前衛と後衛、それぞれの役割
⚪︎ジョー視点
輪入道の群れ、か。正直ボイラー室を動かしている真意が少しばかり気になるが、十一の言う通り、まずは仕掛けて状況を動かしてみるしかあるまい。
「よし、仕掛けてみるか。まずは俺と鈴々莉で遠距離から攻撃を叩き込む。十一、琴、小夜はその直後に突っ込んでくれ。危ないと思ったら無理せずすぐに引いていい」
「了解っス! バチッとカマしてやるよ!」と鈴々莉が筆を構え、「よかろう。隙を見て一気に突く」と十一が水の槍を握り直す。
「任せてください、サポートします!」と小夜が愛用の棍をしっかりと握り直し、「了解や! うちも上手いこと立ち回るわ」と琴が応じた。
「映子と涼はここで待機。さっきの件もある、矢木のそばについて周囲に備えてくれ」
「了解です。カメラで周囲の警戒を続けておきますね」と映子が画面を見つめたまま頷く。
「承知いたしました。……あ、そう言えば編集長」
涼が柔らかな笑みを浮かべたまま、ポケットから小さく砕けた骨片を取り出した。
「さっき撃破した骸骨のうち3体ほど、あらかじめ『骨』を抜いておきました。前線の囮や補給用にお役立てください」
涼がサラリと呪文を呟くと、床の影からカタカタと顎を鳴らす3体の骸骨兵が具現化した。
……相変わらず手際が良いというか、ちゃっかりしているというか。
「あ、あの……俺は何をすればいいですか!?」
「お前はここで待機だ。さすがに無理はさせられんよ」
さっき十一から蛍光灯の剣を手渡されたようだが、実戦経験の全くない素人を最前線へ放り出すわけにはいかない。度胸や状況への順応力は見事なものだが、危険な怪異との戦闘はまた別の話だ。
「よし、各自持ち場についてくれ!」
俺の合図で前線組が扉の左右に素早く張り付く。俺と鈴々莉は重い扉の正面に立つ。俺は懐の聖水の瓶を掴み、鈴々莉は先制攻撃の術式を静かに描き上げるのだった。




