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人生ってこんなもん?他人事な百年終えたら、最強神だったと判明しました〜お疲れ元人間はかつて愛したもふもふと怠惰を謳歌したい〜  作者: 瑠璃玉ねむ
【第4章】次々と現る神々

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第52話:怠惰の神、限界


「おーい!やっほー!!」


戦の神がやってきた。


え?もう1週間経った?


普段私が外でだらだらするときに使っているハンモックを占領されてしまっている。


「シャ、シャフくん、なんか1個でもできてない…?」


「と、とりあえず将棋はできてるっす」


 私は軽く将棋の駒とルールを説明して、タブレットを渡した。


 「こりゃチェスも急いだ方がよさそうだね。巻いて作ってくれたまえ」


 「いや、でもしばらくはあの難易度の相手には将棋勝てないっすよ」


 ほう?戦が起きるかどうかは君の肩にかかっているからね、と重すぎるプレッシャーをかけておいた。

 シャフくんの言う通り、すっかりハマりはしたものの勝てないまま夜までプレイしてまた来ると言って帰って行った。


 特に私自身に干渉されるわけでもなく、無事帰ってくれて良かった…

 『攻略しがいのある心の壁』と戦の神は言っていた。それは攻略されたくないから壁を作っているのだ。無闇に踏み込まれたくない。

 いつ、何を聞かれるのだろう…




なんか



つかれたな




 私は怠惰家メンバーを集めた。もちろん水神コンビも通常運行でなぜかいる。

 「人間時代の私を知っている皆さん、あの時期がやってきました」


 「あー、そろそろだろうなと思ってたよぉ」とおかきが言う。


 「まぁ確かに最近毎日誰かしらの神に会ったりしてたしな」とドンも続く。


 「私たちの出入りはどうする?昔みたいに言葉は発さなきゃOK?」とたぬき。


 「そだね、その分にはいいかな。他のみんなに説明しといてくれる?よろしく」


 私はそう言って、2階の自室に行き、ベッドにダイブした。


 はぁ…


 立て続けに色々あったな…


 窓を開け放ち、外から吹き込む冷たい風にカーテンがなびいているのをぼーっと見ていると、下からおかきがみんなに説明している声も入ってきた。


 「凪はねぇ、人間が苦手なのぉ。ここでは神様もかなぁ。嫌いじゃないみたいなんだけどぉ、どうしようもなくすり減るんだってぇ。それで、時々、自分の中に閉じこもるのぉ。

 最低限のことはするし、しゃべるし、僕たちにもくっついてきたり甘えてきたりはするんだけど、あんまり喋らないんだぁ。

 元気ないなって励まそうとしたり、話を聞き出そうとしたりされるのは嫌みたいだから、僕たちはいつも通り過ごして、凪をそのまま受け入れればいいよぉ。そのうち戻るからぁ」


 「なるほど、凪様は最近襲撃されたり色々な新しい神が来たりお忙しかったですもんね」

 ロウ君が答え、ハクちゃんがそれに同意し、いつもどれくらいの期間続くのかをおかきに聞いている。


 スイ、シャフ君、白狼のちびっ子たちだけが「え!?なに!?なんて言ったの!?」と混乱している。



 え?ハクちゃんとロウ君は、おかきたちの念話が聞こえるの…?


 聞こえてくる会話に私も混乱していた。たしかにドンたちとたまに会話っぽいのをしてるのを見たことがあるけど犬系同士だからかと思っていた。


 フク君が通訳をしている声がする。

 フク君もと言うことは、落魂のレベルの違いかな…


 スイが泣き叫んでいる。

 「主(ぬし)様ー!!僕も!!僕もレベルアップしたいぃいぃ!!」

 「えぇ…できるのかなぁ…。シャフ君に翻訳機でも作ってもらったら?」

 「シャフ君!僕たちの仲だよね!?」とターゲットをシャフ君に変えた。

 「僕たちの仲って…最近入り浸ってひたすらユニコーン検索してただけじゃないっすか…」


 「神力の献上は凪がいなかったときと同じでいいかな?」

 きなこの声がする。

 

 「そうね、凪の祝詞(らくがき)がない分は回数増やせば問題ないでしょ」とムーンが答えている。



 ふふふ。面白い。ゆっくりできそうだ。

 人間時代なら「私なんかいなくてもやっぱり周りは回るんだな、どれだけ役に立とうとしても」と思っていただろうが、今はただ安心感だけがある。


 心地よい風に吹かれ、温かい布団に包まっていたら、気づいたら眠っていた。

 



