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シア薬剤店  作者: レレナ
第1章
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第15話 新人冒険者 -依頼内容変更要請-

評価してくださった方。ブックマークしてくださった方。読んでくださった方。


ありがとうございます!

 冒険者協会ロビーの一角。そこには談話用のコーナーがある。


 冒険者同士のコミュニケーションやパーティを組んでいる冒険者が今後の行動を決めたりするのに使われたりする場所だ。もちろんその他にも、様々な事に利用されている。


「初めまして。冒険者******、アレンです」


 受付のお姉さんに案内されて、この談話スペースに着いたわたしの前には、冒険者の4人組がすでにいて、2人掛けのソファに2人ずつ腰掛け何やら話していた。わたしの到着と共に4人とも立ち上がり、わたしを迎える。


 代表して話しかけてきたのは、4人の中では一番背の高い男の人で、アレンと名乗った。腰には剣を下げているので剣士かな?


 一番背が高いとは言っても、おそらく中学生くらい。他の3人も、似た様なモノで、ずいぶんと年若い冒険者たちだった。


 アレンと名乗った男の人が右手を差し出してくる。


 握手を求めている様なので、とりあえずわたしも右手を差し出すとアレンさんはそのままわたしの手を握り握手をする。


 アレンさんは、そのままわたしの背後に軽く回り、左手で私の背中を押すと、ソファを勧める。1人掛け用のソファだ。


 ここのテーブルに設置されているソファは、1人掛けのソファが2脚と、2人掛けのソファが2脚。それぞれの面に対面同士で設置されている。


 勧められるまま、わたしはソファに腰かけた。


 ふわりとお尻が沈み込む。結構いいソファみたい。わたしの身長だとソファに座ると足が届かないので、足がぷらぷらする。背もたれも遠いので背もたれに背を付けると仰向けに寝そべってるカンジになりそう。それじゃあまりに失礼だと思うから、そのままソファの先っちょに腰掛けるに留めておく。


 ソファも含めて椅子に座るなんてずいぶんと久しぶりだ。わたしの部屋には椅子は無いから、せいぜいベットに腰掛けるくらい。薬売りの露店でも川べりの地べたに直接腰かけるし。


「初めまして。シア。わたし」


 悪い人たちじゃないみたい。とりあえずは初対面のわたしににも礼を尽くしているみたいだったので、わたしも挨拶をする。


 わたしの露店に来る冒険者はガラの悪い人が多く、特にわたしの小さな背格好から、値引きを強要してきたりする人たちが多い。わたしの背格好からいきなり取るに足らない相手と見られなかったのは好印象。何も自分がヒトカドの人物だなんてウヌボレナイけど、初対面のその瞬間に背格好だけで判断されるのはヤだ。


 残りの3人の冒険者が順番にわたしに挨拶をしてくる。


「わたしはエリー。よろしく。****、*******」


 右腰にボウガンを提げた女の人で、白っぽい胸の部分だけの皮の鎧を着ているエリーさん。全体的に軽装で、ボウガンの他には左腰にダガー? を差している程度で、この人は弓使いとか、アーチャーかな? 


「ダニガンだ。よろしく」


 うん。この人は分かる。いわゆる戦士とかそう言った感じの男の人だ。アレンさんほど背は高くないけど、その分、身体つきが大きい。太っているんじゃなくて筋肉質なんだと思う。まあ、中学生くらいの体なので大人と比べて全然まだまだで、ムキムキと言うわけじゃないけど。皮の鎧で身体の多くを覆っている。


「パニエよ。よろしくね。****、*******」


 この女の人は…なんだろう? エリーさんよりも軽装で、鎧は一切着ていなくて丈夫そうな布で出来た旅装。エリーさんと同じく腰にダガー? を指しているだけで他に武器の類を持っていない。ローブも来ていないし、杖も持っていないから魔法使いじゃないと思う。


 一通り自己紹介も終わって一息ついたところでわたしは、彼らに尋ねた。


「案内。ここ。来た。なぜ?」


 そもそも、わたしはなぜ、ここに案内されたのだろうか? この冒険者は何なのだろうか?


