を考えれば、襲撃場所も予想が付くさ」とはフィオさんの言葉。


 わたしは、再度頭を下げて依頼をお願いすると、


「気にするな」


「シアちゃんの依頼だしね」


 と、わたしの依頼を引き受けてくれた。

次回の投稿は11/7(金)を予定しています。


第22話のエミリの口調を若干変更いたしました。会話内容そのものは変わっておりません。


1/21 サブタイトルの『ょぅじ゛ょ』→『ょぅし゛ょ』に変更いたしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。