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人生ってこんなもん?他人事な百年終えたら、最強神だったと判明しました〜お疲れ元人間はかつて愛したもふもふと怠惰を謳歌したい〜  作者: 瑠璃玉ねむ
【第3章】怠惰の神の日常

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第35話:お買い物

 

「よっぽど下位の神様かしら…?」

「でもあの神獣?連れた神なんか見たことないぞ…?」


 周りから聞こえるヒソヒソ声が大変気まずい!庶民派の神と言ってくれ。


「ド、ドン、おいしい?前の世界のとどっちのがおいしい?」


「おいしい!!こっちのほうが!!」


 よしよし…それなら…


「あの!宣伝になるようなら『怠惰の神御用達』って名乗ってくれてもかまいませんよ!また来ますね!じゃ!」


 私はドンと咲さんを引っ張って逃げるようにその場を去った。

 冬エリアの市場を見て回ったが、それほど銭湯の付加価値になりそうなものが見つからなかったので、春エリアに移動した。


 そこから見た御神木様は、白い桜の様な花が咲き乱れていた。そういえば冬エリアから見たときは雪をかぶっていた。秋エリアからは紅葉して見えるし、見る場所の季節によって御神木様の季節も変わるようだ。


 花が咲くってことは実がつくのかな。


 ここには果物や、花がたくさん売っているので、おかき用に色々な果物と、銭湯に浮かべられそうないい香りの花を買った。

 今回はちゃんと値切らなかった。


 ———お釣りがちょうどよく出ないように計算して、『あ、ピッタリ払えちゃうー!』的なノリで、『釣りはいらないよ』はしない方向性を貫いた。

 守銭奴(ハクちゃん)の顔が脳裏にチラつくんだもんっ。


 咲さんも何やらフラワーティーか何か洒落たものを買っている。

 重いので、私は神力でドンが引っ張れる荷台を作って、そこに買ったものを乗せていく。


 続いて夏エリアに行くと、塩や香辛料がいっぱい売っていた。


 夏といえば海!という発想で、海産物の類があるのかと想像していたが、売っておらず、ムーンたちのご要望、鰹節も見つからなかった。


 確か何とかソルトだかで肌を擦るとツルスベになる、みたいなことをかつての部下の女の子が言ってたような気がするので、塩だけ銭湯用に買っていこう…


 アー!今回モ、オツリガ出ナカッタナー!


 少し進むと、麦が売っていた。

 ということはビールの原料として夏エリアと取引が必要になる。夏エリアの代表だし、武神のおっちゃんに共同事業ってことにしたら色々融通してくれそうだ。


 ドンとの手合わせ後の銭湯、からの冷えたビール、完璧な流れだもん。

 正直全部押し付けて、売り上げの何割かとビールを優先的に卸してくれたらそれがいいのだが…


 青々としげる葉が風になびく御神木様を眺めながら、そんなことを考えていると、爽快すぎて合わないというか、やっぱり私は秋の御神木様が好きだなと思った。


 続いて我が領地の秋エリアの市場だ。


 お米ぇえええぇええ!米が!米が売ってる!おにぎり食べたい!

 ちょうど銭湯用にさっき塩を買ったじゃないか!


「これで買える分の米をください!」


 2つの財布の残金を合わせて買えるだけ買った。米もドンの引く荷台に乗せる。「重くない?大丈夫?」とドンに聞くと、「余裕」と言われた。


 あらたくましい!ドンには、人混みなので、遮らない様に通常サイズよりちょっと大きいくらいになってもらったのだが、ちょっと心配だった。


 いよいよ咲さんが来たかった本屋だ。


 立派な表紙の本から、紐で留めただけのものまで色々ある。

 適当に『これであなたも疲れ知らず!ぐっすり快眠方法』という非常に興味深い本を手に取り、開いてみた。


 よ、読めない…表紙の文字と、規律の神の部屋に置いてあった書類の文字は読めたのに。

 なんだこのちりめんじゃこが散らばったような文字は…


「咲さん、この辺の本、中身だけ読めないんだけど…いろんな言語があるのかなぁ?」


 本選びに夢中の咲さんに話しかけると、こちらには目もくれず返事だけしてくれた。


「あー!速記文字ですね。天界って印刷技術がないから、手書きで写しているらしいんです。

 少しでも多く作れるように、速記文字で書かれているそうな。私も最近やっと覚えられました」


 なるほど…コピー機を使えば簡単に通常文字で量産できるのに…

 あ、でもそうすると雇用を奪うことになるのか…?手写しってことは漫画なんて天界では無理だな。やはり人間界との繋がりは断てませんな。


 咲さんが数冊の本を買ってから、店を出た。


「何買ったの?」


「えっ…あの…それはちょっと…」と言われたが、袋に包まれることもなく、腕に抱えられているだけなので、タイトルが所々見えてしまった。


「転生——ケモ耳—愛———!」


 …………………。


「ロウくんもフクくんも、白狼キッズたちも、うちの子は誰もやらん!!!」


「ち!ちがいますよ!!」

「絶対だよ…」

 ズモモモモモと圧をかける。


「咲さんがこっちに残ったのって…獣人がいるからっていうのもあるんじゃ…?

 もしかして友達いないとか言っときながら、やたら本事情に詳しかったり、速記文字覚えたのも、その本のために…?」



「…………黙秘します」



 否定はしないさ。ただうちの子はやらんってだけさ。


 咲さんの好みのタイプがわかったところで、家に帰る。

 帰りはドンに大きくなってもらって、荷台に乗って猛スピードで帰った。


 もう夜だ。時計回りに移動すれば、神以外にとっては体感速度が速いだけで、実際は1周するだけで日帰り旅行だった。


 明日は塩おにぎり作ろっと。



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