 ご飯を食べる必要も、風呂に入る必要もないというのが神と人間時代の大きな違いだが、これは劇的だ…


 ひたすら引きこもれる。眠っては起きてアニメや漫画をぼーっと読み、ふらっと起きて1階に起きてみんなに埋もれたり、甲羅の上にうつ伏せで乗っかってみたりして栄養を吸収しては寝る。


 たまに何かしらの神が来ていたが、ハクちゃんたちが「凪様はいま冬眠モードです。ご用件は?」とよっぽどの要件でない限りは門前払いしてくれた。

 よっぽどの要件かは知らないが、「それは多分、好奇心の神でもできるから好奇心の神に頼みなよ」と水神様がたまにぶん投げてくれていた。


 好奇心の神、そういえば見てないな。ここ秋の2番手の神なんだったっけな。


 ここは季節が動かないから、何日経ったのかもわからない。私はひたすらに怠惰を貪っていた。

 たまに部屋にムーンたちが人間時代のサイズで遊びに来たり、白狼ファミリーも狼の姿で遊びに来てくれた。

 といっても、ただそこにいてもふもふしていただけだけども。



 どれくらい経ったんだろう———




 

 …………?




 なんか異様に熱い…窓を開けよう……あれ?身体が動かない……



 なんか…ヤバい……?節々もいたい。頭もガンガンする。



 私は手元のスマホでシャフ君に「何か動けないから、ドンを呼んで」とメッセージを送る。


 ドドドドッ!とドンが来る音がする。


 「ドンー。なんか動けない。熱い。1階に連れてって」


 と言うと、素早く大きくなったドンに咥えられて1階に運ばれた。


 ちょうど水神様とスイが来ていた。

 「おや、冬眠は終わったのかい?」


 「なんかおかしくて…身体中が熱いし……意識が朦朧としてきてる……神って…インフルエンザとか……かかる?」


 「え?何それ?」

 水神様が怪訝な顔をして私のほっぺを両手でむぎゅっとする


 「あっつ!!これは———

 冬眠して何ヶ月経ったっけ?」


 「3ヶ月ですかね」



 え、そんなに経ってたの?四半期が終わっていた。



 朦朧とする意識の中、水神様とスイの会話が聞こえ、最長記録を更新したなーなんて考えていた。



 「これ、神力の溜め込みすぎだね。これ以上は危ないから、献上しに連れて行こう」


 「危ないってどうなるの?」とたぬきが聞く。



 「神力が大放出されて、あたり一面消し飛ぶ」



 「たいへんだぁあああぁ!!!」


 アッシュが一目散に私を咥えて御神木様の湖に走る。



 もうちょっと……もうちょっと丁重に扱ってくれ………



 キキーッ!!と止まった




 ポイっ



 え?



 気づいたら空中、そのまま湖に放り込まれた。



 あいつは…アホなんか?



 あぁでも冷たくて気持ちいい….


 水神様の声がする。水の中なのに不思議な感覚だ。


 「アッシュ君がダイナミックに、君ごと献上しちゃったら、そのまま心の中で祝詞を思い浮かべて吸い取ってもらいなよ」



 笑い堪えながら喋ってるの、伝わってるからな。



 御神木様、神力吸い取ってください。怠惰です。



 そう心の中で言うと、スウウゥっと熱が吸い取られていくのを感じた。


 あれ、湖の中ってこんなに明るかったっけ?



 「ねぇ!ありがとう!!ようやく神力が黒字だよ!!」



え?だれ?



 「時の神だよー。今、あなたの脳内に直接話しかけています」


 そのフレーズどこで覚えたんだ…


 「たぬっちが葉っぱだったときにちょっとアニメとか見せてもらってたときに」



 あーなるほどなぁ…



 「そのまま沈んでいくと裏の海側に出ちゃうから、そろそろ上がった方がいいよ。もう動けるでしょ」



 え?海?ここからいけるのか…

ふーん…ダイビングのセット作れば行けるな…



 とりあえず海に出ても困るので、上に向かって泳いだ。


 水面に上がって顔を出すと、皆が勢揃いして待っていてくれた。




 「アッシュー!!今度武神に頼んで湖に放り投げの刑にするからー!!」



 「きゃーーー!!」

 とアッシュが大袈裟な悲鳴をあげた


 夕日に照らされて笑いながら出迎えてくれたみんなの姿はきっと忘れない。


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