雷喰い
⚪︎鳥居小夜視点
私たちの攻撃により、輪入道は徐々にその数を減らしていく。激しく燃え盛る炎の音も、高速で回転する車輪の不気味な咆哮も、次第に小さくなっていった。
パチン。
その時、耳の奥をかすめるような微かな音が響いた。音の正体を確かめるため、私はクーちゃんにしがみつき、さらに前線へと進む。
「鳥居、これは……」
見下ろした光景に、私は思わず眉をひそめた。そこにいたのは、2メートルほどもある巨大な骸骨だ。骸骨は私たちに背を向けたまま、ボイラーから伸びる電線を強引に引きちぎり、そこから漏れ出す電気を夢中で貪り喰っている。顔の周りでバチバチと激しい火花が散り、電撃が跳ねているというのに、本人は全く気にする様子がない。
「雷喰い!! 雷の代わりに電気を補充してるの!?」
決して有名な妖怪ではない。私とて、家に代々伝わる古い書物から知識を得ていただけの存在だ。見た目はガシャ髑髏に近い大きな骨の姿をしている。本来は雷雨の時にのみ現れ、雷を喰らっては人を襲うという凶悪な怪異だ。自身の骨から数体の分身を生み出すことができ、雷を補充すれば損消した骨すらも瞬時に再生させてしまう。おまけに相応の知性まで持ち合わせている、極めて厄介な相手だった。
やがて、雷喰いがギチギチと音を立ててゆっくりとこちらを振り向く。構内には絶え間なく電気の弾ける音が重々しく響き渡っていた。
だが、その眼光が狙っているのは私ではない。あさっての方向……視線の先にあるのは、扉の方向の壁だ。
まずい、あの壁のすぐ後ろには矢木くんたちがいる……!
「ピーちゃんお願い!!」
私は即座に金鵄のピーちゃんへ、最大級の障壁を張るよう指示を飛ばした。お願い、間に合って……!
「涼さん、映子さん!!」
声の限りに叫ぶ。瞬時に状況を察してくれることを祈るしかなかった。
直後、雷喰いが電気の光線を放つ。一瞬だけ障壁で受け止めたものの、それはすぐに貫通されてしまうのだった。




