第31話:神力の献上
お給料問題も片付いたし、あとは人間界のお金だよなぁと思いながらも、
大きなモニターのある居間でごろっとアニメの続きを見ようとしていた。
アッシュが近くでダラダラしていたのでズルズル引き寄せて抱き枕にする。
「ひゃーーーっ」とアッシュがふざけた悲鳴を上げる。
はー、働いたわぁ。
お、新エピソード配信されてる。
アッシュをもふもふしながら見ていると、ちょうどいい場面で地震がした。
もしかして…
「入るぞー」
予想通り地神様が来た。
「ちょっと話があるんだが…」
「今いいところだからちょっと待ってください!」
「いや、後で見ろよ」
「やだ!」
気を利かせたロウ君が、神力水を出して時間稼ぎをしてくれる。
「いやー今回も作画も演出もストーリーも素晴らしかったですなぁ…ねぇアッシュ」わしゃわしゃ
「おい!」
「あ、なんでしたっけ?」
地神様がいたことを、すっかり忘れていた。
「定期的に、神力の献上をちゃんとしているか?前までは神獣たちが代行していたようだが…」
「………?
アッシュたちって今も代行してくれてる?」
「凪も来たし、もうやってないよー。神力ボールならまだ何十個もあるけど」とアッシュが答える。
「献上には祝詞が本来は必要ってドンが言ってたでしょ?だからストック使うほうが効率が悪いからやめたわよ。言ってなかったっけ?」とムーンが言う。
知らない間に効率化された挙句、いつの間にか誰もやっていなかったという業務漏れの良い例である。
地神様がため息をつく。
「やっぱりか…」
「スミマセン…」
「急いで献上してくれないか?神力が不足して天界の地盤が不安定になりつつあるんだ」
「やばいじゃないですか!何でもっと早く言わないんですか!」
「アニメを優先したのはお前だぞ」
ハッ!!
「そ、その献上とはどうしたらいいんですか?祝詞とは?」
「単純に、御神木様のある湖に手を付けたりして神力を流し込めばいい。祝詞は、『誰から誰に渡す』ということがわかればいい。
なぜか人間由来の神々の祝詞は仰々しいというかやたらと長いようだが詳しくはわからん」
ほーん…
「それって神々の体内に貯めてある分じゃなきゃダメなんですかね?」
「いや、そんなことはないんじゃないか?現に、今まで神獣たちの代行である程度献上は出来ていたんだろ?」と地神様が答えた。
それなら…
「アッシュとドンーときなこー!神力ボール1個ずつ持ってきてー」
そう言うと、すぐに持ってきてくれた。一体どこにストックしてあるのだろうか。
私はマジックを取り出した。
地神様が不思議そうな顔をしている。
『ご神木様へ あげる たいだより』
3つに同じ内容を書き、「よし!いけー!湖に落としてこーい!」と言うと、我先にとボールを転がしながら走って行った。
「お、おまえ…」と地神様が呆れ返っている。
「え?要は、私が御神木様に献上するってことがわかれば、成立するってことですよね?」
「そうだが…そうなんだが……もっとこう…なんか……いや、なんでもない」
「そうですか?あ、せっかくだし銭湯入ってきます?」と聞くと、驚きの答えが返ってきた。
「入っていく。というより、しょっちゅう来ているぞ。他の神々も眷属たちも。あのカピバラたち、結構儲けてるんじゃないか?
しかし、あいつら強いな。
神々の小競り合いが始まると、間に入って、吹っ掛けたほうを無言で真顔でじっとただただ見つめて、黙らせるんだよ。
あの、ぬぼっとした顔から、ただならぬ圧を感じると言うか…」
「えっ!!??聞いてない!!」
その時ちょうどドンたちが帰ってきた。
おかきが「ボールの結界解くねぇ」と言って少ししたあと、地神様が外へ出て地面に両手をつけている。
「お、ちょっと安定したな。あんな適当な方法でもいいんだな。
悪いが数日は続けてくれ。
じゃ、俺は風呂入って帰る。あ、炎神が、今度風呂上がりに怠惰んとこにビール飲みに行こうぜって言ってたから、近いうちにまた来るぞ」と去って行った。
神力だけでなく酒まで差し出せと…
本格的に金策をどうにかしなければ…




