目的地に到着!!
⚪︎矢木剛斗視点
俺と鳥居を巡る一騒動がどうにか収まり、俺たちは再び目的地に向けて車を走らせていた。俺も隣に座る鳥居も、未だに顔が火照って真っ赤なままだ。
車内の全員がすでに戦闘用の衣装に着替えを済ませている。激しさを増す雨の中、車は水飛沫を跳ね上げながら、険しい山道を突き進んでいった。
「しかし、矢木くんも小夜ちゃんも良かったなぁ。『雨降って地固まる』やな。まあ、雨はちっともやんでへんけど」
助手席からニヨニヨと意地悪な笑みを浮かべて、琴さんが振り返ってくる。俺と鳥居はお互いに視線を交わした瞬間、居心地悪そうに揃って俯くしかなかった。
「宮板、そこまでにしろ。これから挑む依頼に集中するぞ」
「そうですね。今は二人のためにも、全員で無事に帰ることを考えましょう」
見かねた十一さんと涼さんが、すかさず助け舟を出してくれる。二人から窘められた琴さんは、「ちぇー」とばかりにつまらなさそうな顔で前を向いた。
「もう琴さん、そうやって意地悪ばかりしてると、自分の番になったときに反撃されるよ?」
後部座席から鈴々莉さんが苦笑交じりに釘を刺すと、琴さんは「ないない」とひらひら手を振って受け流すのだった。
「涼ちゃん、目的地まではもう少しですか?」
「そうですね……あ、見えてきました」
涼さんの問いかけに、菊ちゃんがフロントガラス越しに指を指す。
だが、その指し示す先には目印になるような建物も看板もなく、涼さんは道路の端へと静かに車を停めた。山の方へ目を凝らしてみると、木々の隙間にうっすらと途切れ途切れの獣道が続いているのが見えた。
「ここです。この奥の方に壊された守り石がありました。そこに、弥一さんはいるはずです」
菊ちゃんが祈るような、どこか心配そうな声で呟く。
その直後――背筋を冷たい手で撫で上げられたような、酷い悪寒が走った。周囲を見渡すと、皆の表情も一瞬で険しく引き締まっている。
「……やっぱり、何かやばいのが潜んでるんすかね」
「間違いなさそうだな」
十一さんが重々しく肯定し、俺たちは一斉に車を降りた。
追いついてきたもう一台の車からも、ジョーさんと映子さんが降りてくる。
「さてと……みんな、準備はいいか?」
ジョーさんの静かな問いかけに、全員が深く頷く。
俺たちは武器を手に取り、緊迫した空気の漂う山道へと足を踏み入れるのだった。




