第8話:能無しは要りません
「あんたも名前はないよね?能無しでいいか。ノウナシの人事権って誰にあるの?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。解任とは…?」
これまで冷静だったダイチが焦っている。
「言葉の通りだよ。クビ。
部下が犯したミスを謝罪することもなく、現在の方法で起きた手違いによる被害者が目の前にいるにも関わらず、自分とこれまでのやり方が正しいと主張している。
その上、そいつは人間を見下している。自分は人間由来で発生した神々の眷属だと言うのに。
人間が滅びるまでの、行きすぎた文明の発展や技術も、ろくに見たこともないんだろう。
自分は何もせず、これまでのやり方を踏襲してきただけ。
それは怠惰ですらない。ただの怠慢だ。
その怠慢のせいで、規律と秩序の眷属だというのに、不具合を出しているじゃないか。
私は無実なのに極刑、怠惰の神も、本来はすぐ後任が必要だったのに今まで不在が続いてたんでしょ?
自分の役割を全く果たしていない。
こいつの存在価値あるの?」
誰も何も言わなかった。
ただ、ノウナシだけが何度も口を開いて何か言おうとしては閉じていた。
冷たい風が吹き抜けていく。
沈黙を破ったのはエンだった。
「悪いが、俺たちだけでは手に負える話ではなくなってきた。それぞれの神々をここに招き、判断を仰ぎたい」
「その方が話が早いならそうしよう」
そう言うと、まずエンが腕を上げ、空に向かって火の玉を上げた。
ぉおおお!!ファイアーボールってやつでは!?
感心していると、地面が揺れた。ダイチが両手を地面につけているので、彼の技だろう。
すごいすごいっ!!
フウは何を!?と見てみると、手のひらに花びらを乗せフッと吹くと、竜巻に花びらが舞い上がって行った。
美しい!!さすが美しい!!
スイは!?やっぱり空に向かってウォータージェットか!?
勢いよく彼の方を振り返ると、水辺まで歩いて行き、水面を手でパシャパシャしていた。
えっ…地味……
「か…神様はそれで気づくの…?」
聞かずにはいられなかった。
「え?あ、はい。超音波で信号を送りました」
何気にすごいことしてた。よかった。1人だけ魚みたいに呼び出される神じゃなくて。
そうだよね、空にウォータージェットしたって、水の神には伝わらないよね。なんかごめん。
即座に、炎が上がり、地震が起き、突風が吹き、高波が起きた。
もはや天変地異である。神々のご到着だ。
あれ?ってことは神は転移が使えるのか?いや、今はそんなことよりも!
私は4柱にご挨拶をしようとしたが、彼らはすぐ4眷属に連れて行かれてしまった。
少し離れたところから、驚きと困惑した顔を時より浮かべ、こちらをチラチラ見ながら話している。
所在なかったが、ノウナシとは会話する気にならず、神々を観察した。
どうやら初期からいるというこの4柱は、自分の分身のように眷属を作ったようだ。
炎の神とエンの違いは、古代哲学者の服の上にさらに何か高級そうな布を巻いているかどうか。
水の神とスイは髪型が違った。
神の方はゆるい三つ編みではなく、ストレートな前下がりボブ。
服装や髪型等の若干の違いでしか見分けがつかない。
でも、そっくりな美形の双子からしか得られない栄養って、あるよね。
それが4ペアも———
なんということでしょう。
「相変わらずオタクなのね。そんなんだと天界でも番が見つからないよ?」
「ぅぐっ…」
脳内に響くムーンの言葉がクリーンヒットした。
あぁたぬきよ、なぐさめておくれ…
へそ天状態のたぬきのおなかに、私は身体ごとうずめて盛大に吸った。お日様のかほり…
そんなこんなしている間に、話し合いは終わったようで、背後からスイに声をかけられた。
「あのー吸い終えたら、こちらへ…」
猫吸いに終わりなどないとスイに後で教えねばなるまい。神様たち、この眷属4人くらい話しやすいといいなぁ…
読んでくださりありがとうございます!
かく言う私も双子から得られない栄養素が好物です。
もし『ここが好き』『この場面笑った』みたいなのがあれば教えてください!
ブックマークしておくと更新通知が届くので、続きが気になってくれた方はぜひ。