「あなたたち。知らない。誰?」


 名前は確かに今自己紹介された。でも、彼らは冒険者という事しか分からない。会った記憶も無い。


「あー…俺たちは冒険者****…」


 うん、それは分かってる。そんな、『俺、冒険者なんだ!』って格好されたら分かるよ。


 アレンさんが頭をかきながら話し始める。


 さっき、わたしに一番最初に話しかけて来た時といい、今も彼が話し始めるという事は、多分アレンさんがこのパーティのリーダーなんだろう。


「俺たちはパーティを******…」


 やっぱりパーティを組んでいるみたいだった。


 だけど…このアレンさん。あんまり話すのが得意じゃないのかな? わたしは言葉が分からないから、自然と口数が少なくなりがちなのは自覚してるけど、アレンさんはわたしと同じくらい口数が多くない。必死にわたしに説明しようとしてるみたいだけど。


「あー、**! わたしが話すわよ!」


 アレンさんの態度に苛立ちを覚えたのか、エリーさんがアレンさんを押しのけ、わたしに話しかけてきた。


「ごめんね。アレン**、話す*苦手****」


 アレンさんは少し、むっとした表情をしたけど、そのままエリーさんに任せるみたい。一歩引いた。


 わたしもきちんと話せているとは思えないけど、多分、受付のお姉さんから、わたしがまともに話せないと聞いていたんだと思う。わたしの言葉には特に気にした様子は無かった。


「わたしたちね、あなたの依頼を受けたい****、薬草の種類が解んなくてさ。一緒に付いて*********」


 なるほど、やくそうの種類が解らないから一緒に付いてきてもらいたいという事らしい。でも、それには問題がある。


「怖い。森。無理。魔物。戦う」


 森には魔物が出る。魔物が出たらわたしじゃどうしようもない。武器も持って無いし、持ってたとしても、魔物に勝てるわけがない。だからこそ冒険者協会に依頼したのだ。


「あ、大丈夫! 森の****、私たちが案内***、魔物****、***********」


「薬草。採る。あなた達。いろいろ。戻る。私。選ぶ」


 どうやら、森の中までわたしを護衛しながら向かってわたしに薬草の区別を行ってもらいたいみたいだけど…わざわざ、わたしが行かなくても、薬草を数種類まとめて持ってきて、あとからわたしが必要な薬草を分別し、手渡せば依頼完了となると思うけど…そう思い、質問を行った。


 わたしの言葉が通じたのか、エリーさんは頭をかきつつ苦笑しながら話した。


「わたしたち**、***薬草*****無***、薬草*****************」


 んーと、これは…分からない言葉が多い。


 分かる言葉と、今までの会話から判断できる事を踏まえると…どれが薬草かすら分からないから、一緒に来てほしいって事…かな?


 森に入るのは魔物がいて怖いから、冒険者協会に依頼したんだけど…わたしが森に入ったら本末転倒じゃないかな…ううん。逆に考えればいいのかな? 護衛が付いて薬草を森の中に採りに行く…こういう形かな? あー…でも、森に入らないで街で待っているだけで薬草を届けてもらえるって事で銅貨10枚も払うわけだし、わたしも森に入って採取するんならお金を払う必要は…ああ、護衛してもらうから払わなくちゃいけない…のかな? こんがらがってきちゃった。


 会話もうまく成立できないし、断ろうかな…


 そう考えたのが分かったのか、どうかは分からないけど、エリーさんがわたしの手を握って言ってきた。


「******話す*。私たちは冒険者****初心者**、******依頼**出来ない**」


 冒険者としては初心者だから、いい仕事を回してもらえないって事かな?


 わたしの依頼みたいな、冒険者としては簡単な依頼も彼らみたいな新人冒険者には重要な仕事なんだと思う。


 うーん…そう来られると困る。冒険者としてのピラミッドの下にいる彼ら。同じく商人のピラミッドの底辺にいるわたしは立場が似ている。


 彼らの足元を見て値下げするのが商人としては正解だと思うけど、彼らはわたしの年恰好を見ても見下さなかった。好印象を与えてくれた彼らには答えてやりたい。でも、彼らとわたしの間には冒険者協会が入っている。勝手な事をするわけにはいかない。こういう団体を敵に回すのはもちろん、目を付けられるのも良くない。


「冒険者協会。良い。許可。出す。その後。行く。大丈夫」


 結局、わたしは冒険者協会に確認を取り、許可が出るなら行く事を伝えた。


 意味が通じたのか、新人冒険者たちはほっとした顔で喜び、わたしを連れて受付へ戻った。


 受付ではあまり話せないわたしの代わりに、エリーさんが対応してくれた。冒険者協会としては特に問題は無いようで、依頼料、手数料共に変わりなく最初に決めた通りでOKだった。

次回の投稿は9/28(日)を予定しております。

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