第44話:嫉妬と承認欲求の神
その双子神とやらは、どうせ呪い系の冬エリアの神だろう。
「炎神様ー!その双子の神の領地わかります?前みたいにロケット花火を打ち上げてほしくて」
「な、何をするつもりだ…?」
「え?文句を言いに行くだけですよ。
嫉妬の神も承認欲求の神も、人間のそういう感情で構成されてる以上、しょうがないですし。
だけど2度とうちとその家族に手を出すなって」
そう言うことなら、と炎神様が転移し、ロケット花火を打ち上げてくれた。
割と近いな。
「ドン乗せてってー。
あ!おかきも来て!寒いから私のこのポッケの中にいてね」
「アッシュはそいつらを転がして来て!他のみんなはその人質の子探してあげてー!」
おかきに2人が入っている檻をボール状にしてもらう。
「わかったー!」
アッシュが元気に答える。
バビュンっとドンが走り出す。一応雪かきがしてあるのか、道がある。
私が到着すると、双子の神はすでに炎神様に食いついていた。そして背後にはものすごく大きな、醜い城が立っている。
「なんであいつの味方をするのよ!」
「なんで私たちの味方をしてくれないのよ!」
うわぁ…地雷臭がすごい…
私の到着と同時に、他の3柱も心配して転移してきた。
私はドンから降りて、双子に近寄る。どっちがどっちかわからないがどうでもいい。
「なんでまたお揃いで怠惰といるのよ!」
「私たちの招待は無視したくせに!」
「他の神々だって私たちより怠惰怠惰って!」
「どうでもいいけど、誰も相手にしてくれないのは、あんた達にメリットを感じないからじゃない?」
「はぁ!?私たちはね!こんな雪しかない場所に、みんなが遊びに来れるように、こんなに立派でオシャレなお城を何百年もかけてコツコツ作ったのよ!」
「なのに何でみんな誉めてくれないのよ!」
「なのに何であんたのとこばっかり行くのよ!」
「「何で私たちじゃないのよ!!」」
え、この趣味の悪い、あれもこれもと引っ付けた様なツギハギの城のこと…?
「これを目当てに?他の神々がくると?本気で思ってるの?」
「当たり前でしょ!?誰かさんのあんな地味な建物にお湯を入れただけのものじゃなくて、こんなに素敵な城なんだから!」
「誰だって、『こんなところにいる自分』に酔いたいでしょ!?」
「芸術の神すら何も言ってくれないって、どうなってんのよ!」
芸術の神のセンスは確かなようだ。
「つまり、この城を一生懸命、神力と年月を使って作ったのに誰も認めてくれない。
なのに新参の私のところの、しかも自分たちの城より見劣りする銭湯ばっかりに神々が集まることが気に食わない。
あの家族も、娘が美人で自分たちより話題になっているのが許せない、だから嫌がらせをしてやろう、ってことで合ってる?」
「そうよ!あんたやあんな小娘じゃなくて私たちを見てよ!」
「何であんたや、あの小娘ばっかり注目されるのよ!」
アホらし…
「いや、誰も見に来てくれないって時点でわかんない?
あんたらの苦労には関係なく、この恐ろしく醜い城も、自分自分って主張ばっかりのあんたたちと関わることも、こっちからしたらメリットが何もないじゃん」
「はぁ!?じゃああんたには何があるのよ!」
「知らないよ。
少なからずうちの銭湯は、神々や眷属を癒す場所になってるから集まってくるし、人間時代の記憶とスキルがあるから他の神々の役に立てる。
まぁでも君たちは『そういう』神だもんね。嫉妬も、自分を認めてほしいと言う気持ちも、生存するには必要な感情と欲だし、仕方ないよ」
扱いが難しい人間の感情を司ってしまったのは正直、哀れではある。
「ただね、その感情に任せて他人に悪意を向けるというのがどういうことか考えたことはある?ないでしょ?
だから、教えてあげるよ。
やったらね、やり返されるんだよ。
時には何倍もの威力でね」
読んでくださりありがとうございます!
凪さんはブチギレると淡々と笑顔で相手を制圧していくタイプです。ひっ。
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