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人生ってこんなもん?他人事な百年終えたら、最強神だったと判明しました〜お疲れ元人間はかつて愛したもふもふと怠惰を謳歌したい〜  作者: 瑠璃玉ねむ
【第4章】次々と現る神々

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第38話:言霊

 なんとあれからというもの、味噌や醤油も売っていると咲さんから聞きつけ、焼きおにぎりまでレパートリーが増えた。


 ドンたちは人間の食べ物と同様禁止にしていたのだが、もう神獣の身体だから大丈夫と、みんな隠れて食べていたことが発覚した。

 水神様とスイのお気に入りは、醤油を塗って囲炉裏でちょっと焦がした焼きおにぎりで、自分たちで勝手に作って食べる様になった。


「今朝5合炊いたのに!?」が、連日続き、あれだけあったのに、あっという間に米はなくなった。


「ハクちゃーん。お米買いに行こうよぉ。もうないと生きていけない身体になっちゃったよぉ」

 守銭奴に私が泣きついていると、外から声がした。



「ごめんくださーいっ!

 ………誰もいないのかしら?ちょっとー?」



 私が玄関に1番近かったので、大人しく玄関の引き戸を開けた。

 門の外には、逆立ったオレンジの髪にカチューシャの様な装飾をした、しなやかでマッチョなイケメンが立っていた。


 やれやれ、この世界はどうして誰も彼も美形しかいないんだ。


 可哀想だろう?私が。



「どなたでしょ…?」


「あら、いるじゃない。ちょっとこの門、呼び鈴とかないと不便よ。

 あなたが噂の元人間の怠惰の神ね?随分と規格外なお転婆してるって聞いてるわよ」



 すごい!オネエだ!本物初めて見た!クネクネはしてないけど所作が美しい。

 そして筋肉とのギャップがすごい。なんだか、有名人に初めて会った様な気持ちになった。


「まぁそれは置いておいて、アナタが言霊を使えるって聞いて、来たのよ。

 とりあえずこの距離でする会話じゃないから、出てくるか、入れるかしてくれないかしら」


 玄関から門までは5メートルくらいある。

 このオネエなら家に入れても害はない気がする。むしろちょっと仲良くなりたい。


「どうぞ」というと、結界をすり抜けてスッとオネエが門から入ってきた。


「これも言霊の一種なのかしら…」

 オネエが小さく呟いた。


 私たちがこたつに座ると、ロウくんがお茶を出してくれた。


「あら、いい男」


 ロウ君の毛がブワッと逆立ち、ピャッと去っていった。


「このうちの子は誰もあげませんからね」

 最初に釘を刺しておく。


「それで、どちらの神でしょ?言霊って何のことですか?」

 私には身に覚えがないので聞いてみる。


「アタシは『言葉の神』よ」


 ほう?何カ国が話せるんだろう。


 こたつの狭い隙間にドンとアッシュがフラっと私の周りに入り込んできた。

 近い。狭い。ぎゅうぎゅうだ。


「アナタが天界(こっち)にきた時に、そのワンちゃんたちが大暴れしたでしょ?その時に、アナタが放った一言で、その場の獣人や人間たちが失神したそうじゃない」


「え?あれそういうこと!?——え!?どういうこと?」


 確かにムーンに犬たちを止めろと言われて、ドンたちに「おいで!」と声をかけて、次に目をやった時は他の皆が気絶してて、その後ダイチがザザーって廊下に片付けた。


「やっぱり無自覚だったのね。危ないから気をつけなさいって言いに来たのよ。

 アナタが放った「おいで」という言葉には、神力が宿ってしまっていたのよ。

 その言葉は、ワンちゃんたちに向けられたものだったけど、その場にいた他の者たちに向けられた言葉ではなかったから、彼らからしたら単に神力でぶん殴られたようなもんだったのよ。

 さすが元祖4柱の眷属は耐えたみたいだけどね」


 な…なんと…天界でのほぼ第一声でやらかしていた。


「でも、どうやったかすら覚えてないんですけど…普通に呼んだだけだし…」


「んー。アナタ人間だったのよね?

 その頃もこの子たちにそうやって呼びかけてた?その時の、この子達が指示に従う姿とか、駆け寄ってこられる幸せな気持ちとか、また会えたっていう喜びとか、そういうイメージとか、強い感情が乗っちゃったんじゃない?」


 ほーん…イメージや感情が強くなると言霊になるのか…


「じゃあ私が、『あいつをぶちのめしてやりたい』って強く思いながら、その相手に物騒な言葉を発したら、やばいことになると…?」


「そうね。だから気をつけなさいって。アナタは元人間だし、文化的に言霊のイメージがついてしまうでしょ。だから他の神々と違って、使えちゃうのよ」


 あらやだ。


「え、じゃあ麦とホップと水をコップに入れて『ビールになる!』って言ったらビールになったり…?」


「ざーんねん。魔法じゃないんだから。できるわけないじゃない」


 ちぇっ


「『じゃあ私に服従しろ!』って言ったら?」


「できるわね。え?やめてよ?」


「ふふふふ…声に宿るなら、文字にも宿るの?」


「宿るわよ。ただ、天界の文字とは相性が悪いのよねぇ。アナタの人間時代の言葉の方が相性がいいわ」


 ほう…


「狼キッズー!誰か紙とペンある?」


 受け取った紙に、「発火」と火が灯るイメージを強く浮かべながら書いてみた。


 ボッと火がついた。ぅぇえ!?ほんとに!?

「えぇ!?アンタバカじゃないの!」と言われながら大慌てで囲炉裏に紙を投げた。


「4柱と規律神がアンタに手を焼いてるって聞いたけど、ほんとね…」


 え?水神様はむしろ…私がお世話をしているような?

 私は思わずおにぎりを齧っているスイを見ると、フイっと目を逸らされた。


「ねぇ…これ魔法陣みたいに使えないかなぁ…」


「どう言うこと?」

 オネエは不思議そうにこちらを見る。


 私は「発」と「光」を一文字ずつ紙に書き、ペタッと合わせた。


 するとパッと光った。紙を離すと、光が消えた。


「おぉ!めっちゃ便利じゃん!」


「なんてこと…!アンタこのこと絶対に言っちゃダメよ!!

 あんな暇を持て余した神々(やつら)に知られたら、どんなイタズラに使うかわかったもんじゃないんだから!!」


「え?でも私くらいしか使えなくない…?」


「万が一使えちゃうやつがいたらどうすんのよ…

『転送』なんて書きでもして、他の神が踏んだら発動でもする様にしといたらどこに飛ばされるかわかったもんじゃないわよ…」



 神々の悪戯って、えげつないんだな…


新たな神様、言葉の神が登場。

もし『この神好き』『この場面笑った』みたいなのがあれば教えてください!

ブックマークしておくと更新通知が届くので、続きが気になってくれた方はぜひ。

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