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(株)幽玄堂出版社の副業DAYS ~あなたの未練、私たちが叶えます。成仏エネルギーも回収します~  作者: 三海 古風


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やっちまった

⚪︎矢木剛斗視点

 まさに文字通り、死の淵から何とか生還する。その後、女性陣はびしょ濡れになった服を着替えるために、それぞれの車内へと引っ込んでいった。


「いてて……十一さん、さっきのはさすがにないっすよ」


 ガンガンと痛む頭と腹を両手でさすりながら、俺は十一さんに恨み節をこぼす。


「自業自得だ。正直、お前のそのデリカシーのなさには見損なったぞ」


「そこまで言う事はないじゃないすか……俺だってわざと言ったわけじゃ……」


 十一さんはあきれ返ったような、冷徹を通り越して憐れむような視線をこちらに向けてくる。


「まあ、確かに映子は普段あんな調子だけど、素顔は美人だしスタイルもいいからな。だが、それをそのまま小夜と比べるような真似をするのはまずいだろ。さっき小夜、めちゃくちゃ傷ついた表情をして車に入っていったぞ」


 ジョーさんはふうっと煙草の煙をくゆらせながら、呆れたようにそう指摘した。


「へっ……? いやいや、俺そんなこと言ってませんよ!?」


 その俺の言葉に、今度はジョーさん、十一さん、そして少し離れたところで聞いていた涼さんの三人が、一斉にきょとんと目を丸くした。


「だって、映子さんと比べたら、小夜さんは大したことない、みたいなニュアンスだったじゃないですか」


「いやいや、そんな失礼なこと言うはずないじゃないですか! 映子さんが普段あんなふうに平気で服を脱いだりするから、みんな見慣れてて免疫ができてるだけで、鳥居の下着の件もみんな別に気に留めてないんだなって、そう言いたかったんです!」


 俺の必死の弁明に、三人は揃って深く長い溜息をつく。


「お前な……。どう言い訳したって、端から聞いてりゃ『映子が美人でスタイル抜群だから、小夜のことなんか誰も気にしない』って聞こえてたぞ」


 ジョーさんはやれやれといった様子で天を仰いだ。


「いやいやいや、そんな最低な意味で言ったわけじゃ……思ってもいませんよ!!」


 俺は思わず語気を強めて否定する。


「本心の是非はともかく、周囲にはそう聞こえたんだ。お前は少し、自分の国語の読解力や発言力を一から勉強し直してこい」


 十一さんにビシッと叱られるが、今の俺にはその言葉もまともに頭に入ってこない。

 理由が分かれば、みんながここまで怒るのも無理はない。振り返れば自分でも自分の発言に腹が立つ。


「だって、鳥居は普通に可愛いじゃないですか……! 性格だっていいし。そりゃあ映子さんと比べれば体型はあれだけど……でも鳥居だって十分スタイルいいし、映子さんにだって全然負けてないですよ! 俺は、そう思ってるんですから……っ!」


 ――しまった。


 言ってから自分の顔が一気に熱を帯びるのが分かった。

 とにかく、俺があんな不注意な発言をしたせいで、鳥居を深く傷つけてしまったのは事実だ。ちゃんと謝らなくてはならない。

 俺は決意を込めると、その場でバッと踵を返した。


「矢木くん、少し待って。今のまま直球で突撃しても、きっと今の小夜さんは怒りで聞く耳を持ってくれないと思いますよ」


 慌てて走り出そうとした俺の背中に、涼さんの冷静な声がかかる。彼女は手元のスマホを何やら素早く操作していた。


「琴さんに連絡を入れて、矢木くんの発言が単なる言い間違いだったってことを、あらかじめ伝えておいてもらいましょう」


 涼さんが画面をタップして送信ボタンを押す。そして、そっと俺の背中を押してくれた。


「……ありがとうございます、涼さん!」


 俺は息を整えると、傷ついた鳥居にしっかりと謝罪するため、彼女の待つ車へと行くのだった。

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