↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(株)幽玄堂出版社の副業DAYS ~あなたの未練、私たちが叶えます。成仏エネルギーも回収します~  作者: 三海 古風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
61/96

着物の少女と妖

⚪︎宮板琴視点

「私の名前は、菊と申します」


 着物の少女は、楚々とした仕草で自身の名を名乗った。


「これはご丁寧に。私は『幽玄堂』社員の宮板琴ともうします」


 自己紹介を受け、私も丁寧に頭を下げてお辞儀を返す。名刺を出すべきか一瞬迷ったが、これだけ古風で綺麗な着物を着ているお方だ。そんな現代の文化なんて馴染みがないかもしれないな、と思い留まる。


「あの……失礼ですが、今日は、お一人で来られたのですか?」


 突然、小夜ちゃんがどこか険しい表情を浮かべながら尋ねた。


「え、ええ。一人で参りましたけれど……」


「小夜ちゃん、いくらなんでも初対面からそんな聞き方は失礼やで」


 私は慌てて小夜ちゃんの袖を引っ張り、耳打ちする。


「では――あなた、命を狙われている覚えはありますか?」


 その直截的な質問に、菊と名乗った少女はハッと息を呑んだ。


「まさか……私、つけられているのですか!?」


 彼女が怯えたように声を震わせた、その瞬間だった。

 少女の言葉が終わるのを待っていたかのように、小夜ちゃんが素早く両手を広げ、二羽の式神を現し出させた。ここまで緊迫した空気に包まれて、私もようやく事態を飲み込む。どうやら、もの凄く厄介な連中がこの子を追ってきたらしい。

 私は霊気が漂う方向――ビルの上空へと、慌てて視線を向けた。

 そこには、異様な羽音を響かせながら、無数の妖怪が空から飛来してきているところだった。漆黒の羽を持つそれは、小夜ちゃんの式神と同じ濡れ羽色の烏――だが、人間のような手足が生えており、その手には頑丈そうな棍がしっかりと握られている。俗に言う『烏天狗』の群れだ。

 頭上に広がるおぞましい光景に気づき、菊さんは恐怖で青ざめ、その場にすくみ上がってしまう。


「すみません……っ、私、やっぱりつけられていたんですね……!」


「琴さん、菊さんを社内へ避難させてください! ここは私が引き受けます!」


 小夜ちゃんがキリッとした凛々しい声で指示を飛ばすと同時に、金鵄のピーちゃんが眩い黄金色の障壁を展開し、上空から降り注ぐ無数の鋭い羽の雨を完璧に防ぎ止めた。


「頼むで小夜ちゃん、すぐみんなを呼んでくるからな!」


 私は一瞬の躊躇もなく菊さんの手を取り、社内へと引っ張り込むように走り出すのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。