総力戦の果てに
⚪︎矢木剛斗視点
鳥居と二人で並び立ち、群がる骸骨どもを次々と蹴散らしていく。しかし、奥に鎮座する雷喰いへ目を向けると、奴は再び巨大な口の中に激しい雷光を滾らせ始めていた。しかもその死の視線は、どう見ても俺一人を明確に捉えている。
「鳥居! 俺が囮になる!」
「だから無茶しないでってば!!」
鳥居の必死の忠告を完全にガン無視し、俺は雷喰いの目の前へと躍り出てその視線を一身に集中させた。やがて、極大の一撃を放つため、奴が振りかぶるように巨大な顎を持ち上げる。
「来いよ!! そんな電撃、いくらでも避けるし、受け止めてやるよ!!」
言葉が通じているかは分からないが、精一杯の挑発を叩きつける。緊張で固くなった喉で、ゴクリと生唾を飲み込んだ。
……だが、次の瞬間だった。
「素人をわざわざ狙うとは、随分と余裕だな。舐められたものだ」
いつの間にか呪いから解き放たれていた十一さんが躍進し、雷喰いの真下からその巨大な顎を鋭い槍で貫き上げた。
「退魔師の王子様はな、白馬やなくて矢印に乗ってくるんやで!! 覚えとき!!」
琴さんが渾身の叫びとともに上空から迫り、雷喰いの頭頂部へ強烈な踵落としを叩き込む。その衝撃で、十一さんの槍が頭蓋骨の奥深くまで完全に貫通した。口内に溜め込まれていた雷撃が行き場を失い、行き場のない放電がバチバチと敵の体内で狂暴に暴れ回る。
そこへ、背後から凄まじい風切り音が響いた。何発もの銀の銃弾と、墨で描かれた凶悪な回転ノコギリの刃が飛来し、雷喰いの巨体を容赦なく引き裂いていく。
「矢木!! よくやった!! 俺の目に狂いはなかったな!」
「矢木っち!! 超大活躍じゃん!!」
聖水で呪いを打ち払ったジョーさんと鈴々莉さんも、無事に前線へ合流を果たしていた。
「矢木くん、本当にありがとう。あなたがいてくれなかったら、私たちは全滅していたわ」
鳥居が二羽の霊鳥に掴まり、宙へ舞い上がる。二羽分の推進力を全身に乗せて急降下すると、雷喰いの眉間へ向けて、渾身の力で棍の一突きを叩き込んだ。
――ガァンッ!!
澄んだ打撃音が響き渡る。
眉間から入った亀裂が、雷喰いの巨大な頭蓋骨、そして全身の骨へと一瞬で蜘蛛の巣のように広がっていく。
やがて限界を迎えた雷喰いの巨体は、激しい音を立ててパラパラと灰のように崩れ落ちていくのだった。




