大人の恋愛?
⚪︎矢木剛斗視点
「ほらほら、恋バナもいいけど。仕事だ仕事!!」
ジョーさんがパンパンッと手を叩き、場を引き締めにかかる。
流石は編集長だ。締めるところはしっかり締めるらしい。
「ジョーさん逃さへんで。こうなりゃ道連れや!」
琴さんが恨めしそうに声を上げる。
「こんな時だけ真面目ぶらないでください」
涼さんも眼鏡のブリッジを押し上げながら冷ややかに追撃した。
「……めんどくせぇな」
心底面倒くさそうに吐き捨てるジョーさん。
「俺の理想は映子だ。開発のサポートもしてくれるしな。……愛してる」
「えっ、マジで!? これってプロポーズなのか!?」
俺が思わず叫ぶと、映子さんが可憐に微笑んだ。
「まあ、うれしいわ!! 私の理想もジョーさんなの。二人で愛を育みましょう」
映子さんはかなり大袈裟な仕草でプロポーズを受けた。……が、言った直後にクスクスと楽しそうに笑っている。
「さぁ、そういうわけだ。とっとと仕事に戻れ」
さっきまでの茶番劇はどこへやら、ジョーさんは急に素のトーンへ戻った。
「またそうやって誤魔化す……」
琴さんが呆れたように呟く。
「そんなもん、惚れた女がタイプに決まっているだろ」
「そうよねぇ。私を愛してくれる奇特な人がいればその人がタイプね。……まあ、いないとは思うけれど」
ジョーさんがさらりと言ってのけ、映子さんは苦笑いを浮かべた。
おお、何だか大人な回答が出たぞ。
だがその隣では、まだ十一さんと鈴々莉さんが言い争いを続けていた。
「そんなこと言って! どうせ十一も男なんだからムッツリなんでしょ! やーい、ムッツリスケベ!」
「そんなわけなかろう! 第一、そういうのは日影の方が強いだろうが!」
「映子さんがそんなわけないでしょ!?」
「あいつのBL好きは相当だぞ!」
「T!! T!! あー、急にBLTサンドイッチが食べたくなったなー! 私、大好物なのー!」
突然、大声で謎のサンドイッチアピールを始める映子さん。思いっきりキョドりまくっている。視線は泳ぎ、顔は耳まで真っ赤だ。
「十一さん、それはないわー」
「映子さんがそんなわけないじゃないですか!!」
「映子さんの容姿から想像したの!? 最低!」
女子三人から一斉に詰め寄られる十一さん。そして、三人はかばうように映子さんを見つめた。
「そんな純粋な目で私を見ないで!!」
耐えきれなくなった映子さんは顔を覆い、そのままデスクに突っ伏してしまうのだった。




