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(株)幽玄堂出版社の副業DAYS ~あなたの未練、私たちが叶えます。成仏エネルギーも回収します~  作者: 三海 古風


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絶対に二度と……やるな、俺

⚪︎矢木剛斗

 「野球部の根性を舐めんじゃねええええっ!!」


 俺は叫び声を上げながら、夢中で手にした剣を振り回した。迫りくる骸骨どもの硬い骨をガムシャラにぶった斬り、力任せに打ち払っていく。

 ……とは威勢よく言ってみたものの、さっき食らった雷撃の直撃は、ぶっちゃけ本気で死を覚悟するレベルでヤバかった。

 鳥居が狙われたのを見た瞬間、完全に体が勝手に動いていた。条件反射で彼女との間へ飛び込んだはいいが、もし直前に映子さんから渡されたあの不気味な銀色の防護プレートを服の中に叩き込んでいなかったら……今頃俺は、黒こげの肉片になって床に転がっていたはずだ。


(もう二度とあんな命知らずな危険な真似なんかするか……! 絶対に嫌だぞ、俺はまだ高校生なんだからな!)


 心の中でそう固く、強く誓う。

 ……だが、胸の奥でふと考えてしまうのだ。もしまた同じような局面になって、鳥居や他の誰かが目の前で殺されそうになっていたら、俺はどうする?


(……ああ畜生、絶対また同じことやっちゃうな、俺)


 己の損な性分に思わず溜め息が出そうになる。

 あーあ。それにしても体が痛い。衝撃自体は殺せたとはいえ、完全にノーダメージというわけにはいかなかった。息を吸うたびに胸のあたりに激痛が走る。たぶんこれ、肋骨の何本かが折れるかヒビ入ったりしてるんじゃないだろうか。

 痛む体に鞭打ち、必死の思いでガムシャラに剣を振り続けていると、不意に視界を覆っていた骨の群れが吹き飛んだ。


「矢木くん!!」


 凛とした声とともに、鳥居が駆けつけてくれたのだ。

 彼女の指示に合わせて八咫烏のクーちゃんが空を舞い、鋭い羽を弾丸のように撒き散らして骸骨どもの身体を刻んでいく。その隙を逃さず、鳥居自身も手に握った棍を疾風のように振るい、硬い頭蓋骨を木端微塵に粉砕していく。その無駄のない洗練された動きは、まさに戦う退魔師そのものだった。


「ピーちゃん、お願い!!」


 周囲の雑魚を一掃した鳥居が叫ぶと、今度は彼女の頭上にまばゆい金色の光を纏った美しい鳥が現れた。鳥居が何か古代の呪文のようなものを滑らかに唱えると、その金色の鳥はさらに強く輝き、温かな光の粒子となって俺の全身を優しく包み込んでいく。


「おおっ……!? すげえ、痛みが引き去っていく……!?」


 思わず自分の身体を見下ろした。服の破れ目から見えていた血の出ている擦り傷が目に見える速さで塞がり、さっきまで息をするのも苦しかった胸の激痛が、嘘みたいにスーッと消え去っていく。骨の軋みすら完璧に治っていた。


「鳥居、サンキュー! 助かったよ!」


 激痛と死の恐怖から解放された安心感から、俺は最高の満面の笑顔を浮かべて礼を言った。


「馬鹿!! もう二度と、あんな無茶しないで!!」


 いきなり大声で怒鳴られた。

 驚いて目を丸くすると、言った当人の鳥居自身もハッとしたように口元を押さえ、気まずそうに目を泳がせている。


「……ごめん。急な出来事が重なりすぎて、私、感情が追いついてなくて……」


 鳥居は少し頬をポッと赤らめながら、俺の目をまっすぐに見つめ直してくれた。


「……私のために体を張ってくれて、本当にありがとう。助かったわ、矢木くん」


 小さく、けれど心の底からの感謝を込めて、彼女は改めて深くお礼を言ってくるのだった。

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