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人生ってこんなもん?他人事な百年終えたら、最強神だったと判明しました〜お疲れ元人間はかつて愛したもふもふと怠惰を謳歌したい〜  作者: 瑠璃玉ねむ
【第5章】領地運営始めました

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第69話:守銭奴の恐怖

 ハクちゃんは、私が人間だった頃の一番暗い時期の影響を受けてしまった。

 申し訳なさ半分、お小遣い増やしてくれという気持ち半分…複雑だ。

 

 人間だった頃、新卒で入った会社がブラックかどうかなんか分からなかった。


 昼休みも昼食は自席。若手は固定電話が鳴ったら取らなければならない。何より昼休みなど取っていたら仕事も終わらない。

 固定電話は音が鳴るよりも早く、光ったら取ると言うゼロコールで対応、発注書はメールではなく、当時すでに古代文明とすら思えたFAX送信。

 計算ソフトに数式を入れようものなら、間違って消しちゃったらお前の他に直せないじゃないかと、計算機を叩かされた。

 日付が変わる前に家に着けば、今日はなんと早帰りできたことかと歓喜した。


 残業が100時間なんて当たり前、それでもみなし残業代と言うよく分からない制度で、手取りは15万くらいしかなかった。


 残業するくらい、たくさん、大きな仕事を任されているなんて、むしろ感謝すべきだと人事は言っていた。


 飲み会には、タダ飯を食べに参加した。よく食べ、酒もガンガン飲める若い女は偉いおじさんたちのウケは良かった。反比例して職場に味方はいなくなった。


 そんな生活をしているうちに、身体も頭も壊れた。医者には休職しろと言われ、そのまま治らず退職した。


 唯一良くしてくれた先輩からは、「他の人からは『バックれた』と会社で非難されているが、気にするな」と知らされた。


 もう、私は働けないのかもしれない、実家には帰りたくない、帰れない、どうやってお金を稼ごう、どうやって生きていこう…


 そうまで悩んで生きて行く意味はあるのだろうか…


 そんなことばかり考えていた記憶が、かわいいかわいいハクちゃんに影響している。

 あの子はどれだけ稼げたら安心してくれるだろう…


 そんなことを考えながら、ハンモックに揺られていると、ムーンがやってきた。

 「うだうだ考えてないでとっとと動く!」


 「ぅぎゃっ!」

 ビタンッ!


 猫パンチでハンモックをグルンっと回されて地面に落とされた。


 私にだって感傷に浸りたい時くらいありますよ?


 内心反論するも、神獣たちには筒抜けだ。


 「凪はそうやって、なんやかんや悩んでいる体裁で自分自身を誤魔化してギリギリまで先送りする癖があるでしょ!

 夏休みの宿題だっていつも『夏休みは学生の特権、今しか楽しめないんだから』とか言って最終日に痛い目を見てたでしょ!

 もはや枯れたホウセンカズラの観察日記なんかもうファンタジーだったじゃない。

 気になることがあるならとっととやる!」


 ぐっ…


 何も言い返せない…



 しょうがない…まずは秋エリアのトイレ事情というか衛生面に取り掛かるか…

 

 というか秋エリアの住民ってそもそもどんな生活水準なんだろ…ちゃんと生きていけているのだろうか。

 もう直ぐ居住エリアは冬を迎えるはずだ。まずは視察かなぁ…


 フクくんは今人間界のダミー会社設立の処理で忙しい。シャフくんは連日戦の神にしごかれている。

 とりあえずドンと咲さん、マイヤー一家の女性陣と男性陣数人でも連れて行くか。

 視察には色々な目線があったほうがいい。


 日程を合わせ、秋の居住エリアに初めて訪れた私たちは絶句した。



 ほぼ…スラム街ではないか…


 美しい木の柱、漆喰の壁の家が建ち並んでいたであろうに、壁はひび割れたり崩れかけの建物、足元の石畳もあちこち割れてボコボコだ。


 職もなく、タルやその辺の木箱にただ座り込む獣人、人間たち。みんな痩せている…

 

 商業エリアの人間たちはあんなにイキイキしていたのに、どうなってる…?



 座り込む人に、尋ねる。

 「あの…どうして皆さんこんな生活を…?エリアの偉い人ってどこにいます?」


 「あぁ神様ですか。———そんな人がいたら…こんなことになってないですよ」


 え?誰も仕切る人、いないの?村長というかエリア長的な人、いないの?


 どうしよう…この人にだけ何か食べ物やお金を与えるわけにもいかないし…

 とりあえずその場から私たちは離れた。




 「さささ咲さん!?これ知ってた!?どうなってんの!?」


 「いえ!?知りません!?

 そもそも各エリアの居住エリアは各季節エリアの2番手の神が仕切ってるって御神木様のところで仕事してた時に聞きましたよ!?」


 秋エリアの2番手…まだ会ったことないけど好奇心の神かー!!

 だめだ、会ったことがなくてもわかる。好奇心の赴くままにほっぽり出したな…


 「マイヤー一家の皆さまはどう思います…?冬エリアもこんな感じ…?」


 そう聞くと、奥さんが答えてくれた。

 「いえ、あそこは家がないと凍死しますので、流石にもっとちゃんとしていました…仕切っていたのも愛の神様でしたし…」


 そりゃさぞ愛情深く面倒を見てくれることでしょう!


 「男性陣はいかがです…?」

 長男が答えてくれた。

 「僕たちは木工で稼いでいましたが、雪かきなどの短期的な日雇いもあったので、食いっぱぐれることはなかったですね…

 冬エリアの友人の話だと、最近は双子の神の温泉のお湯を沸かす仕事や、あと呪いの神の指揮で何かよく分からない加工食品の研究や工場の仕事などもあるそうで…」


 ま、まずい…これはまずい…格差があり過ぎる…



 好奇心の神、ヤツを捕獲が最優先だ




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