第12話 意外な売れ行き
短いですが、区切りが良いように切りました。
薬草が切れた。
もちろん薬の材料となる薬草が全部無くなったわけじゃない。薬と言うのは薬効のある薬草や木の根っことかを乾燥させて粉にして、それらを各種混ぜ合わせて作る。そのうち必要な種類の薬草が無くなっちゃった。
私は普段、昼間に薬の露店を開き夕方に店じまい。その日売れた薬の補充として夜に調合するという生活をしている。
多少は作り置きもしているけど、当然、薬には売れる物とあまり売れない物があるので、売れない物はその分作り置きのストックも少ない。
薬にだって使用期限と言う物がある。そりゃあ、半年くらいで悪くなるモノじゃないけど、売れなきゃその分悪くなっちゃう。だからわたしは薬のストックは必要最低限しか作っていない。
ふだん売れない物が思いのほか売れちゃった。
なにぶん、ふだん売れない種類の薬だったので、その薬の材料となる薬草も仕入れていなかった。
売れたのは下痢止め。
下痢止めって…食中毒にでもなっちゃったのかな?
薬を買いに来たのはずいぶんと年若い男の子で身なりから冒険者だと思う。見た感じ15~17歳くらい。でもこの異世界の人たちは日本人と比べてずいぶんと老けて見えるから、おそらくこの男の子も13~15食らいじゃないかと思う。…って事は見た目10歳くらいのわたしは、こっちの人たちから見ればさらに幼く見えてるってこと…? えー…ただでさえ身体がちっちゃくなったのに、さらに幼く見えるって…
話が脱線しちゃったけど、その男の子は下痢止めを私が売っている全部が欲しいと言った。普段は売れなくて、たまに売れた時でも1~2包。それが予備のストック2包、一度に合計4包も売れた事は無かった。
私が言うのもなんだけど、下痢止めはそんなに必要ない。1包あれば十分。そこまで効能は悪くない。
そりゃあ、見た目こんなちっちゃな女の子で、しかも中央広場にも露店を出せない弱小組だけど、初めから効果が悪いと踏んで大量に買われるのは釈然としない。
そう思い、男の子には下痢止めはそんなに必要無いのでは…? と、たどたどしく尋ねた。
でも、どうやら一人で使うわけじゃないみたい。1人で買いに来たけど、どうやらパーティ全員が腹痛みたいで、比較的大丈夫なこの男の子が買いに来たみたい。
それなら…って事で下痢止めを売っちゃったから材料が無くなっちゃった。
下痢止めの薬草はいろいろある。タネウエクサやホタルクサ、ロンセズショウコ、ドラゴンファングなんてモノとか、他にもいろいろある。ただ、タネウエクサは水の豊富な地域ならどこでも生えているけど、ここレーンの街は盆地で結構乾燥しているからこの近辺には無い。ドラゴンファングも名前が凄いけど、ドラゴンの牙の形に似ているからってだけの普通の草。まあ、薬草だけど…これはグリアお婆ちゃんといた街の近辺にはよく生えていたけど、このあたりじゃ見かけない。ロンセズショウコも同じくこのあたりじゃ見かけない。このあたりで自生しているのはホタルクサだけど、あれはわたしがよく行く森の奥にある湖の周辺に自生しているから、森の周辺しか散策しない私には無理っぽい。しかも、あれは花の部分に薬効があるけど、朝に花を咲かせてお昼前には完全に花がしぼむから、なおの事、採集がめんどくさい。
わたしじゃ森の奥に行けないので冒険者協会に頼む事にした。
9/18 12話の最後半「朝に花を咲かせて夕方には花がしぼむから、なおの事、採集がめんどくさい。」 → 「朝に花を咲かせてお昼前には完全に花がしぼむから、なおの事、採集がめんどくさい。」に変更いたしました。
入力ミスでした。申し訳ございません。




