関西弁イタコと鎌鼬の脚技
⚪︎宮板琴視点
私の名前は宮板琴や。
幽玄堂で取材担当者をやってる。
幽玄堂に入った理由は単純明快、なんかすんごく面白そうだったからやな。
このオカルト業界っちゅーのは意外と狭くてな、今ここにいる連中も幽玄堂に入社する前にどこかで見かけた顔ばっかりなんよ。
ある日、あのジョーさんが何やら革新的な新技術を開発したって噂を聞きつけてな、即面接に突撃したらその場で即採用や。
流石ジョーさん、能力を聞く前に採用を決めるなんて人を見る目があるわ。
……って思っとったんやけどな。
実際のところ、私のイタコの能力は「死者や霊体と会話できる」っちゅーことで重宝されとる。
……えっ? イタコって青森の恐山が有名なのになんで関西弁なんやって?
細かいことは気にせんでええの!
「あっちゃー、矢木くんまさかの素人かいな!?」
思わず苦笑いが漏れる。ジョーさんが私の能力を聞く前に採用してくれたから、てっきり目利きで隠れた力を見抜くタイプなんと思ってたら、ただ単に大ざっぱなだけかい! ちょっとショックやわ。
……まあ、落ち込んでる暇はないな。
私は素早く印を組み、呪文を唱える。すると私のすぐ脇に、いかつい姿をした年老いた鎌鼬が姿を現した。
「鎌爺、ちょっと力を貸してくれへん?」
『またワシかいな。人使い……いや、妖怪使いが荒いのう』
「頼むわ。やっぱり鎌爺の足が一番速いねん。今はちっとばかし緊急事態やし」
『仕方ないのう。後でとびきり美味い酒でも飲ませいよ』
「任せとき!」
鎌爺の承諾を得た瞬間、再び印を結ぶ。鎌爺の姿がスーッと消え、私の身体の中へと滑り込んでくる——降霊完了や。ダメージジーンズの足元を中心に一風の旋風が巻き起こり、私の両足の側面が鋭利な刃の如き霊気を纏っていく。
イタコの本質は霊を自身に宿すこと。私の術は人間に限らず、動物や怪異、妖怪の類すらも身体に憑依させ、その能力をそのまま自分の力として扱えるんよ。
「さて、準備完了や! 琴ちゃんの足は長くて威力抜群やでー!」
骸骨どもが理解できるはずもないが、威勢よく口が動く。そのまま近くの骸骨へ鋭いハイキックを一閃。足元を纏う旋風の刃で真っ二つに叩き斬る。軸足を下ろした勢いのまま、反動を利用して華麗な後ろ回し蹴り。さらには風の跳躍力を活かして高く舞い上がり、高い打点からダイナミックな飛び蹴りを叩き込む!
矢木くんに群がろうとする骨どもを片っ端から薙ぎ倒していく。
「矢木くんモテモテやん! 人生に数回訪れるっていう『モテ期』ってやつちゃうか!?」
「俺のモテ期をこれで消費しないでください!!」
悲鳴混じりの絶叫を返す矢木くんにニヤリと笑ってしまう。ええ反応するやん。これは面白い新人が入ってきたわ……いや、さすがに本物の素人さんなら無事に連れて帰ってあげんとあかんな。
そうこうしているうちに映子さんの囮が発動し、骸骨たちの動きが一変した。ターゲットを見失ってウロウロと迷い始めている。
「映子さん、おおきにー!」
格段に戦いやすくなったフィールドで、私は映子さんに感謝の声を張り上げるのだった。




