第43話:尋問のお時間です
「さて、シャフ君、拷問の良い方法あった?」
「いやーどれも、準備も片付けもめんどくさそうっすよ」
どうぞ、と私にタブレットを渡す。
どれどれ…
背後でムーンが4柱とヒソヒソ話している声がするが、怒りで腑が煮えくりかえっている私の頭には、話の内容まではやはり届いていなかった。
「ねぇ、さっきヤバいって言ってたけど、どれくらいやばいの?」と水神様がムーンに聞く。
「私がこの中で1番初めに天界にきたから、生きている間も含めて1番長くあの子のこと見てきたけど、キレると本当に容赦ないのよ。
凪にセクハラした取引先の大手企業役員を、社会的に抹消したくらいなんだから…」
「そ、それは天界で言うとどれくらいなんだ?」
ピンとこない炎神様が恐る恐る聞く。
「その辺の眷属が、上位クラスの神を極刑に処したくらいの規模のことよ。
しかもあの子は最近この家で、ここの水で炊いたご飯を食べまくって、お風呂に入って、あとはずーっと一歩も家から出ず、何日もだらっだらしてたのよ。
神力がどんだけあの子の中に溜まってるか、わかったもんじゃないわよ。
ついでに言葉の神に言霊なんて操れることも教わったんだから。
4柱で止められる?
承認欲求の神が最近、力をつけて来てるとか言ってなかった?
神力が足りないのに、抹消させられたら困るんじゃないの?」
「それは…かなりまずいわね…」
風神様もことの重大さに気づいた。
「冷静そうに見えのにね」
水神様が凪を見ながら呟く。
ムーンは、凪の母親との光景を思い出しながら、苦々しく答えた。
「人間だった頃のあの子は…感情が昂ってる時ほど表には出さない様に、教育というか…もはや訓練と言っても良いくらいの環境で育ってるのよ」
「あのカメハメハとか言うの撃たれたらまずいな。修復が大変だったんだぞ」
最近ようやく削れた山を修復し終わったばかりの地神様が考え込む。
はぁ…思わずため息が出ちゃう。
「シャフ君、拷問ってめんどくさいんだね」
「そっすね」
「じゃあ王道のやつで行きますか」
「「「「お、王道…?」」」」
少し距離を置いて眺める4柱がゴクリと息を飲む
私は檻に近づいて単刀直入に聞く。
「あんたら誰の眷属?」
「答えるわけねえだろバーカ」
「おかきー。牢屋、狭めてー隙間ないくらいで」
ずずずずっと牢屋の壁が中の2人に迫る。
「さ、答えるまで続けるよー。誰の眷属ー?」
「言わねぇって!」
「おかきー?」
「はーい」
またずずずずと壁が迫り、ぎゅうぎゅうになっておかしな体勢になっている。お互いの関節が食い込んでいる。痛そうだなぁ。
「ちなみにだけど、うちには鼻の効く子がたくさんいてね、あんたらが吐こうがどうしようが、犯人はわかるの」
狼の姿のまま、今にも襲い掛かりそうに敵意を剥きだしに唸るハクちゃんを撫でながら言う。
「ただ、言わなければ、あんたらが一生、トイレの汚水が落ちてくるだけの部屋に処分されるか、この子たちの狩用のずーっと壊れないオモチャになるか。
言えば神様のところに帰してあげるよー?さ、言うー?」
「………嫉妬の神…」
「………承認欲求の神…」
「じゃあ、あの3人との関係は?」
「あの親子の娘が、冬エリアで美人って評判で、嫉妬の神が使おうって…」
親子の話と一致するなぁ
「人質の居場所は?」
「この森の中の木に結びつけてある。怠惰の神が冬エリアの民を、嫉妬心から誘拐して虐げているってことにして、悪評を広げる手筈だった」
「神様たちー!」
「「「「はいっ!」」」」
え?何をそんなにビビってるの?
「話、聞いてましたよね?
先に手を出したのはあっち、たぶん邪悪な落魂で眷属を作ってまで、いろんな方面に嫌がらせしてる」
「「「「はい!聞いていました!!」」」」
?????
まぁ、証人になってくれればそれでいいんだ。
さて、反撃に出るとしますか。




