守護の力
⚪︎鳥居小夜視点
「矢木くんっ! 矢木くんってば……っ!」
私は悲壮感を滲ませた声で叫び、慌ててピーちゃんを急加速させ、前方へと飛ばして何とか障壁を張ろうとする。
あんなに無茶はしないでって言ったのに……!
あの犬天狗たちが放つ弓矢が、完全に霊的なものなのか、それとも物理的な実物なのかはまだ分からない。もし実物の鉄や木でできた矢だったら、あんな無防備に箱乗りしている矢木くんの身体なんて一たまりもなく、生きてはいないだろう。
「小夜ちゃん、少し落ち着きや! 前の車には涼も十一さんも乗っとるんやで! きっと何か勝算や策があるはずやろ!」
動揺する私を宥めるように、琴さんが後ろから声をかけてくれる。
確かに、涼さんや十一さんがそんな無謀なことをそのまま見過ごすはずはない。だけど、矢木くんには時々とんでもなく無鉄砲なところがあるし、勝手に自己判断で飛び出した可能性だって十分にあり得るじゃない!?
そうこうしているうちに、朧車の荷台から数え切れないほどの無数の矢が一斉に放たれた。攻撃の矛先が前の車へと集中し、私は思わず恐怖で目を背ける。
しかし、恐る恐る目を開けて確認すると、飛んでいったはずの矢は一本も車体に届くことなく、まるで目に見えない壁に弾かれたようにパラパラと道路の上へと散乱していた。
「嘘……すごい。いったい、どうやって防いだの……?」
私は信じられないものを見る目で、呆然とそう呟くしかなかった。あんな物凄い量の矢をノータイムで無力化するなんて。私一人ではとても捌き切る自信がない。
「ほら、言ったやろ。ちゃんと何かしらの策があるって。まあ、あの一瞬で何が起こったのかまでは遠くて見えんかったけどな」
琴さんは胸を撫で下ろしながら、私を安心させるようにそう笑ってみせるのだった。




